第二章 領立学舎編

第二章 七話 セントラル大陸暦一五六一年 夏

 私は、今日十一歳になった。

 お母様が、私が五歳の時に語った胎内夢の内容を話してくれる。

 私が腰掛けるベッドの隣で『空から飛び降り、海に出て明るい光を浴びる』までの話を語ってくれた。

 『胎内夢』と『ネックレスの真珠の色の変化』は魔法の適合性を表し、私には、【闇】以外の全魔法の種類に適性があるらしい。

「どちらかが欠けると魔法の力は授からない可能性もあったの」

 よかった。私は両方とも満たしている。

「ナナが生まれたときに着けたネックレスは元々、金色、銀色、銅色、赤色、水色、緑色、茶色、黒色そして紫色の真珠が九珠ついていたのよ」

 私も物心ついた時はうっすらと色のついた真珠のイメージだった。それがいつの間にか黒い真珠を除き白色から透明化していたように思う。

「その真珠は魔力を持っていたのよ、誕生から五歳まで着けていると、火、水、風、土の基本四魔法はほとんどが適合し、それ以外の魔法は、適合した場合だけ魔力を吸い込んでくれ、いずれもその真珠の色がなくなるのよ。それでその子の魔力の適性が判明するの。ハリーは、基本四色と銀色、銅色の六つの真珠が白くなったわ。ノアは基本四色と銅色の五つの真珠が白くなったわ。ナナは、五歳の誕生日の前にすでに黒の真珠を除いた八つの色が抜けていたから、魔法適性が素晴らしく高いのでは、と密かにうれしかったわ。でも誕生日になって、外してみて驚いたわよ、黒を除いて聖珠化しているんですもの、そんなことができる人もいると聞いたことがあったけど伝説だと思っていたわ。それが我が子とはねえ。それに色付きでしょう。紫のキャッツアイ入り、なんて拝んだことすらなかったわ。

 そう言えばナナは紫紺の瞳と名付けていたわね。

 その聖珠は、船の事故の救援でナナも分かったと思うけど、復元と治療の魔法よ。とても貴重な存在なの。私も王都で一度だけ復元の治療が出来る紫の魔法使いと会ったことがあるわ。この国でも何人もいないと思う。だから極力ナナの事は子供のうちは秘密にしたいの、でないと悪い人に狙われるから」

「怖いです」

「大丈夫よ、何があっても私たちがナナを守るわ」

 笑顔で力強く言ってくれたお母様。

「あの遭難した船の人たちを助けた翌年だったかな、ハリーが魔力切れで倒れたことを覚えている?」

「えっと、たしかハリーお兄様が学舎の二年生になった秋のはじめに雷魔法を放たれて倒れた時ですよね」

「そうよ、その際、私が来るまでにハリーが回復していたでしょ。それも多分あなたのおかげだと思うのよ。金色の魔法は回復と癒しの魔法なの。ハリーが普通ではあり得ないほど短時間に回復したのは、何らかの薬か魔法でしか考えられないのよ。あの時、薬を飲んでいないから、考えられるのはナナの魔法だけなのよ」

 私の顔を見ながらお母様が続ける。

「ハリーを助けてって祈ったでしょ」

「祈りました」

「そのおかげでハリーがあっという間に回復したのよ」

 何となくだが、納得した。あの時ぱったりと倒れたハリーお兄様がしばらくすると何事もなかったかのように普通にしていた。自然に元に戻るとは考えられなかったので、今になり訳が分かって腑に落ちる気がするが、それが私のせいだと思っても実感が湧かない。

「魔法の内容については、お父様から贈られた誕生日プレゼントの『魔法の基本』を読んでごらんなさい。基本的な知識はこれで学べるわ。実践はこの本には書かれていないから無理だと思うんだけども……。でも、もしも、できたとしても、興味本位に魔法を使っちゃだめよ」

