第27話 デート? 再び
暁の戦士団が処刑されるまであと6日あるけど交換元になるスキルがもうない。
んー、スキルってそんなにポンポン生えてくるものでもないしなあ。
そう考えると固有スキルと同時にマイナススキルがいっぱい生えてきたのって、行き詰まらないためだったのかな?
◇◇◇
優先順位をいろいろと考えるが、交換しないまま2日過ぎたとき。
頭に軽い衝撃がくる。
何かしてたっけ? と思いつつ自分のスキルを見てみると【生活魔法】が生えていた。
やった!
これだ!
解決法はまさかの【生活魔法】だった。
早速欲しかったスキルと交換する。
スキル
【MP回復力上昇Ⅳ】(←【生活魔法】)
【MP回復力上昇Ⅳ】は、MPの自然回復のスピードを40%上昇させる。
今の僕だと1時間の間にMPが70回復する。
これと【攻撃時MP回復Ⅲ】の組み合わせでスキルを早回しすることができる。
そういえば、【生活魔法】は日常生活を過ごしていれば誰でも勝手に身につくものだ。
これを【交換】に使ったときはクリーンが使えなくなって不便になるけど仕方がない、と思っていたけどその心配もなくなった。
次に【生活魔法】が使えるようになったのは暁の戦士団の処刑当日だ。
間に合った。
スキル
【中級風魔法Ⅳ】(←【生活魔法】)
【中級雷魔法Ⅳ】(NEW)
水と風の魔法が揃ったので雷魔法も同時に生えてきた。
これで暁の戦士団との【交換】は終わりだ。
さよなら。
そして、今日は沈黙の谷のボスに挑む。
暁の戦士団を捕まえてからも沈黙の谷に潜っていたが、わざと沈黙攻撃を受け続けていた。
7階からは、沈黙攻撃を多用するハーピーが出てくるからちょうどいいと思ったのだ。
無事【沈黙耐性Ⅰ】が生えてきた。
沈黙にかかる確率を10%下げ、かかった場合でも継続時間を10%減らしてくれる。
スキル
【沈黙耐性Ⅰ】(NEW)
7階から【隠蔽Ⅱ】を駆使して沈黙の谷を一気に駆け降りる。
無事ボス部屋まで到着。
少しだけ休憩してボスに突入。
ここのボスはハーピークイーンとお供のハーピー2~4体だ。
飛行系は雷弱点の場合が多く、このハーピークイーンたちも例外ではない。
「……蒼き稲妻よ、嵐となりて我が敵を討て、サンダーストーム!」
雷の嵐がハーピークイーンたちを包み込み、やがて中心に向かって収束して消えていく。
後には、魔石とドロップ品が転がっているだけだった。
魔法による一網打尽って、ロマンだよね。
一度やってみたかった。
僕の知性はA級中位のステータスくらいあるので、中級雷魔法でD級の敵くらいなら一撃だ。
また【詠唱短縮Ⅲ】で詠唱時間は30%減っているし、【詠唱時防御】があるから攻撃されても大丈夫。
ソロでも安心だ。
こんな感じで沈黙の谷のボスを撃破し続けた。
道中ではわざと沈黙攻撃を受け、ボス部屋直前で時間経過により沈黙を回復しボスたちは雷魔法で一掃する。
沈黙耐性は一つレベルが上がり、レベルも一つ上がった。
それと一回だけハーピークイーンのレアドロップがあった。
クイーンのかぎ爪といって、道具として使うと【中級風魔法】のエアシューターが発動する。
詠唱がいらないので、わりと便利な道具だ。
ハーピークイーンの魔石を15個ギルドに納品して、無事ランクがあがり僕はC級になった。
シビルカードの更新をしてもらいエリアさんからカードを返してもらうとき、カードの下に手紙が添えてあった。
◇◇◇
3日後の昼、エリアさんと待ち合わせの場所に向かうと、エリアさんとサブマスがいた。
馬車も用意されていた。
ん? ただの昼食なのに馬車でどこ行くの?
と思うが、これからエリアさんと向かうところと、サブマスの用事があるところが同じ方向なので、乗り合わせということらしい。
3人で馬車に乗って少しすると、貴族街の入り口が見えてきた。
「あの、エリアさん、僕ノーブルカード持ってませんよ? このまま入っていいんですか?」
「クラウスよ、先に話は通してあるから心配しなくてもいいぞ」
サブマスが代わりに答える。
サブマスはいつもギルドで見る格好だ。
エリアさんはピンクのスカートがよく似合う私服姿だ。
そのまま貴族街の入り口を通って、馬車は大きな邸宅前で止まる。
「エリアさん、いったいここは?」
「ギルドから特別に融通してもらったのですよ。さあ、中に入りましょう」
執事のような恰好をした初老の男性に案内されて、建物の中に入っていく。
ダンスでも踊れそうなくらい広い部屋に、パーティ用かと思うくらい長いテーブルが用意されていた。
「ふふっ、クラウスさん、いっしょにお食事をとるのは2回目ですね」
「そうですね。ここって、前回のレストランよりもお高いんじゃないんですか? 僕のC級昇格のお祝いにしては豪華すぎるような……」
「昇格祝いもそうなのですが、私がお渡ししたマジックバッグが引き金になって命を狙われてしまったことへのお詫びも兼ねています」
「それはエリアさんのせいではないと思うのですが…… 暁の戦士団に関しても、以前の冒険者狩りのときと同じで、エリアさんを頼らせてもらったのですから、僕が感謝しなければならないくらいです」
「クラウスさんがお強いというのはギルドマスターから聞いていますが、とても心配したのですよ。私のせいで何かあったらどうしようかと。そうでなくても、業を煮やした彼らがクラウスさんの家族を襲うなどを考えていたかもしれませんからね」
「僕もそこまでは考えていませんでしたね……」
「クラウスさんはこれからもっと強くなっていくでしょう。いずれはS級に。そうなると貴族との付き合いも必要になります。であればこのような場に慣れておいたほうがよいです。今日のこの場も、そのための第一歩とお考え下さい」
うーん、僕を買いかぶりすぎじゃないかな。
ちょっと期待が重すぎるような……
エリアさんとの食事は正直楽しみだったから、まあいいか。
「どうしました、クラウスさん?」
「なんでもありません。どこまでやれるかわかりませんが、期待に応えられるよう頑張ります。どのみち『永遠の回廊』を踏破するならS級は避けて通れないでしょうし」
「クラウスさんならできると信じていますよ。次は貴族のマナーですね」
この後も次々と運ばれてくる料理にだんだん食べきれなくなり、残してしまうことになったが、残された料理もちゃんと後で有効に活用しているから大丈夫とのことだった。
場所が広すぎて、少し離れたところにいる給仕役以外、たった2人で食事するのはちょっと寂しい感じがした。
聞いてみると、このような場所を用意できること自体がステータスなのだそうだ。
こういうのも慣れないといけないのだろうか。
帰るときにはまたサブマスと合流して馬車に乗っていった。
ギルドの幹部は貴族の相手もしなければいけないなんて大変だ。
◆◆◆◆◆◆
いつもお読みいただきありがとうございます!
少しずつ外堀を埋めようとするエリアでした。クラウスはいつ気がつくのでしょうか。
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