第83話 辺境との別れ 

 アビスデーモンとヘルブラッドドラゴニアと対峙したが、この時僕はブラックギルドの下っ端とレベルを【交換】し、二桁レベルに落としていた。

 当然相手はレベルが高いはずなので、【弱者の意地】が発動し、僕の知性や精神は一時的に9999を超えていた。


 そんな僕のディバインレーザーが直撃したアビスデーモンはもちろん消し炭だ。


 それでレベルが大量に上がって100を超えたので、またブラックギルドの下っ端とレベルを【交換】。

 再び【弱者の意地】を発動させ、ヘルブラッドドラゴニアを迎撃した。

 相手にとって悪いことに、僕には【ドラゴンキラー】があるのでヘルブラッドドラゴニアを斬り裂くのは容易だった。


 二体を倒した後、最大MPが上昇していた。

 格上の相手に打ち勝つとまれにスキルが生えたりすることがあるらしいが、それに近いものだと思っている。

 または、【MP限界突破】の効果かもしれない。




LV:111

HP:76839/76839

MP:3499/3499

腕力:4768

体力:4498

速さ:4414

器用:4203

知性:9365

精神:9365

スキル

【生活魔法】

【上級剣術Ⅲ】【上級体術Ⅰ】

【中級盾術Ⅳ】

【全属性魔法マスター】【時空魔法マスター】

【エクスペリエンスⅡ】【ラージⅤ】

【ストロングⅢ】【バイタルⅡ】

【クイックⅢ】【コンプレクスⅡ】

【クレバーⅤ】【メンタルⅤ】

【ドラゴンキラー】【ライフレスキュー】

【スキル成長速度上昇Ⅲ】

【ムーンⅤ】【MP回復力上昇Ⅳ】

【セレニティⅤ】

【レアドロップ率上昇Ⅳ】

【MP限界突破】【MPバースト】

【攻撃時MP回復Ⅴ】

【撃破時MP回復Ⅳ】(UP)

【無詠唱】【詠唱時防御】

【不意打ち】【捕縛術】

【ステルスサーチ】

【トラップシーカーⅢ】

【目利き】【上級錬金術Ⅱ】

【エレメントレジストⅤ】【リボン】

【沈黙耐性Ⅱ】【麻痺耐性Ⅲ】

【暗闇耐性Ⅳ】

【弱者の意地】

固有スキル

【交換Ⅳ】





 念のため1週間ほどサランディア領に留まっていたが、アビスゲートを再び封印したためか、魔物はいつもの数に戻ったようだ。


 定時の巡回警邏に同行したり、少しだけ深く魔の聖域に踏み込んで封印を解こうとした者の痕跡を探してみたが、バリアブルケージをいくつか発見しただけで終わった。



「クラウス様、ここから遥か東にカイル帝国があります。魔の聖域が間にあるから、国境を接していないのです。もし魔の聖域を横断できれば、スパイト王国の通行料が不要になりますからもっと安く様々な物を輸入できるし、こちらの商品も買ってもらいやすくなるでしょう。ただ、あちらから侵略される可能性もなくもないですが……」



 砦からクオーツさんといっしょに東の方向を眺める。

 カイル帝国側にもこういった砦とか施設があるのだろうか。



「もしあちらと繋がれば、強き者との出会いがあるかもしれません。それでもクラウス様より強い者がいるとも思えませんが」


「どうなんでしょうね。カイル帝国は大陸の東側の覇者なんですよね。僕より強い人がいるかもしれません」


「それはないですわ。カイル帝国ですらこの魔の聖域を攻略できていないのですから。昔はティンジェル、カイル、スパイトで協力して魔の聖域を攻略しようという話もあったようですが、スパイトが一切協力しようとしなかったため、実現しなかったようです」


「そりゃ魔の聖域がなくなれば貿易の中継で利益を上げられなくなりますもんね」


「それもありますし、もともと彼の国は内紛が絶えないのですわ。王の交代は全て武力によるもの。前国王とその一族は処刑、追放は当たり前。魔物より醜いですわ」


「そうなんですね…… 魔の聖域はどこかの国の領土なのですか?」


「いえ、どの国も領有を宣言していません。したところで支配できるわけもなく、そこから被害が生じたから賠償しろとか言われても困りますからね」


「それもそうですね」





◇◇◇





 もう大丈夫だろうということで、いよいよサランディア領を去る時が来た。


 砦の小ホールでセレモニーをしてもらった。

 最初は簡単な見送りのみのはずだったが、あれよあれよという間に参加したい人が増えてしまい、結局送別式を執り行う感じになったのだ。


「我ら一同、貴殿をいつでも歓迎する。英雄に敬礼!」


 皆が辺境式の最敬礼で僕を送ってくれる。

 精強な軍人だけあって、誰一人のズレもない完璧な敬礼だ。

 僕は軽く頭を下げて、その場を去る。



◇◇◇



 さて、戻ってきたのはまずスタン侯爵邸だ。

 サランディアにいる間もちょくちょく戻って状況を報告していたが、これで最後の報告となる。



「さてさて、ご苦労であった。アビスゲートが開きかけていたとは国の存亡の危機であったな」


「ええ、魔の聖域にそんなものがあるとは知りませんでした」


「国の秘事であるからな。生身で結界を扱えるのは今のところ聖メルティア教国の聖女のみと言われておる。ただ、協力を仰げる相手かというと……」


「結界に特化した能力だったら、僕の【時空魔法マスター】で扱える結界魔法より強いかもしれませんね」


「またそんなことをさらっと…… お主の叙爵の話が決まったぞ。まったく、エルフの件と言い、ブラックギルド壊滅といい、功績をどう評価しようかと悩んでいたところに辺境のアビスゲート再封印など追加しおって。審議が間に合わぬわ。だが、叙任式は楽しませてもらうぞ」


 え、僕が楽しむんじゃなくて、侯爵様が楽しむの?




◆◆◆◆◆◆


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