「はい、お母様」

 私はそう答えるとお母様が部屋から出て行った。その日は本を読むのを我慢してベッドに入った。読みだすと多分止まらなくなるから。



 翌日、本当は午前中から魔法の本を読みたかったけれど、護身術の訓練と淑女教育も欠かせないで午後からでないと読書は無理のようだ。

 やることが多過ぎる。身体が二つ欲しい。

 昼食後、机に座り、お父様から十一歳の誕生日プレゼントに頂いた『魔法の基本』を開いた。


 何日かかけて読み終えた私は、理解したことを自分のものにするために紙に書いてみた。


 魔法は大気の魔力の源と呼ばれる魔素を取り込んで魔力として発動させる事ができる。直接取り込んで発動することも可能だが、魔石、真珠、聖珠を媒介とする事もできる。

 魔石は鉱山から採掘され、必ず色がついている。魔力がカラになれば、白くなり、再利用するには魔力持ちの人に再度込めてもらう必要がある。

 真珠は海に生息する特別な貝から取れる色付きの珠である。何もしなくても自然に魔素を取り込める、大きな魔力を一度に消費した場合はカラになるので、その場合は時間をおくか、魔力を込める必要がある。魔力容量は通常サイズの八ミリ程度の大きさで直径八センチの魔石十個分以上あると思われる(筆者が実験したが、色付き真珠は魔素を取り込み続ける為容量を厳密に測ることができなかった)。採取時に色なしの白色の真珠は装飾用で魔力を込めることができない。

 聖珠は真珠同様海に生息する特別な貝から取れると言われる透明な珠である。筆者も見たことがなく伝聞だが魔素を取り込む力も魔力容量も膨大なので、基本的にはカラになることを意識する必要はないらしい。但し聖珠は採取直後、透明状態で魔力を込めると色が付き、どの魔法の種類にするかは、最初に込めた魔力の種類が、その聖珠の魔法の種類になると言われる。人伝に聞いたが、ある名家で透明なままの聖珠があり、人探しの聖珠として重宝されているらしいが真偽のほどは分からない。

 ――聖珠は数が少なく、まだ十分に調査できていなくて、他の採取方法や利用法をさらに研究する必要があるみたいだ。人探しの聖珠は我が家にある透明な聖珠がそうだと思われる。あの聖珠は唯一無二のモノらしい。

 魔法の種類は大まかに九つの種類がある。

 髪の色と魔法の関係はその人の最も得意とする魔法の種類を表す。

 【火】の魔法、魔石・真珠の色から赤色の魔法。火等を司る魔法。

 【水】の魔法、魔石・真珠の色から水色または青色の魔法。水等を司る魔法。訓練次第で氷も作れる。

 【風】の魔法、魔石・真珠の色から緑色の魔法。風等を司る魔法。

 【土】の魔法、【地】の魔法ともいう、魔石・真珠の色から茶色の魔法。土、砂、岩、石等の大地を司る魔法。

 以上の四つが基本魔法で魔力制御ができ、環境が整えばという条件付きだが高位貴族の場合、基本的に勉強すれば誰もが使える。胎内夢との関連は、不明点が多く今後の調査にゆだねる。

※手書きで「真っ当な真珠を用意できれば誰もが(平民でも)胎内夢とセットで基本魔法に適性があるはず」とある。

それに対し、以下の四つの希少魔法は適性がないと使用できない。

 【光】の魔法、魔石・真珠の色から金色の魔法。癒し・回復等の魔法。

 【雷】の魔法、魔石・真珠の色から銀色の魔法。雷等を司る魔法。※手書きで「水魔法と風魔法の派生とも言える」とある。

 【錬金】の魔法、魔石・真珠の色から銅色の魔法。金属・物を加工する錬金、薬生成等の魔法。※手書きで「理科全般の幅広い知識が必要。土魔法・水魔法の派生とも言える。銅色とは茶色より明るい赤茶色」とある。

 【月】の魔法、魔石・真珠の色から紫色の魔法。復元・治療等の魔法。

 【闇】の魔法、魔石・真珠の色から黒色の魔法。魔石と真珠に黒色のものがあるから対応する魔法が存在すると思われるが、その詳細が不明である。

 魔法は強い思いとイメージの力である。魔法の力を使うためには、使おうとする魔法そのものの成り立ち、たとえば水魔法ならば水の成り立ちを知ることが大切である。

 各魔法は簡単なものから、熟練度と魔力量により、高度なものまで使用できるようになる。

 魔法は素質があっても、一生使えない人や、使わずに過ごしている人も存在する。習得するには学習と訓練が必要である。


 ――勉強が大変そうだけど、頑張ろう。


 各魔法の初級から高級魔法までの内容が記入されていたが、それは実際に魔法が発動できてから、ひとつずつ試してみるつもり。

 早く魔法のやり方を実際に教えてほしい。十一歳になったらいつでもできるはずと聞いているのに、九月からの学舎で習うのかなあ。早く魔法を使ってみたい。



 八月になり、ジャック叔父様のお城で過ごすのは、例年通り。

 ハリーお兄様は王都の学院での勉強なのか部活動のためなのか、まだ帰ってきていないので不参加。ノアお兄様も領地のお仕事の手伝い、主に温泉開業準備で忙しく不参加なので、少し寂しいが、その分アヴァちゃんと遊んで楽しむつもり。

