第13話 虫が来た・・・違う、メカだった
次の日、目指す研究施設破壊計画についての計画の会議が招集された。崋山はとうとう決着がつくと思い、感慨深く話を聞いていた。すると操縦室から緊急連絡をして来た。行方不明の第7銀河の船を発見したらしい。絶妙なタイミングだ。崋山は何だか敵の思惑を感じた。もしかしたら、こっちの動きが判っているのかもしれない。罠のような気がする。
だが、第7銀河の人たちは喜んで、救助に行こうと張りきった。何処の船も、もしもの時のため食糧は数年分積んで居る。船が走行不能になっても救助が来るまで持ち堪えられるようになっていた。救助が来ても皆餓死していた、と言う事は避けたいと考えられて食料は大量に積んでいたので、救助を待っていると確信しているようだった。虫が来たという話に彼らは、あまり重要性は感じていない様だった。応答が無かったのだが、故障しているのだろうと言い、救助船を準備して第7銀河の人たちは全員出発の様だ。念のため殺虫剤はきっちり装備している。
崋山は、
「大丈夫かなあ、何だか取ってつけたような位置で見つかったし」
心配になってきたが、第7銀河の人たちは、あまり用心深い性格ではないらしい。見つかったことに喜んで、救助の段取りばかり色々想定して、準備していた。崋山はとうとう顔見知りのルルさんに、
「大変そうだね。僕も手伝いに行こうか」
等と申し出たが、
「いえいえ、あなたは研究施設攻撃の大仕事があるでしょう。救助は私たちで、大丈夫です。でも、言ってくれて有難いです」
と、感謝された。イヴに
「崋山ったら、どうしたの。あんたは大仕事が控えているのに」
と言われたが、
「何だか心配なんだ。爺さんから、虫が敵の新しいメカのような気がすると、言われているんだ」
「へえ、でも船長達は気にしていないみたいだよ」
「虫って情報があるからねえ」
第7銀河の人たちは、操縦室に明かりが見えないので向こうは停電のはずだと、ヘルメットにライトとカメラを装備して、こっちの指令室と連絡を取るマイクも全員装備していた。この状況では、これが精いっぱいだろうと崋山も考えた。心配だが様子を見るしかない。
先日から、崋山達と仲良くなっている第20銀河の人たちは、操縦室勤務なのだが、彼らがミーティングルームの様子を、なぜか伺っているのに気が付いた。崋山はひょっとしたら、自分に用があるのではないかと思い声をかけた。この前覚えた挨拶の言葉を試しに言ってみたら、通じた。他の人には、
「クー、ククー」
位にしか聞こえなかったようだが、彼らは多分にっこりしたらしい顔で、挨拶を返してきた。周りの第3銀河の皆はすごく驚いている。
「崋山、いつ第20銀河の言葉をしゃべれるようになった?」
チャンが代表で聞くので。
「昨日です」
と言っておいた。挨拶以外は翻訳機が必要だった。内密に話したいらしいので操縦室に入って、一応小声で言ってみた。
「何か話があるのではないですか」
「はい、私たちは秘密にしているのですが、少し透視が出来ます。あの船には生きている人は居ません。そして彼らが虫と思っているものが居ます。透視能力は秘密にしておかなければならないので、困っています。第7銀河の人たちが危険です。困りました」
「やっぱりな。あなた方の透視の話はしません。龍昂も、敵が新しく開発したメカかもしれないと言っていました。その話で行きましょう。あなた方が龍昂と同意見だったって事で、僕は彼らを追って救助に行きます」
崋山は踵を返すと、
「船長、龍昂や、第20銀河の人たちは、虫が新種の兵器じゃあないかと言っています。僕、念のため彼らについて行きますから。良いでしょ」
と言って自分の装備を始めた。ミーティングルームの隣が第3銀河の戦闘準備室なのですぐに準備が出来た。崋山はスイッチが入ると素早い。船長は、
「お前はホントにいざとなると、独壇場になるな。まだ許可して無いのに」
