第5話 進み出したチーム

翌週から叶野は積極的に顧客チームに関わるようになった。

立夏の向かいの空き席で作業をする時間が増え、顧客との打ち合わせにも参加する。その中で対応するかしないかを判断したうえで、顧客に了承を得るまでを詰めてくれるようになった。


チームが若いから上手く進められないのは仕方がない、とまずは数回手本を示してくれる。その後は徐々にチームの主要メンバーを前に立たせて同じことをさせ、自分はフォローをするという立場に回る。

今までフォローすら出してもらえず、よくお客さんの前で口ごもっていただけに、叶野の手腕は流石だと言わざるを得なかった。



@kuninaka マジで叶野さん顧客チームのPLになってくれないかな。

@souma PMなのにPLの仕事もするって叶野さん二人いないと無理でしょ。

@kuninaka あの人なら一人二役できそうじゃん? 現に今佐納さん単なる議事録係だしさ

@souma 軌道に乗ったら佐納さんに戻すとは言ってたよ

@kuninaka あのジジイ勘弁してくれよ

@souma 基本設計終わったら詳細設計だから、スケジュールさえ守って着実に進めれば大丈夫って叶野さん言ってたし、二人でチーム回してみない? 叶野さんサポートするとは言ってくれているよ

@kuninaka うーん、腹括るしかないか。俺も二児の父親になるしな。



あれから叶野とは飲みに行ってもいないし、キャンプもまだ寒いからと行ってはいない。ただ時折1 on 1に誘われることがあり、その場でお悩み相談室を開催してもらっていた。

それにより自分のストレスが確実に減っていることは事実で、叶野への憧れがより強くなったのは確かだった。

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