 今日はチャーリー兄妹とグレース伯母様の息子、従弟にあたる双子のレオとジェイコブと一緒に浜辺へと遊びにやって来た。お母様たちはいないが、護衛はしっかり男女の二人「ゴ」と「エイ」が付いてきている。

 男の子たちは、さっそく海に入ってじゃれつきながら泳いでいるよう。

 私はアヴァちゃんと、砂でお城を作る。

「痛い」

 突然の悲鳴。アヴァちゃんを見ると、右手の腕、いやその下の手首から血が出ている。すぐにアヴァちゃんの元に駆け寄った。足元には大きな貝殻、その縁に赤いものが目に入る。良く見ると縁が鋭い刃物上になっている。

「アヴァちゃん大丈夫よ」

「護衛すぐに救護所へ」

 私はいつもついてきている護衛の二人に指示する。男性の護衛「ゴ」がアヴァちゃんを抱き、女性の護衛「エイ」が原因となった大きな貝殻を拾う。

 私たちは「イタイ、イタイ」泣くアヴァちゃんを気にしながら浜辺にある救護所へと急ぐ。

「出血です」

 救護所の扉を開けながら女性の護衛「エイ」が叫ぶ。扉のそばにいた看護師に血の付いた貝殻を見せる。

「中へ、先生、侯爵令嬢です」

 白衣の女性の看護師がすぐに奥の治療室のドアを開ける。

 机の前にいた若い白衣姿の医師らしき男性が立ち上がり、診察用の寝台を指し示す。

「こちらヘ」

 アヴァちゃんを看護師のいう通り寝台へ寝かす。

「貝殻により切ったようです」

 看護師が血の出ている方の手を医師の前へと動かす。

 医師は立ったまま右手をアヴァちゃんの出血箇所へ指をまっすぐ伸ばす。医師の手に水の魔力がまとうと、中指から水が霧状になって噴霧された。血と砂が洗い流されていく。

「洗浄しています」

 看護師さんが説明してくれる。

 洗い流されても、まだ血は止まらない。

 洗浄がおわると、見る見るうちに水分が消えていく。

「乾燥しています」

 最初は水色だった魔力が緑色になっていた。その医師の魔力が今度は紫色になった途端、血の流れが止まりだし、止まると、傷口がふさがり消えてなくなっていた。

「血管まで切れていたようです、血管の修復と、肌の修復を行いました」

「良かった、キレイになっている、本当に良かった。アヴァちゃん大丈夫よ、傷口が元に戻っているわ」

 今までヒックヒック泣いていたアヴァちゃんが

「本当に?」

 と言って、傷口を見る。

「本当だ、元に戻っている」

「大分出血したかもしれませんから、今日は念の為に、お休みした方がよろしいかと思います」

 看護師さんがそう話すが、医師は治療だけで説明をしていない。

 先生と目が合った。

「先生、ありがとうございます」

 私は先生を見ると、思わずお礼を言い、頭を下げていた。

「スミマセン、私、言葉、まだ、十分では、ありません」

 医師が初めて口を開いたが、片言のよう。

「ハンス先生は、数年前の船の事故の生存者です。ここに残って医師として活躍してくれています。だから、まだ言葉が不自由なのですよ、でも医師としての腕は今見た通り確かです」

「私、助けられました。私、あの時、気付いた時、私の仲間、一杯ケガしていた。大きな部屋の中で苦しんでいた。助ける人いた。私も助けたいと思った」

 この方は救助され、領主館にいたのだ。

「船で医療員として働いていた。治療用具がなかった。けど助ける人、消毒を魔法でやっていた、傷口を魔法で治していた。私、助けたい、願った、消毒できた、また願った、頑張った、傷、治せた。元々国で、魔法、使えなかった、使い方も知らなかった、使える人も知らない、でも、できた」

