第6話

月日は流れあっという間に春になってしまった。




夜の公園には桜がひらりひらりと月夜に照らされ、舞っていた。


優は分かっていた。


真生とは別の高校になってしまうのも。

それが県外なのも。




最近の真生の態度で優は勘付いていた


(高校の話になるといつもすぐ下を向く…ちっちゃい頃から一緒なんだから、すぐ分かるのに…)



「僕は平気だよ」



あっけなく笑う真生の顔が優の胸を締め付けた。


(きっと、親友の碧斗は真生の後を行くんだろうな)



目の前には桜の木から泣くようにひらひらと花びらが落ちる。



楽しかった事

笑いあった事


そのすべてが愛おしい


気がつくと優の目からはぽろぽろと涙が溢れていた。



「まお…」


「優!!!」



声が重なった。


優の後ろには真生が立っていた。


「ごめん…いつか言おうと…」

「真生、ずっと…ずっと…友達…だよね…?」


優が涙を流しながら、真生を真っ直ぐに見つめた。


真生の目からも涙が溢れていた。


「うん。約束っ…ずっとずっと」





「友達でいよう」

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夜桜 〜さよならの数〜 結城 うか @_uka_

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