第4話
「世界は笑っていた」4
地震を回避する方法は無いのですか。
無い。
僕に出来ることはありますか。
ある。
それはなんですか。
見届けよ。そして、今感じてることを心にしまって新しい国を造れ。君に出来ることは新しい国を造ることである。
無理です。
愛する者を見つけ、家を建てて、子を作り、家族を持つことが国造りである。
そういう事ですか、僕は陰キャだからなぁー。
大丈夫。ワシが助けてやる。
マジっすか、助かります。
売店に軽トラがあるから、食料と生活用品を詰め込んでおけ、そして地震後に東京へ戻れ。まさくんの所は安全だからしばらくは彼処で救済活動せよ。足りなくなったらカラス達に集めさせよう。
まささんの所って首塚ですか、彼処狭くて寝れませんよ。
そうなの。
はい。
じゃあ、プレハブ住宅建てて置くように伝えておく。
あざっす。
八咫烏のヤッサンと話が盛り上がっていると夜になっていた。
東京の空を見に行こうとヤッサンが望遠鏡の所へビール片手に向かった。
山間から見える微かな街の灯りは朧気に揺れて見えた。赤紫の空には雷鳴が轟いていた。微かには山々の木々がざわついている。しばらく見ていると大きな炎が立ち篭め始めたー。
僕はビールを足元へ置いて、望遠鏡に百円玉を入れて東京方面を覗き込んだ。
街が燃えて空が赤くなっていて夜空へとグラデーションを描いていたのだ。崩れていく東京の街と同じように僕も足元から力が抜けていった。目の前が霞んでそのまま意識が飛んでいった。
それは95年のニュース映像を見ているようだった。
暗闇に燃える炎の点があちこちにある。ビル群は傾いていたり、崩れ落ちていたり住宅街は渦を巻いた煙が上がっている。広い国道は渋滞していてそこに街路樹が倒れている。
つづく
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