 私は『魔法の基本』の一節【魔法は強い思いとイメージの力】を思い出した。ハンスという名の医師は元の国では魔力はあったのにそれを意識することなく過ごし、魔法の使い方も習っていなかった。でも船の事故が起きて、仲間を助けたいという強い思いがあった、そして医療員だった彼には治療するだけの知識があった。それが魔法を発現させたのではないだろうか。

「今日は、良かった、あなた、髪、紫、私、同じ、私、助けてくれた、人。あの時、あなた、祈って、くれた。それ、知ってる。少しでも恩返し、したかった。本当に、ありがとうございます」

 ちょっと、恥ずかしい。そこまでの事はしていないつもりだった。でも喜んでもらえれば嬉しい。

 にっこりと私にほほ笑むハンス医師の髪は私と同系色。私より薄い紫だったことに、はじめて気づいた。

「それが今では、当地の病院のなくてはならない一員となってくれているのですよ。今日はたまたま当番でこちらの夏の救護所にいるのです。ケガ人がたまにでますから」

 看護師さんが笑顔でとてもうれしそう。

 それにしても、アヴァちゃんが治って本当にうれしい、良かった。でも顔色が青白く、いつもの元気がないのは仕方がないわ、出血したものね。

 ドタバタと室外がやかましい。チャーリー、レオ、ジェイコブが来たよう。

 その後、私たちは早々と領主館へと帰った。そして、叔母様とお母様に事の次第をお話しした。


 私はその夜考えた。ハリーお兄様が倒れた時、一心に兄を助けてと願った。結果ハリーお兄様が驚異的な回復をみせた。私は十一歳になる前に魔法を使っていた。その時はもちろん何らかの言葉を発していなかった。今日のハンスという異人の医師も何ら言葉を発せずに魔法を私の目の前で使って見せた。アヴァちゃんの傷口がなかったように魔法で元に戻った。二つの魔法には「人を助けたいという思い」と「言葉を発しない」という共通点がある。他の人が使う魔法とは違うような気がする。このまま、学舎でみんなと同じように一から魔法を習って問題ないのだろうか。

 心に漠とした不安を感じる。少しでもよいから魔法を習った方がよいのでは、そんな気がした。

 それとも単に早く魔法を使ってみたいだけなの? 自問した。


 次の日、アヴァちゃんは大事を取って外出しない、というので、私も領主館にいた。

 お母様の部屋を訪ねて訊いた。

「ハリーお兄様が魔力切れを起こした際、私は回復魔法を使ったのですよね」

「そうあなたは十一歳になる前に魔法を使ってしまったのよ」

「あの時は確か八歳、支障はなかったのでしょうか」

「あれ以来使ってなさそうだから問題ないわ、それに今もナナは元気でしょう。それが大丈夫の証拠よ。十一歳にならないと魔法を使わせないのは、意識の問題でもあるの、何も知らない子が魔法をバンバン使ったら支障が出ることが一杯あるのよ」

「火事とかですか」

「そうそれも大きな理由の一つね。それと、魔法を使い過ぎて魔力切れ起こすと、身体がまだできていない体力のない子だと死亡することもあるの。だから普通の親は身体が出来上がるまでは習わせないの、でも発動自体できる子もあなたのようにいるわ。年齢がある程度にならないと、魔力コントロールができていないので、発動できないのが普通だけれど、稀に強い願いとそれに対応できる魔力があればナナみたいに発動することもあるのよ。ただ、それは子供ならではの偶然だと考えられているの」

 お母様は一旦そこで言葉を切った。そして言葉を選ぶように続けた。

「それが、昨日の事なのよね。先生が異国から来た人だったのでしょう。言葉の分からない人が魔法を『強い願いと知識』で使ったのよね。大人じゃあり得ない事なの。王都にもこの件は知らせず、侯爵領だけで今極秘に調査・研究しているのよ。影響がね、とても大きいのよね……」