と言っている。それを見ていたイヴは、
「あたしも行く」
と言い出した。船長は、
「これこれ、私は許可していないぞ」
崋山は、
「救助について行くだけですから、それと僕が出たら、少しあの船から離れていた方が良いです。ほら、報告では、虫が寄って来たってあったでしょ。イヴは来なくていいから」
そう言って自分の戦闘機の格納庫へ走って行っていると、イヴが素早く装備してついて来ていた。
「もう、付いて来るなって言ったのに」
「相方は一心同体なの」
イヴもスイッチが入ると素早い。仕方なく連れていくしかなくなった。もめている時ではない。
出発して船の中に入る前には、すでに中では大混乱が起こっていた。船長から。
「崋山、お前の言う通りだったぞ。応援を送るが、物凄い数だ。火炎放射器を持って行っているだろうな。それしか手はないぞ」
「分かりました。イヴ、ところでそれあったかな」
「ええっと、これかな」
「それそれ、お前持ってろ」
「崋山のは」
「普通一つ装備だろ。いつも火事おこしたいか」
「ええっ、あたしついて来て邪魔だった?」
「今更言うなよ」
船の入口は開け放たれていた。入って見ると、彼らが乗っていた救助用の比較的大きな船が置いてあるが、虫も人も居ない。
「中に入って行ってから、襲って来たんだな。意図を感じるな。何処からか操っているみたいだ」
「なるほど」
イヴが崋山の推理に感心していた。素早く降りると、
「あの船に火炎放射器あるんじゃないかな。多分持って行かなかっただろう」
「そうだね」
見てみるとやはり持って行っていなかった。3個もあるので、崋山は両手に持ち、イヴにもそうするように言うと、
「あたしは両手使いじゃあないから」
と言うので、仕方なく一つは、背に負っていると、
「そんなに要るの」
と呑気なことを言うので、
「足りなくなるかもしれないくらいだ」
と答えると、
「じゃあ、あたしがしょうよ」
と言うので任せて、閉まっている廊下へ出るドアを少し開けて様子を伺った。その辺には居ない。だいぶ離れたところから、酷い叫び声が聞こえてきた。
「イヴ、行くぞ。火炎放射器直ぐ発射出来るようにしたか」
「うん、オーケー」
二人で周囲に気を付けながら、叫び声の方へ走っていると、ばらばらと上から黒い何かが落ちて来た。二人は、はっとして火炎放射器を使った。素早く逃げられて、あまり当たらない。
「ちぇっ、気を付けろよ。また来る」
又走って、廊下を曲がるとそこはもう壁が無くなっていて、中の配線がむき出しになり、線は切れ切れだ。
「何これ、虫が食べたとか?」
「メカが壊したんだっ」
人が倒れていた。イヴが急いでそばに寄ったが、
「死んでる。それに食われてる」
「何だって」
崋山は倒れた人を仰向けにすると、確かに食われたように服が破れ、体が欠損していた。
「生きているのか、あれは」
気を取り直して急ぐとまた二人死んでいた。そこへ生きている人が走って来て、だけど顔を少し食われていて、「わあ、火炎放射器持ってきてくれたか、貸してくれ」
「あんた怪我してる。もう無理だよ」
「俺らに任せて、船をスタンバイさせておいてください。この火炎放射器一個持って。船で待っててください。付いて来ないで。その怪我はまずいですよ」
「そうか、すまない。船の出発準備しているな」
そう言われて別れて、イヴの背負っていたのを持ち、なおも急ぐと又倒れている人がいた。イヴが、助け起こすとルルさんだった。
「息があるよ。連れて帰ろうよ」
「そうだな。もう声がしないし、皆やられたかもしれない」
「本当だ。あっ、あれは何」
前方にある黒い塊がこっちに向かってくる。
「奴らだ。お前、ルルをおぶって全速力で走れ。その火炎放射器持てるか。だめならよこせ」
「三つ持つの」
「あれじゃあ、すぐ無くなる。そこに置いて早く走れよっ」
