第102話 【ドリームワールド】
次の官吏の夢の中では……
(うふふ、ようこそ私の【ドリームワールド】へ……)
(なんなんだここは?)
(ここは夢の中。私とあなたは戦い、負けたら私のいうことを一つ聞くのよ)
(聞くと思っているのか?)
(そんなことは関係ない。【ドリームワールド】にいる限り私には逆らえない)
(私に力はないが、所詮夢だ。抗ってみせる!)
(明日からの交渉では、帝国に有利な条件を提示しなさい)
(わかりました)
(夢の中の出来事は起きたら忘れるけれど、命令内容だけは現実に引き継がれる。明日の交渉がめちゃくちゃになるのが楽しみね)
◇◇◇
(三人目は交渉中に王国に不利な情報を漏らすよう指示したわ。次はボストン外務卿ね)
◇◇◇
(うふふ、ようこそ私の【ドリームワールド】へ……)
(うむ? 私は明日の交渉に備えて早くに寝たはず)
(ここは夢の中よ。私とあなたは戦い、負けたら私のいうことを一つ聞かなければならない)
(そういう固有スキルなのか)
(あら、察しがいいわね。では戦いましょう)
(私を文官だと思っているのか? これでも軍人の端くれ、覚悟するのはお主だ)
(あの3人より強かったわね。誤差の範囲内だけど。さあ、交易路を開拓した方法を教えなさい)
(我々の護衛をしているオルランド伯一人の手によりなされたと聞いている。詳細な方法はわからないが、公になっている伯の【浮遊魔法】だけでなく、若くして武に優れ、魔法に精通した傑物であると陛下から伺っている)
(他には?)
(開拓の瞬間を陛下御自らご覧になったそうだ)
(そう。では、おやすみなさい)
(ということはその護衛とやらを嵌めればいいのね)
◇◇◇
クラウスの夢の中。
(うふふ、ようこそ私の【ドリームワールド】へ……)
(……ドレミー、33歳独身。固有スキル【ドリームワールド】により夢の中での戦いをもちかけ、敗者に一つ言うことを聞かせることができる。
敗北した対象者は夢の中での出来事を忘れるが、命令は現実に持ち越される。このスキルの所有者は目が覚めても夢の内容を忘れることはない。
発動条件は、自分と対象者が半径20メートル以内にいて、対象者が睡眠中であること。また、このスキルの内容を事前に知っている者には発動しない。……初見殺しもいいとこだよ)
(【鑑定】持ちか。まあ関係ないけどな。交易路の開拓はお前一人の仕業というじゃないか。その方法を教えてもらうよ)
(夢の支配者たるこのスキルの所有者は、夢の中で絶対の強さを誇り、今まで敗北したことはない、か。ボストン卿たちでは敵わないはずだ。さて、明日の交渉どうしようかな……)
(交渉の心配なんかしてどうするのかしら? お前は明日から国の秘密を漏らした売国奴になるのよ)
(夢の中に限り、
HP 29999
MP ♾
全ステータス 1999、
【全技能マスター】(全ての武器技使用可)
【全属性魔法マスター】
【オールマイティ】(全ステータス+50%)
【無詠唱】
【錬金術マスター】
【フォースレジストⅤ】(物理ダメージ50%軽減)
【エレメントレジストⅤ】
【ウィークレジストⅤ】
まさに夢のようなステータスだね)
(……わかっているのか? 死刑宣告を自ら読み上げていることを)
(余計な心配です。さあ戦いましょう)
(……生意気な子供ね! 夢の中では死にはしないが痛覚はあるのよ。死ぬほど苦しみなさい!)
(魔法剣・テトラスラッシュ!)
(キャアァァァァァァ! 痛い、痛い、痛いぃぃぃぃぃ!)
(そりゃ8分割されるくらいのダメージなんだもの、死ぬより痛いと思うよ。少し待ってあげる。………痛みは終わったかな? さて、僕が勝ったらどうなるか、教えてもらおう)
(バカな! あたしのステータスを上回るとでもいうのか?)
(そう。仮に下回っていても勝てたけどね。では、勝者の権利を行使しようか。
『【ドリームワールド】との勝負に勝った者は、夢の中の出来事を覚えたまま目を覚ますことができる。そして、敗北した【ドリームワールド】の所持者は勝者の言うことを全て聞かなければならない。現実に戻った後も同様である』、だよね)
(その通りです)
(これから僕は起きるから、僕の部屋の前に来てください)
(分かりました。貴方のことは何とお呼びすればよいでしょうか?)
(常識的な呼び方ならなんでもいいよ)
(では、ご主人様、と)
(それ常識的なのかなあ…… これから僕の言うことを全て聞かなきゃならないからそうなるのかな? まあいいや、じゃあ早速よろしくね)
◆◆◆◆◆◆
いつもお読みいただきありがとうございます!
【ドリームワールド】に引き込まれた者は、起きている時と同じステータス、スキルで戦うことになります。
クラウスも夢の中で【交換】を使えるのですが、【交換】した結果は現実に持ち帰れないので、強化には繋がりませんでした。
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