 お母様の歯切れが悪い。

「あの人には、いつもは偽装するように言っていたんだけど、昨日はあなたが来て、絶対治そうと必死になったみたいね」

「何を偽装するのでしょうか」

 お母様は、一瞬ぽかんと口を開けた。

「ナナは魔法の知識は本の『魔法の基本』で習ったけど実際はあまりよく知らないのね」

「はい、ただ、私の魔法はなんとなく他の人と違うような気がするのです。私がハリーお兄様を治した回復魔法、それと昨日ハンスさんが行った魔法がとても似通っているように思えたのです。それに比べるとハリーお兄様とノアお兄様に見せてもらった魔法が何となく違うような気がして、このまま学舎でみんなと一緒に習ってよいものかと、心配になったのです」

 お母様が考え込んだ。

「私とハンスさんの共通点は『強い願い』と『言葉を使わない』だと思います」

 お母様が決意したように話しだした。

「ナナはお勉強が好きで、本をよく読んでいるから、九月の学舎へ入る前に私が魔法の訓練をしてあげるわ。そう、そうしましょう、その方がいいわ。そうすれば異人の先生の偽装の意味も分かるわ。でもナナ、本当は魔法を早く使ってみたかったんじゃないの」

「ごめんなさい、ほんの少し、ううん、とても使ってみたかったです」

「正直でよろしい」


 アヴァちゃんのケガの事もあり、私たちは、早々に領都の館へ戻る事になった。

 ネックレスの聖珠から真珠への取り替えはいつも通りで、聖珠化したものは箱に収めてお父様とお母様と三人で当家の雷神様に納めた。


 侯爵領は、ハリーお兄様も許可をもらい王都から戻って来て、温泉施設の八月十五日の開業準備で誰もが忙しい。そんな中、私とお母様は魔法の訓練場にいる。


 海で遊びたいと思えるほどの暑い午後だった。

「先ずは水魔法から始めましょう。異国のお医者様が行った水魔法を思い出して、水が欲しいと願ってみて」

 いきなりですか、お母様。

 私が幾分驚いた顔をしたせいか、お母様が説明してくれる。

「やって見せてから、行うのが普通だけど、ナナは、実際にとても貴重な水魔法を見ているから、その時の事を思い出してごらんなさい、それが一番近道だから」

 ――なら、やってみよう。アヴァちゃんが血を出していることを思い出そう、治したい、洗浄しよう。

 魔力がおへそから左手へ魔力が動く。腕を下の方に向けてまっすぐ手を伸ばす、指を伸ばす。

 プファー。

 霧状の水が中指から噴出する。

「腕を上げて、もっと勢いよく」

 私は中指から噴霧したままの左手を徐々に上げていく。強く、強く、より強く、と願いながら。

 霧状の水が勢いよくシャワー状となり噴出している。

「はい、もういいわよ」

 徐々に魔力を抑え込む。シャワー状の水が止まる。

「良くできたわ、ナナは優秀よ」

 私は思いっきり頷いた。

 ――できた、できた。魔法よ、魔法が使えたわ。

「もう一度やってみて、このコップに受けて。シャワーの水がどんな状態か確認するわ」

 お母様もやや興奮気味。うんうんと、落ち着かせるように頷きながら、カバンから取り出したコップを私に渡す。

「はい」

 コップを右手に受取り、一旦心を静めようと、深呼吸を三回。

 先ほどと同じように念じると、左手から勢いよく水のシャワーが出る。少し加減をすると霧状になったで、もう少し強めてコップに受けてから、魔力を抑えた。

 八分目ほどに水が入ったコップをお母さまに渡す。

 お母様が水を一口含む。

「普通の水のようね、うん、おいしい」

 お母様は半分ほど飲んで、私にコップを渡します。

「飲んでみて」

「普通の水です」

「良かったわ、一瞬、お医者様を想像させたから、消毒液になっているかと思ったけど、普通の水よ」

 私は意味が分からず、首をかしげた。

「治療の事を勉強すると、消毒液の事も学ぶわ、学んで理解して納得して初めて、消毒液が生成できるようになるのよ。そうすれば、アヴァちゃん以外の大勢の人を助けることができるわ」

