第133話 賢者の石と聖女
「聖メルティア教国は、昔から不浄の地であるスパイト王国の浄化に取り組んでいたの。しかし代々の聖人や聖女では到底なしうることはできず近年は派遣を断っていたわ。でもね、何もしていなかったわけではないの。いろいろな方法を模索した結果、最も可能性が高いのが『賢者の石』を使う方法。『賢者の石』は魔法の貯蔵庫であると同時に増幅器とされているわ。だから『賢者の石』を通して聖女のソウルピュリファイを発動すればスパイトの地を浄化できるのではないかというのが現在の結論よ」
「でも賢者の石なんてそうそう見つかりませんよね」
「そう。だからこの方法も事実上不可能として諦められていた。クラウス、この『賢者の石』はヴァイスを倒した貴方のもの。使い道は強制できないけれど、考えてほしい」
おお、なんかレティ様が聖女っぽいな。
「クラウス、なんか失礼なこと考えてない?」
なぜばれたし。
「レティシア様、それは普段の行いのせいですよ……」
ミストラルさんが言う。
そうなんだけど、真面目な聖女と普段の気の抜けたようなレティ様のどちらもレティ様なんだと思うことにしている。
「そうですね、陛下と相談しなければいけないでしょうね」
レティ様から賢者の石を受け取りながら、これはいったいどうしたものかと僕は思った。
その後、ミストラルさんとプリンさんをサウスタウンに送り、二人は連れてきていた援軍とともに聖メルティア教国に帰っていった。
◇◇◇
LV:255
HP:140434/140434
MP:5099/5099
腕力:9001
体力:8890
速さ:8621
器用:8563
知性:13259
精神:13259
スキル
【生活魔法】
【全技能マスター】【全属性魔法マスター】
【時空魔法マスター】【暗黒魔法マスター】
【混沌魔法マスター】
【エクスペリエンスⅣ】【ラージⅤ】
【オールマイティ】
【ドラゴンキラー】【ホーリーキラー】
【ウイングスレイヤー】【アンデッドスレイヤー】
【デーモンスレイヤー】
【ライフレスキュー】
【スキル成長速度上昇Ⅴ】【フルムーン】
【MP回復力上昇Ⅳ】【セレニティⅤ】
【レアドロップ率上昇Ⅳ】
【MP限界突破】【MPバースト】
【攻撃時MP回復Ⅴ】【撃破時MP回復Ⅴ】
【無詠唱】【詠唱時防御】
【自己再生】【不意打ち】【威圧】
【捕縛術】【目利き】【二刀流】
【ステルスサーチ】【トラップシーカーⅤ】
【錬金術マスター】【全属性強化】
【フォースレジストⅤ】
【エレメントレジストⅤ】【リボン】
【弱者の意地】
固有スキル
【交換Ⅴ】
暗黒魔法とか混沌魔法とか物語でいうと絶対悪役のポジションじゃないか。
心清い敵役とか出てきてくれないかな……。
エリアによると僕のステータスはだいたい計算してレベル1200相当らしい。
これまでの宮廷魔術師による調査では、レベルが100を超えると上がり方がかなり鈍くなるのがわかっている。
なお、上がり幅が大きいのはレベル40~80くらいのようだ。
だから、レベルを交換して低レベルからやり直せる僕は、そのあたりのレベル帯でレベルアップを繰り返せば恐ろしいことに……
◇◇◇
王都にあるクラウディアさんの家に一人で転移する。
「あら、クラウスどうしたの?」
「クラウディアさん、また賢者の石が手に入りました」
スパイト王国で起きた出来事をクラウディアさんに話す。
「『召魔の宝珠』ねえ……。【錬金魔王】はとんでもないものを作ったものね。それに最後の言葉も気になるけど。それより、スパイトの浄化か。聖女の魔法があればできるかも、だったわね」
「ええ、メルティア教国はずっと検討していたらしいです」
「うーん、ほっとくわけにはいかないか。今クラウスの手元には賢者の石が3つ。聖女は二人で一つずつ使えばできるかもしれない。でもねえ、賢者の石の力を解放するなら聖女自身のレベルも高めておかないと多分耐えられないわね。あ、ちょっと待ってクラウスはどうしたいの?」
「うーん、僕としては賢者の石を持て余していたからちょうどいいかな、って気もしています。このあと陛下とお話ししてからにもなりますが」
「お人よしねえ……。まあいいわ。どうせクロスなら賛成するだろうし」
「なぜですか?」
「だって、ティンジェル王国がかつて征服して統合した大小さまざまな国がスパイトの地を流刑地として使っていたのよ。それが今回の事態を引き起こした遠因となっているのだから、責任感の強いクロスならそうすると思うわ。で、聖女のレベルを上げるためにこの『試練の指輪』を二つ貸してあげる」
「どんな効果があるのですか?」
「経験値を2.5倍にする代わり、装備している間全ステータス半減とスキル封印の効果よ。そしてレベルを上げるならスパイトにあるS級ダンジョン『屍霊術師の塔』で行うといいわ。遥か昔は経験値効率が最もよくて人間はよく潜っていたのよ。それに聖女にはリッチが使う即死魔法が効かないから向こうの手数を減らせるわ」
「わかりました。ありがとうございます」
◇◇◇
そして数日後、陛下の執務室にて。
陛下、宰相様、エリアが集まった。
「クラウスよ、エリアから先に話は聞いている。スパイトの制圧大儀であった。また昇爵が必要であるな」
「国のために役に立てたのであれば幸いでございます、陛下。スパイトは今後どうなるのでしょう?」
「うむ、国王含め貴族はほぼ壊滅しておるからな。我が国としては領土を拡大するつもりはないから聖メルティア教国との共同管理を協議しておるところだ。カイル帝国はおそらく共同管理には乗ってこないだろう。何も利がないどころか負担しかないからな」
「それは王国にとっても同じではないですか? もしかして王国がかつてスパイトを流刑地としていたことと関係があるのでしょうか」
「それをどこで聞いた?」
「スパイト国王が言っていました」
クラウディアさんも言ってたけどね。
「そうか。このことを知るのは今やほとんどおらぬはずだが、スパイトの上層部は知っておったろうな。そうだ、レオン王のときに征服した国々も合わせてスパイトを流刑地としていた。だが、彼の地に穢れがたまりすぎてその地は放棄され、その後ティンジェル王国から追放された貴族がそこに王国を樹立したのだ」
なるほど。
さらに陛下が続ける。
「当初は追放した貴族が樹立したということで王国のメンツにかけて取り潰そうとしたのだがな、『スパイトの呪い』により失敗。そうしているうちに魔の聖域が拡大してしまいカイル帝国への交通路がスパイト王国の領地しかなくなったのだ。そしてスパイトに通行料を払って交易を行うことになっていた」
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