裏話(期間限定) 三話
【付録:裏話は年内中には削除します】
その夜のジュリアとニーヴの部屋。
二人は二段ベッドの上と下に入ってお喋りをしだした。
「知らないふりもなかなか難しいわね」
「しようがないわ、ナナも侯爵令嬢としての立場上、秘密にせざるを得ないのだから」
「お母様にも言われているのでしょうね」
「付き合いが四年にもなれば、ナナの能力のすごさとその内容はだいたい分かってしまうのよね」
「私はまだ二年だけどね」
「でも分かったでしょう」
「うん、今日は分かり易かった」
「金の魔石の解析で、風と銅の組み合わせを言ったときよね」
「そう、あー、魔力を見たんだなあって。それと、ジュリアが銅の魔石の呪文を唱えたとき『いいんじゃない』と言ったときもそうよ」
「そうだったわね。ナナが魔力を見えることは四人共に分かっているのに……」
「そうよね、私の黒の闇魔法もあっという間に察せられちゃったものね」
「そう、みんな知っているけど、知らないことにしているのよね」
「ナナだけが、私の黒の闇魔法が使えることをみんなにも秘密にしてくれているのよね。みんなが知らないと思って」
「ナナは優しいから。知ることが秘密につながりそれが弱みになると思って、私たちを守っているつもりなんだから……」
「そうね、しばらくはこのままでいるしかないわね……」
規則正しい寝息が二人分。夜は更けてゆく。
「裏話完」
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