「分かりました」

「次はシャワー状の水ではなく、普通に一本の筒から出るような水にしてみて」

 魔力を込めて左手から放出する。

 何度繰り返してもシャワーにしかならない。

「じゃ、気分を変えて、右手でやってみようか、ナナは、左手も右手も使えるから、右手なら違う水が出せるかもよ」

「そうですね」

 私は、基本は左手使い、でも右手でもできる。

 ――ダメだ。

「シャワーにしかなりません」

「そうね、水が飲みたいと思う時はどんな時かしら」

 喉が渇いた時を想像してみる。

 海、浜辺、冷たい飲み物が欲しい。

 サー。

 右手の中指から一本の筒から出るように水がコップに溜まり、そのまま溢れていく。

「右腕を上げて、勢いよく出すのよ」

 お母様の言われるように頑張った。ドクン、ドクンと二回水流が飛び跳ねると、水足が伸びていき、少しほとばしりだす。

「もっと強く、細く」

 ほとばしっていた水が一本に集束していき、より遠くまで届いているよう。

「はい、良くできたわ」

 魔力を抑えると、水も止まった。左手にコップを持ったままだった。喉が渇いたように気がしてコップから水を飲んだ。

「しょっぱい」

 喜んでいたお母様も、私からコップを受取ると、

「海の水だわ、これは」

「海辺で水が飲みたい、って想像しました」

「だから海水になったのね」

 初日は、これ以上の進展はみられず終了となった。

 夜、お母様にアドバイスされ『水の一生』を読み返した。

 雨が降って、川になり、海に流れていくだけではなく、【地面にしみこみ、地下水となり、井戸から私たちの飲料水となる】この箇所を何回も声に出して読んでみた。


 南の空に入道雲が浮かんでいる。そんな夏の昼下がり。

 昨日に引き続き、お母様に水魔法の特訓を行ってもらう。

 ケガを治したいと念ずればミスト状の水が発生し、水が欲しいと念ずれば海水が出てしまう。右手でも左手でも昨日と同じ。

「しようがないわね」

 半分諦め口調が聞こえる。私の気分も落ち込み気味で、肩が下がってしまう。

「呪文を唱えてみようか」

「はい」

「私がやるから見ていてね」

 お母様が左手にコップを持ち、強く言葉を発した。

「ウォーター」

 あっという間に水が溜まった。

「はい、飲んでみて」

 一口含んだ。

「水です」

 お母様が笑みを浮かべた。

「呪文はウォーターよ、やってみて」

 私は、心の中で地下に潜った水、潜った水と唱えながら、左手を出した。

「ウォーター」

 水が中指から流れ出す。コップに受ける。一杯にして止める。飲んでみる。

 ――水だ。

「お母様、水です」

「貸してごらんなさい」

 お母様が最初少し、その後全部飲み切った。

「とても冷たくておいしい水ね」

「地下水を意識しました」

「どおりでねえ。ナナ、大成功よ、おめでとう。呪文だけで魔法を発動する人は少なからずいるから、水魔法を使う時は今のところは、呪文を唱えなさい、詠唱、呪文とも無しでの魔法の発動は秘密にするのよ、ただ両方ともに無しの練習も毎日しないとダメよ。詠唱は、ナナは覚えなくていいわ、イメージが出来ていれば必要ないから。

