第10話 変態ばっかだった
「じゃあ、始めるぞー」
ピッ!
先生が笛を鳴らし、試合が始まる。
「「「「「死に晒せー!!」」」」」
敵チームが空に突撃してくる。
「な!? パ、パス!!」
空は味方のチームにボールをパスする。
しかし…
「待て待て待て待て!! なんで僕の方に来る!?」
相手チームはボールを持っている者ではなく、空に凄いスピードで走ってくる。
「バ、バスケをしろよ!?」
空がそう言うと走るのをやめ、止まる。
「はっはっはっ! バスケ? そんなものやる必要などない!! 俺達の目的は只1つ!!」
「「「「「お前の命だけだっ!」」」」」
チ、チクショウ!! まだ死にたくはないぞ!?
空は振りかぶってきた拳に、反射的に目を瞑る。
や、やられる!!
「お前らー、ちゃんとやってるかー?」
ビクッ!!!?
相手チームが空の身体に触れる、という時に突然動きを止める。
入ってきたのは体育の先生ではなく、晶子先生。
「おっ! バスケか〜、懐かしいなぁ!」
先生は笑いながらコートに入ってくる。
「ヘイヘイ! パス!」
晶子先生は空のチームからボールを貰うと、華麗なドリブルで敵を抜き去って行く。
まぁ、華麗なドリブルって言っても…
バルルンッ
晶子先生が持っているボールの事だが…。
「ほら! シュートだっ!」
晶子先生はジャンプシュートを決める。
「「「「「おぉっ!!!!」」」」」
そのコートの中に居る者だけでなく、コートの横で待っている男子達からも声があがる。
ジャンプシュートの訳だからな。
周りから声があがった理由は明白だ。
「先生凄いです!」
「もう1度参考に見たいです!」
「俺はドリブルを見たいです!」
「お、俺はシュートを参考に!!」
「いや〜、やってあげたい所なんだけど今は体育の大山先生に用事があってな。また今度な?」
「「「「「はいっ!!! よろしくお願いします!!!」」」」」
周りから大きな、むさい声が体育館に響き渡る。
ここに女子がいないからって…。
女子は第1体育館でバスケ中である。
「ちっ。空、今回は許してやるけど、またやったら許さねぇからな!」
空に襲いかかろうとしてた男子達は離れていく。
よかった、許されたか。
それよりも…
僕は周りを見渡す。
周りには何故か中腰になった男子生徒達がいた。
本当に男女分かれててよかった。色んな意味で。
空達はその後、普通にバスケを終わらせた。その後、試合の終わらせた男子は第1体育館に向かう。
「ん、あれって…」
「おっ!! あれは氷川さん!?」
雄太郎が目を見開き、叫ぶ。
キュッ ダンダンダン
そこでは、晶子先生と違う"本当の華麗なドリブル"をしている氷川さんの姿があった。
「氷川さんめっちゃ凄くね?」
雄太郎が呟く。
まぁ、そりゃそうだろ。
小学校からバスケを始め、中学校に入り才能を開花させる。全国制覇へと導いた立役者。
天才。
その言葉が最も相応しい者がバスケ界で現れたと言われた。
それが氷川さんだ。
麗奈は綺麗にディフェンスをしている者を抜くと、レイアップシュートを決める。
「おぉ! 氷川さん凄くね! でもバスケ部に入ってないよな? なんでだ?」
「…まだ転校してきて数日なんだ。そんな早くには入らないんだろ」
空達はその試合を見届けて、授業を終えた。
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