崋山はその場に留まり、火炎放射器を当て続けたが、自分で言ったとおりすぐ無くなり、一個を持って、イヴの後を追って走った。イヴがギャッと叫んだので、やっぱりと思い、
「イヴ、止まって端に寄れ」
と叫び、イヴたちを避けて、火炎放射器を放った。
「へえ、細い火にもできるんだ」
イヴは、妙に冷静だ。
追いついた崋山は、
「お前これ持て」
と火炎放射器を渡し、ルルをイヴから取り上げ、宇宙服のベルトでルルを素早くおぶった。
「あたしがこれ持って、どうするんだ。あんたの方が当てるのに」
「ルルさんが、ほら、ピストル系の銃2丁持っている。この手は玉が結構入っている。後ろから追いかけてたら見えたんだ。これ使う」
「うっそう。あいつら、それで当たるの」
「良いから前見て走れよ、前から虫が来たらお前に任せるからな。もう奴らが近づいた」
崋山は後ろを向くと、次々飛んでくる虫たちを撃ち始めた。当たっている。しばらく集中して撃ち、後ずさりしながらどんどん撃って行った。
「それだって、もうすぐ玉切れじゃない。どうする」
「倒れている人から貰ってくれ」
「なるほど」
第7銀河の人はピストル系の銃が好みだったようだ。皆2丁ずつ持っていた。しかし誰も虫をピストルで打とうとは思わないだろう。襲って来るときはぴょんぴょん弾んで飛んでくる虫は、当たりっこない。イヴはそれを物凄い速さで撃ち落としている崋山を見て、恐るべし崋山と思った。敵が彼に会ったら逃げろと噂するはずだ。走りながらイヴがチラッと振り向くと、虫がまばらに飛んでいて、それも撃ち落とされるのは時間の問題の様だった。前からはもう来そうも無くなった。最後の虫を撃ち落とした崋山は、
「イヴ、急いで帰らないと。虫は俺らの船に移ったんだ。だから少なくなった」
「わあ、大変だ」
慌てて戻ると、悲しいことにさっきの人は船の中で亡くなっていた。
「どうして、さっきまで元気そうだったのに」
「うん、毒があったのかもしれないな。顔をかまれていたから、脳に毒が回ったんじゃないかな。連れて帰って調べてもらおう。母船がやられてしまっていたら、終わりかも知れないけど」
「やだもう」
イヴが泣き出したくなっていると、崋山が船の中を見て、
「おお、見ろよイヴ。まだこんなにピストルがある。数えきれないよ。心配しないでいいよ。これだけあれば全部やっつけられるよ。腕がだるくなるかもしれないけど。ところでイヴはこの船操縦できる?」
「出来るわけないだろ。こっちはあんたらよりここじゃあ後輩だよ」
「わあ、どうする」
騒いでいると、ルルさんが気が付いた。しかし手足をかまれている様だ。毒はどうだろうか。
「大丈夫ですか、ルルさん。あ、大丈夫じゃあないですよね。これは愚問だった。でも僕たち困っているんですよ。この船動かせないし」
崋山が困り果てて、でも少し希望をもって言うと、
「やはり助けに来てくださったんですね。ありがとう、崋山、イヴさんも。私の相方が火炎放射器を取りに行ったんですけど・・・死にましたか。毒で。私は服は破れましたが、体に傷はありません。倒れた時気を失っていたようです」
「じゃあ、虫は倒れたからやっつけたと見てもう攻撃しなかったんですね。やはり敵は何処からか虫を操縦している感じがしますね。僕らの船に虫が移った様なんです。この船ルルさん一人で動かせますか」
「それは大変。直ぐ操縦します」
たぶんルルさんは脳震盪だったのだろう。ふらふらするようだけれど、頑張って操縦してくれた。母船に戻ると、丁度みんなが助けに出航しようとして開けた出口から、侵入した様だった。戦闘機を慌てて出て火炎放射器を使ったようだ。だが皆、居なくなっている。
「中に入っちまったから、皆追いかけたんだろうな。敵が操っているとしたら、操縦室に行くだろうな」
「そうですね、予備の火炎放射器は何処に置いているでしょうか」