 ハンスさんに頼んだ偽装は詠唱と呪文の省略をせず声に出す事よ」

 お母様にウインクされた。

 私も人前では偽装が必要と念を押された。

 その日は右手でも出来る事を確認し、さらに水勢の強弱をできるようになるまで、お母様にダメだしされながら特訓を続けた。


「とても優秀なナナは、今日は何をして私を驚かせてくれるのかな」

 お母様がとてもうれしそうに話しかけてくる。

 三日目は風魔法を教えてもらう。

 五メートルほど先に風車をお母様が置く。ほぼ無風。

 アヴァちゃんの傷口を洗浄し乾燥していることを思い出しながら風を願う。緑色の魔力が左手の薬指を纏うと温かくなりはじめた。

 お母様の声が響く。

「強く、風車を目指して」

 指先を上下左右させ位置を調整すると風車が回りだした。

 お母様が風車のそばにより、手をかざす。

「温かいわ、ナナ、まったくあなたはユニークね。もう止めていいわ」

 私は魔力を抑えた。

「どんな風を望んだの?」

「アヴァちゃんケガした時、洗浄後の乾燥をさせる風を願いました」

「乾燥の風を願ったから、温かい風になったのね。いいわ、右手でも再現して」

 私は右手でも同じように温風を出した。

「ナナは本当に器用ね、右手も左手も同じようにできちゃうんだから」

 お母様の目尻が下がっている。

「次は、そうね、今は暑いから、少しそよ風が欲しいわ、ナナ、できる?」

「分かりました」

 ――お母様に風を。

 そう願いながら、魔力を込める。薬指が温かくなりなり始め、風魔法が発動したことが分かった。

「まだ温かいわ、冷たくして」

 ――冷たい風を

 魔力が緑色からシアンへと変わっていく。

「冷たくなってきたわ、もっと冷たくして」

 ――もっと冷たい風を

 魔力が完全にシアンへと変わる。

「今度は温かい風を頂戴」

 ――温かい風を

 魔力がシアンから緑色へと変わっていく。

 ――もっと温かい風を

 魔力が緑色から黄色へと変わる。

「もういいわよ~」

 私は魔力を止める。

「ちゃんと温度変化も出来ているわ。初めてで、ここまでできるナナは本当に優秀よ」

「ありがとうございます」

「でも最初は温風なのよね~」

 その日どれだけやっても呪文なしでは温風しか出ず、お母様に教えてもらった「ブリーズ」という呪文を唱えると最初から普通の風となったよう。

 ――うーん、課題だ。


 四日目火魔法を教えてもらう。

「欲しい火を望んで」

 ロウソクの火を浮かべた。

 左手の人差し指を立てて念ずると、赤い魔力と共に指先にロウソクの炎が現出した。

「強く、もっと強く」

 お母様の声に、私は冷静に炎の仕組みを思い出す。青い部分が高温のはずと、強くなるように願った。

 炎が揺れ、どんどん高くなり、青い一本の線になった。思わず天に向けていた指を水平にする。遠くまで届いているよう。

「もういいわ、強いと言ったのが悪かったのかしら、高温になっちゃったわね」

「そのようです、私も強い、って聞いて、炎の高温の青い部分を想像しました」

「ナナは、指から炎を出すのね」

「ええ、炎は人差し指から出ました。昨日の風は薬指から出ていましたし、水は中指から放たれていたようです」

「そうなのね、じゃ、明日予定の土魔法は親指から出るかもしれないわね」

 そう言ってお母様は笑っている。

 その日は呪文なしで火の魔法の訓練を終えた。ちなみに火の魔法の呪文はファイアーと後で教わった。


 五日目は土魔法、お母様の最も適性の高い魔法。

 昨日までの場所とは異なり訓練場の端。

「ここだと、土を掘り起こそうが何しようが支障がないから」

 とお母様に言われた。

「さて、今回もここでいきなり土魔法をやってみなさい、って言いたいところだけど、そうするとナナが知っている土魔法は、ノアのやった大胆に土を掘り起こした魔法だから、それを再現して、ここに大きな穴を作りそうだしね、最初は、壁にしましょう」

