81:遺跡
「物珍しいのはわかるけど、その獣人の夫婦が道に迷ってた以外で、何が面白かったんだ?」
ルッツは、道を尋ねるくらいは普通だと思ったので、疑問を投げかけてみた。
「なんかね、遺跡を探してたんだよね。」
「遺跡?」
「うん、旦那さんが言うには、『ある物騒なモノを探しだして封印したいんだ』って言ってた。」
「なんだそれ?えらく意味あり気だな。」
ノアベルトは怪訝な表情をした。
「その遺跡がペルニツァ王国方面らしくてね、それでその方角を教えてたんだよ。」
「遺跡に、よくわからないけど物騒なモノが在るってことよね?」
セレスティアも聞きなれない遺跡と聞いて、興味津々になっていた。
「そうみたいだね。ね、ちょっと面白そうでしょ?」
ケヴィンは少し考えてから、
「・・・恐らくだけどギルドとかの依頼で動いていたのかもしれないな。」
「あ、『冒険者ギルド』ってこと?」
テオは、言われてみてギルドの存在を思い出した。
「あぁ、ガタイの厳つい男に、獣人だろ?冒険者ランクも高いんじゃないかな?」
この世界では、『ギルド』なるものが存在する。それは『冒険者』(主に魔物の討伐であったり、未知の場所の調査など)であったり『商業』(主に、発明品などの調達や販売の仲介するところでギルドから手広く広めてもらえるメリットがある)というのが主に代表的なものである。こういったギルドは各国に支部があるので、専用のパイプで流通や情報が回っているのだ。
そして、ケヴィンの見解では『冒険者ギルド』の依頼を請け負った冒険者ではないか、ということである。
「あーありえそうだね。」
それを聞いて、テオを初め他のメンツも納得した。
「でも、その遺跡のことを言ったガタイのいい人は、獣人の奧さんに怒られてたけどね。なんでかわからないけど?」
「「「「・・・・・」」」」
テオのセリフに皆はよりギルドからの依頼であったということに、信憑性が増した。その獣人の奧さんが怒ったという事は、恐らくべらべら話していい内容のものではなかったんだろうと、皆察しがついたのだ。
「テ、テオお土産話としては、確かに面白かったけど、その話はもう他で言っちゃダメよ?」
セレスティアはテオに釘を差しておかなければと思った。
「え?なんで?」
テオは理解していなかったので、皆でコンコンと説明した。
「ふーん、そうなんだね。まぁ話さない方がいいみたいだから、もう言わないようにするよ。」
一応テオに理解してもらえたようで、皆ホッとした。そこへ遅れてやってきたハインツが合流した。そこからは全員揃って、乾杯をし皆近況などを話し合い、和気あいあいとした雰囲気の中、久々の同期の飲み会は終わった。
テオの獣人達に遭遇した話はその場での肴で終わったと皆が終わっていたのだが、実際はそれらはまた新たな問題の始まりであったのだ。
とある、遺跡にて_____
「くそっ!!!ない!!」
「・・・誰かに先を越されちゃったみたい。だけど、アレを持っていけるのは・・・」
「一体何処のどいつが?!!」
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