「ルルさん、動いて大丈夫?」
「今、戦わなければどっち道終わりでしょう」
崋山は、
「そうですよね」
と、置いて有りそうなところを探し、二人にふたつずつ渡し、
「僕はルルさんの所のピストルを使わせてください」
と言って、2丁ずつ左右の腰に差した。ポカンと見ているルルさんにイヴは、
「崋山はピストルで虫を撃ち落とすよ。百発百中なの。見なきゃ信じられないでしょうね」
と解説した。
「いえ、大体の事は想像できます。イヴさんにも見せてあげたかったですね、彼の初日の戦闘を」
「うん、あたしも見たかったと言える」
「二人にこれだけ持ち上げられたら、僕きっと虫が全滅するまで戦うよ」
「お願いします」
崋山はさらに火炎放射器をふたつ肩に担ぎ、こっちも戦闘マシンになった気分で、操縦室に向かった。急ぐべきだろうが、虫達が何時襲って来るかわからないので、少しづつ移動した。船長室前までたどり着くと、やけに熱い、
「この中きっと火事だな。どうしようかな。開けてみようか。どうなっているか確かめた方が良いよね。船長室だから」
崋山はルルさんに相談した。
「フラッシュバックが起こるかもしれませんけど。放って置いて行くわけにもいきませんね」
と言う事になり、廊下に飛び飛びに置いてある消火器をかまえて、崋山は、
「イヴ、開けてみて」
と言いそうになったが、消火器はルルさんに任せ自分はピストルを構えた。
イヴが開けると、やはり虫が飛び出て来て三人で大騒ぎだ。何とか崋山は殺すことが出来、ルルさんは消火に専念した。船長と副船長のチャンが倒れていた。船長は食われていた。チャンは火炎放射器で対応したようだが、意識が無い。服はちゃんとしているから、食われてはいない様だった。
「船長、チャン」
三人で必死で声をかけたが気が付かない。
「きっと酸欠でしょう。酸素ボンベはどこかにありませんか」
ルルさんに言われて探すと、船長のデスクの下にひとつあった。
「こういう場合、どっちが先?」
ルルさんに相談。
「船長の酸素ボンベでしょうね。多分。崋山は人工呼吸とかした事ありますか」
「ええっ、チャンと?」
躊躇しているとイヴが舌打ちしながら崋山を押しのけてチャンの人口呼吸を始めた。船長にはルルさんが酸素ボンベを当てた。崋山は、
「僕は、虫が来ないか見張って置かないと」
と言って、ドアの外を見張った。他の乗員はどうしているのだろうか、操縦室は無事なのだろうか、あそこには第20銀河のククンとかクークーが居る。自己紹介されても区別は付かなかったが。他にも数人いたが控えているだけで黙っていたっけ。不思議な人たちだが、崋山の予想ではいざとなったら、強そうな感じがしていた。ひょっとしたら、何とか始末してくれているのではないかと、期待していた。あたりを見ていても、虫の気配は無い。
「ううっ」
チャンがうめき出した。崋山はほっとした。はっきり言ってチャンが居なくなっては困る。頼りになる人だった。「チャン、大丈夫ですか」
ドアの所から声をかけると、目を開けたチャンは、ゲホゲホせき込んだが、血色は良くなっている。
「ああ、お前ら戻って来れたんだな。ルル。他の人たちは?」
ルルは黙って首を振った。
「全滅だって」
と言いながら、またむせて居るのを横目で見ながら、崋山は又廊下を見ると、虫がやって来ていた。
「畜生、来やがった」
火炎放射器でしばらく燃やしたが、とだえる事は無い。崋山は内心人声を聞きつけてやって来たような気がした。と言う事は、他の仲間はやられてしまったのだろうか。チャンが、
「おいおい、そんなに来ているのか、俺らも操縦室に逃げ込みたいものだな。あそこの壁は相当厚いし、硬い超合金で作ってあるんだ。言わば要塞みたいなもんだ。襲ってきたとき船長は自分は救助の指図で皆と出口に居たから入れっこないが、直ぐ操縦室のロックを命令した。所で船長まだ気が付かないな。どうしてだ?」
