第34話 次に交換したいもの
「エリアさん、六つ子のゆりかごでモンスターハウスが出現しましたので報告します」
「モンスターハウスが出現したのですか。これはギルドマスター案件ですね。では、2階の部屋にご案内します」
というわけで、もう何度来たかわからないヴェインさんの部屋に入る。
「ギルドマスター、六つ子のゆりかごの11階でモンスターハウスが現れました。ですが、魔物は全滅させました。持ちきれないほどの魔石とドロップ品がありまして、一番広い貸倉庫を貸していただきたいです」
「ん? モンスターハウスを全滅させた? 何を言ってるんだ? そんなことS級でもなければ…… ああ、いやなんでもない。で、レッドラインはなくなったのか?」
「はい、こちらに戻ってくる前に確認しましたが2本のレッドラインがくっついて最後に消えました」
「消え方まで知っているとなると本当だな。だがこちらとしてはきちんと確認せねば。今日から一週間六つ子のゆりかごの立ち入りを禁じて調べさせよう」
「ヴェインさん、まだ回収しきれず残っている魔石とドロップ品をダンジョン内に置いてきているんですが」
「ならば、調査員証を発行してやるからそれを持っていけ」
「ありがとうございます。その前にいま手持ちの袋を空にしたいので倉庫を貸してください」
「おお、そうだったな。すぐに貸してやるから一階で手続きをするんだ。それが終わったらすぐに出発しろ」
「ありがとうございます」
「それでは倉庫の貸出窓口までご案内しますね」
◇◇◇
クラウスたちが去った後のギルドマスターの部屋では、ヴェインが頭を抱えていた。
「C級ダンジョンとはいえモンスターハウスを消滅させるなんて、本来ならS級か軍に討伐を頼む代物なのに…… ああ、領主様への報告が憂鬱だ…… なんて書けばいいんだ? 『出現していましたがとある冒険者パーティが発見後その場で消滅させました』ってか? マリー殿に丸投げしちまおうかな……」
結局、冒険者パーティは軍のスカウトの時と同じパーティであることがわかるとそれ以上の追及はなく、モンスターハウスのことは静かに葬り去られた。
◇◇◇
ギルドに倉庫を貸してもらい六つ子のゆりかごに戻って、残りの魔石とドロップ品を回収してきた。
今日は朝から魔法ばっかり発動し続け手作業で魔石とドロップ品を回収し続けたおかげでもうくったくただ。
レベルやスキルが上がったりしたが、その確認はまた明日だ。
次の日、ミストラルさんは奉仕の日なのでトルテさんといっしょに昨日の戦利品を納品しようとすると、一番広い作業室に連れていかれヴェインさんが待っていた。
「クラウス、来たか。量が量だからな、俺も立ち会うことにした。ジバンの件もあったしな」
「おはようございます、ギルドマスター。わざわざすみません。では早速お願いします」
僕はマジックバッグから昨日取りに行っていた残りの分を出していく。
ギルドの職員は、魔石を計測器に次々と入れていき仕分けされた魔石が吐き出されていく。
ドロップ品は手作業で仕分けていく。
マジックバッグが空になったので貸倉庫にある分を取りに行った。
戻ってきてもまだ作業が終わっておらず職員が黙々と作業を続けていた。
「ジバンみたいになりたくなけりゃ、ごまかすんじゃねーぞ! 疲れたやつは適宜気交代して休憩をとれ。時間はあるから正確さを優先しろよ」
(ここからさらに追加があるんです、ごめんなさい)
心の中で謝りつつ僕は追加の品を出した。
◇◇◇
夕方まで納品の確認が続いて全て数え終わった。
魔石の数は2525個。ドロップ品は978個。
レアは81個。
ドロップ率はだいたい40%、レアは3%前後と言われているから、今回はドロップ率が少し低めだったかも。
ボスの魔石がなかったのでモンスターハウスはまだそこまで危険なものではなかったようだ。
あれだけの数がもし統率されていたら恐ろしいことになる。
今回は魔物たちがてんでバラバラに僕たちに向かってきたから簡単に対応できたけど、もしかしたら命の危険があったかもしれない。
次があったら気をつけよう。
ドロップ品のいくつかは錬金術の練習用として残しておいて、それ以外を納品して金貨2枚、大銀貨4枚だった。
だいたいC級の1年半くらいの収入だ。
そして、モンスターハウスを潰した後の僕のステータスはこうだ。
LV:69
HP:10462/10462
MP:200/200
腕力:992
体力:977
速さ:884
器用:583
知性:771
精神:705
スキル
【生活魔法】
【中級剣術Ⅳ】【中級盾術Ⅳ】
【中級水魔法Ⅳ】【中級風魔法Ⅳ】
【中級雷魔法Ⅳ】【中級光魔法Ⅳ】
【取得経験値半減】
【ラージⅤ】【腕力上昇Ⅴ】
【体力上昇Ⅳ】【クイックⅠ】
【器用上昇Ⅲ】
【知性上昇Ⅴ】(UP)
【精神上昇Ⅳ】
【スキル成長速度上昇Ⅱ】(UP)
【MP回復力上昇Ⅳ】
【レアドロップ率上昇Ⅱ】
【攻撃時MP回復Ⅲ】
【撃破時MP回復Ⅰ】(NEW)
【詠唱短縮Ⅳ】(UP)
【詠唱時防御】
【探知Ⅲ】【隠蔽Ⅲ】
【トラップシーカーⅢ】
【初級錬金術Ⅳ】
【毒耐性Ⅱ】【沈黙耐性Ⅱ】
【麻痺耐性Ⅲ】
【弱者の意地】
固有スキル
【交換Ⅲ】
やはりというかなんというか、魔法関連のスキルが上がっている。
あれだけ雷魔法を唱えまくったから【知性上昇】と【詠唱短縮】は上がって当然な感じだ。
【スキル成長速度上昇】も上がっているが、これはいまのところ効果を実感できていない。
今回の目玉は【撃破時MP回復Ⅰ】だろう。
敵を撃破したら最大MPの5%が回復する。
もしかしてこのスキルは時間当たりの撃破数が条件だったりするのだろうか。
そして、レベルが上がったのでまた実験だ。
何を試すのかというと、レベルの交換をするとどうなるのかということだ。
今は【弱者の意地】の効果をできるだけ維持したいので、【取得経験値半減】によりレベルを上げるペースをわざと落としている。
でも、レベルを交換して低レベルを維持できれば?
【弱者の意地】の恩恵を受けつつ、うまくいけばレベルアップを少ない経験値で繰り返せるかも?
とにかく実践してみないことにはわからないので僕とレベルが近い人を超えるまでレベルが上がるのを待っていたのだ。
相手はトルテさんによからぬことを考えていたC級パーティの人(レベル59)。
思わず僕のレベルが上がりすぎてしまったが、もし上手くいかなくてもレベルアップ前の53よりは高くなるから多分大丈夫だろう。
というわけで、いざ【交換】!
◆◆◆◆◆◆
いつもお読みいただきありがとうございます!
実験台にされるC級パーティの人は第28話に出てきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます