【其の7】疼きの衝動

生まれたままの姿になった私たちは共にバスルームにいた。


私が髪を洗い身体の泡を流していると彼が手を伸ばす。


シャワーを手渡すと、彼が私に水滴を当てながら手の平で優しく胸やお腹を撫でた。


私は太ももに力を入れる。


泡を落とすためだと分かっているのに、彼に触れられると身体の芯が熱くなるのだ。


「ありがとう…。」


ボーッとする意識の中、疼いた気持ちを抑え湯船に浸かりながら手早く髪を洗う彼の姿を眺める。


細身なのに肩や腕に程よくついた筋肉と、引き締まった胸板や腹筋が美しい。


彼の身体を見ていると、少し収まりかけた気持ちが再び高まってくる。


ほんの少し後に、あの腕に抱き締められると思うと、どうしようもない衝動が湧き上がってくるのだ。


顔の水気を払って、切長の目で私を見つめる彼の視線に、私はまたとめどない疼きを感じた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る