ルルさんは残念そうに、
「嚙まれていますからね。毒があるようです」
「それじゃあ、なおさら操縦室に行かなければ、あそこには万能解毒剤がある」
崋山は、
「じゃあ行きましょう。イヴ、船長をおぶってチャンと進んでくれ、僕とルルとで火炎放射器を使おう」
ルルも、
「それが一番良い担当でしょうね」
と、並んで火炎放射器を放った。
「今日も崋山の独壇場だな。イヴ、俺がおぶわなくていいのかな」
「副船長は、今まで倒れてたでしょ。あたしは体力が取柄なの。行こ」
「そうだな、急ごう。お前の火炎放射器くれ、おや、ふたつ持っているか、よし、燃料が無くなるまでにたどり着きたいもんだな」
走りながらチャンが言うと、
「燃料が無くなったら、崋山が銃で打ち出すよ」
「ホントか、信じられないが、そうなんだろうな」
そう言っているとやはり、崋山の分は無くなったらしく、銃声がし出した。好奇心には勝てず、チャンは振り向いた。
「当たってら」
と、言いながら何とか操縦室にたどり着き、モニターに向かって、
「おい、開けてくれ。俺たちだ」
と、叫ぶが、開かない。
「どういうことだ」
崋山が追いつき、銃でロック部分を撃った。ルルは火炎放射器をかまえながら、
「追って来ていたのは急にいなくなったよ。崋山その中にも居るんじゃないか」
「イヴ離れていろ。チャン開けてくれ」
崋山も銃を構えた。
「崋山は火炎放射器じゃなくていいのか」
チャンが言うと、
「ぴょんと来る奴はこっちの方が良いみたいです」
「じゃあ行くぞ」
チャンが開けると、案の定、虫たちが飛び出してきた。崋山は物の凄い速さで虫を撃ち落とし、飛んでこない分は、ルルが火炎放射器で燃やした。
「何という手際」
イヴが余裕の誉め言葉を言っているので、気が付くと数えるほどしか居なくなっていた。崋山が全部撃ち終わり、中を覗くと、操縦装置は悲しいことに虫たちにかなり食われていた。崋山は途方に暮れて、チャンを見ると、何やらコンソールらしきものを引っ張り出して、操作し出した。
「それ、何ですか」
「第2操縦装置を出している所」
「第2あるんですか。わあ、良かった。所で万能解毒剤は?」
「それも第2のを使おう。第1のは、もしかしたら、汚染されたかも知れない」
「なるほど、チャンも思ったでしょ。あいつらは誰かが何処からか操縦していますね。きっと」
「うむ、多分あの破壊する予定の研究室だろうな」
「やっぱり」
崋山は横でおしゃべりしながら、チャンのしている事をしげしげ見ていた。イヴは船長をそこにあったソフアに横たえ、崋山の様子を見て、あんな風にしながら色んな事を覚えて居るんだろうなと思った。イヴとルルさんはソフアでちょっと一休みだ。しかし他に虫は居ないのだろうか。まだ心配ではあるが、たどり着けてほっとしていると、奥の壁と思っていた所が、ゴロゴロと開いて中からぞろぞろ乗員や第20銀河の人達が出て来た。操縦室の構造を知らなかった3人は少し驚いたが、第3銀河の被害は、一番は船長達だった様で無事を喜び合った。
「わあ皆無事だったんだね、良かった」
イヴが大声で喜び、崋山は虫がまた来ないか部屋の外を、伺い、
「虫が、居なくなりましたね」
と、チャンに言った。
「そうか、どういう事かな」
怪訝な顔でチャンも答えた。
救護の人が船長に解毒剤を注射した。何とか、毒は解毒されたようで命は助かったが、体調は元に戻らなかった。しばらく安静が必要で、チャンが船長代理の肩書になった。そして崋山の肩書が副船長代理だ。崋山は嫌がったが、チャンに嫌なら何故、でしゃばるのかとにらまれ、これから大人しくするのか問われ、仕方なく引き受けた。これから、研究所破壊の大仕事がある。引き受けるしか無いだろう。
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