第3話
「世界は笑っていた」3
大勢のカラスが鳴きながら山へと戻ってきた。
カラス達は我先にと手水舎で行水を始めた。飾りの花があちこちに飛び散っていてガヤガヤしている。
下品な奴等だと思った。
そうこうしているとデブ天狗と少し大きな3本足のカラスがやってきた。
それに気付いた行水カラス達はピリ付いてそそくさと散っていった。
「君がまさくんからの紹介できたメキシカン君かね」
「メキシカンじゃないです。サンチョです」
「ハハハ……まぁよいよい。しかし、君は運が良いね。明日東京は無くなるよ」
「それって本当なのですか」
「本当だよ」
「なんでそんなに落ち着いてるんですか、たくさんの人が死ぬんですよ」
「そうですよ。建物も崩れて甚大な被害が出ますよ」
「それなのに」
「これはね。避けられないのだよ。これまでにたくさんの警告を発してきていたのだけれどもね。人は無視を続けてきたのだよ残念な事だよ」
「そうなんですか」
「感じ取れた人はもうすでに逃げたけどね」
三本足のカラスは八咫烏と言うらしい。
十年前から東京にある、ありとあらゆる場所で警告を発してきていたらしい。カラス達を都市部から居無くならせたり。大雨を降らせてたり、狸や狐を人間に化けさせてYouTubeで地震情報をアップさせたり、人間は良を悪にし悪を良にする。真実よりも多くの嘘を信じる生き物であり、間接的な伝え方では助けられない。どんな災害が起きようとも日本人は立ち直ってきたが、今回は今までとは比べものにならないとの事だ。
つづく
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