4-2 開催! セルンド祭り
「ふぐぐうっぐぐ。」
「慌てて食うなよ。別に取ったり逃げたりしないよ。」
俺はそう言いながらインドラに水を渡す。
俺たち3人は屋台を一通り回り、インドラが食べたいと言ったものを先に買い、観客席でゆっくり食事をすることにしていた。
「おーーっと?これは犬王女選手が優勢だーーー!」
既に祭りは始まっており、今は犬王女対タクヤの試合だ。
「綺麗な右フックがタクヤ選手に入ったー!しかしタクヤ選手も漢だー!さっきから犬王女選手の攻撃を受け続けているー。」
解説者は祭りを盛り上げるためにも少し大袈裟に言っているがもう既にタクヤは限界である。
「出たー!犬王女の必殺技。「「鉄拳。」」だ!これはタクヤ選手立ち上がれないー。」
その後すぐに審判から犬王女の勝ちが宣言された。
「あれが王女の勝ち格の技、「「鉄拳。」」あれを耐えた人も躱した人もいない無敵のパンチ。多分あのタクヤって人も一週間は激痛に襲われて何もできないわ。」
「え、そんなやばいの?俺怖いんだけど。」
周りの観客は今年も犬王女が優勝だな。と声を揃えて言っていた。
((あの体の使い方。そしてとてつもないパワーは流石にしんどいだろうな。))
と比較的脳筋な龍先生が言うのだ。俺が戦う前にたまたまでいいから負けてくれないかと思う。
「これより最終ブロックの招集を始めます。選手は4番ゲート前に集まって下さい。」
「「行ってらっしゃい。」」
俺は2人に見送られ、4番ゲートに向かった。
(よし、剣の整備も終わったしそろそろ入場かな?)
この祭りはどうやら剣を貸し出ししており、祭りに剣を使うのであれば借りなくてはならないという決まりがあったので俺はそこそこの重量のある片手剣を手に取っていた。
「ユウキ選手。入場の準備は出来ていますか?出来ているのであればリングの縁まで移動して下さい。」
俺は競技リングの縁に立ち、いつでも出来る姿勢を見せる。
「両者前へ。」
初戦の相手はケンジ。と聞いたら分かるの日本人感。だが意外にも転生者は多くないらしく、色んな資料を見てみたが転生者は早くて3年に一度のペースらしい。
ケンジはヒョロヒョロであり、体当たりしたら吹っ飛びそうな緑髪メガネマンだ。
((なんとなくだが剣術はあんま使わないのが良いかもな。覆面の剣士と犬王女までに手の内を全部見せるのは得策ではなかろう?))
(確かにな…。まぁ負けそうになったら使うわ。)
「それでは…始め!」
俺は審判の合図と共に走り出し、ケンジとの距離を詰め、左下から剣を振り上げ、ケンジの剣が吹っ飛んで勝った。
と思っていた。
「どお?動けないでしょ?これが中級魔法「「クエイク。」」これは捕縛で使うことも多いから有能なんだよね。」
そう。ケンジが発動した「「クエイク。」」により全身の動きを封じられてしまった。
「「クエイク。」」は時間とともに俺を締め上げていく。
「どうする?ギブアップしちゃう?」
「残念だけどまだ余裕なんだわ。」
俺はニッと笑いまだ動ける左手に集中する。
魔力を収束し、そこからの爆散。「「ゲイル。」」を手元で一気に散らす。
「「ゲイル。」」
「「ゲイル」」で発生した爆風により、「「クエイク。」」を解除した。
2人は一気に距離を取り、呼吸を整える。
((剣術はさっきみたいに捕まったり魔法で押し切られるかもしれん。どうする?))
俺も戦闘パターンが一個や二個しかない訳では無い。
なんせ日本には漫画があり、戦闘系の漫画だけでも数え切れないほどある。
「「コリエンテ。」」
新たに習得した中級水魔法。「「コリエンテ。」」は楕円形に飛んでいき、ケンジの足元に着弾した。
「届かない魔法使うなんてどーゆう神経してんだよ。」
勿論これは罠である。ケンジが距離を詰めに歩いた瞬間を狙い…。
「「フリーズ。」」
水魔法と風魔法を使えることで使える準中級魔法。「「フリーズ。」」によりケンジの足は凍り、会場から足が動かせなくなった。
「さて、立場が完全に逆になったな。」
俺は手にかなりの魔力を込める。
「「ゲイル。」」
超高濃度の魔素を含めた「「ゲイル。」」で無理やりケンジの足を引き剥がし場外に持ち込んだ。
「ユウキ選手。2回戦進出。」
とりあえず勝利したことに安堵し、少し腰を下ろす。
すると客席からヒカリとインドラがグーポーズをしていた。
隣では覆面の剣士が次の駒に進んでいた。
俺は立ち上がり、次の試合のために気合を入れた。
ステータス
能力《アビリティ》 ??
剣技 肩並行斬
ビクトリースラッシュ
魔法【初級】
ファイヤー
ウォーター
アース
【中級】
ゲイル
ライジング
コリエンテ
【準中級】
フリーズ
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