「壁ですか」

「私がやって見せるわね。ちょっと音がするから耳をふさいで、ここで見ていてね」

 お母様が十メートルほど先に行くと、手を地面にあてる。魔力が膨らむ。

 ドーン、という耳をふさいでいても聞こえる大きな音と共に、壁が現出した。高さが十メートル、長さも十メートルほど。

「すごいです、お母様」

「こっちに来て触ってごらんなさい」

 そばにより壁にそっと触れてみる。

 できたてなので湯気がでて湿り気を帯びているかと思いきや、乾いていて、とても固そうで、叩いても崩れそうにない。

「壁の後ろを見てみて」

 後ろに回ると、明らかに段差が出来ている。

「その土と砂などが固められて、高くなり壁になったのよ、ナナもやってごらんなさい」

 私はお母様と前に戻った。

「この壁をもう一度よく見て、そして触ってその固さを感じるのよ、その後で、手を地面に触れ、壁になるように願うのよ、位置はここ」

 今できた壁の隣を指さした。

「この壁に接するように意識してね」

 壁に触れる。冷たさと共に固くて強くて、ぶつかっても容易に崩れなさそうな手触り。その感触を覚え、地面に左手をあてる。

 ――大地よ、壁になれ。そう一心に願う。

 親指に魔力が集まってくる。茶色く光りだす。

 ゴボ、ゴボ、ズン、ズン、ズーン。

「できたわね」

 高さは、お母様の壁と同じだが、長さが半分ほどだった。

「これで上出来よ」

 お母様が出来たての壁に触る。

「触ってごらんなさい、私の作った壁と比べて、どお」

 手をあててみる。

「柔らかいです」

「最初だから、次は右手でやってみて」

 結果は同じだった。

「後は訓練よ」

 その後は、その壁を崩す魔法を教えてもらった。そしてノアお兄様がやって見せてくれた掘り起こす魔法も力を抑えて無詠唱でできた。

「精度と性能、規模を高めるのは勉強と訓練あるのみよ」

 お母様の言葉に大きく頷いた。

「次は、土魔法の神髄というべき、荒れ地を耕して、栄養のある土地にする魔法よ」

 お母様に庭の雑草の生い茂っている場所へと連れていかれた。

「荒れ地を耕作地にするのは無詠唱、無呪文でなくてもいいから、呪文を教えるわ。ナナ、まずこの状態を見て、どうすれば、いい畑になると思う?」

「雑草がたくさん生えているので、草むしりをします。その後、栄養を与えて、肥沃な土地にします」

「その通りよ、草むしりの呪文はアース・ウィーディング、土地を豊かにする呪文はアース・ファティリティよ。大地にお願いすればできるわよ。まず手本を見せるわ。十メール四方の草を取り払って、続けて栄養のある土地にするわよ」

 大地に手をあてて、しばらく祈ると、アース・ウィーディング(草むしり)と強く発した。

 伸びていた雑草が地面に埋まっていく。続けて、

「アース・ファティリティ」

 と、強い口調で呪文が唱えられた。

 茶色い土地が表れた。

「この一連の流れで荒れ地を耕作するのに適した土地になったはずよ。やってみて」

 私は草むしりアース・ウィーディングと肥沃な土地にするアース・ファティリティの呪文を唱えた。

 見た目は草がなくなっただけの土地が出来ていた。

「こうやって見ても、すぐには分からないわね。明日以降に来ればちがう状態となっているわ、そうしたら何か欲しいものを植えてみましょう、何が食べたい」

「キャベツ、レタス、大根」

「そうね、葉物は一つの方がいいと思うからキャベツとレタス、どちらが選んで」

「キャベツ」

「じゃ、キャベツと大根を植えましょう」

「収穫が楽しみ」

 そう言えばお母様はいずれの魔法も呪文を唱えたが詠唱はしていない。

 ――凄腕の魔法の達人のよう。


 翌日、昨日の場所に行くと、茶色い土地がこげ茶色になっていて、地面がフカフカとしていた。ちゃんとした畑になったようだ。

 お母様と二人、キャベツと大根を植えた。

「これで基本魔法の水、風、火、土の四魔法を教えたわ、今は、この四魔法を自分のものにしてね。訓練は必ず二人以上で行う事。家族か、侍女のラナーナ以外はダメよ。必ず、訓練場で行う事。他の人の前で魔法を見せてはいけません。学舎に入学したら、そこではいいわ、但し威力を抑える事」

 約束させられた。

「でもお母様、私の触れたものを透視する力と、魔力を見る力、左右両方で魔力を扱えること、それと私の魔力をお兄様方に供給した力と吸引した力の魔力の移動は、どうすればいいのでしょう」

「ナナの固有の技能だから、ほかの魔法のように魔力を使っているわけじゃなさそうだし、供給するとき使っていても微々たるものでしょうから危険はないんだけどね……」

 ――良かった。

「ただ見せびらかしちゃだめよ、身内や学舎以外では、信頼できる人にしか使っちゃだめよ」

 ――釘を刺された。


 そのまま庭で菜園と花壇の手入れをしていると、バタバタと、なんだか騒がしい。馬丁がやってくる。お母様に何事かを話している。

「ナナ、ペガサスが、あなたの馬が大変ことになったわ」

 私たちは厩舎へ向かう。何人かがいて慌ただしい。

「ペガサスが大ケガをした」

 ペガサスが馬小屋の中で横になっている。右脚がおかしい、膝の下が折れ曲がっている。

「ペガサス」

 私はペガサスのそばによる。ペガサスが私の声に反応した。目があう。私はペガサスの鼻づらを撫でながら声をかける。

「ペガサス、しっかりして、必ず治すわ」

 ペガサスの瞳から大粒の涙が流れてきた。

 私は、ペガサスの折れている脚に手をあてる。

 ――見える、ペガサスの右脚の骨折している箇所が確かに見える。

 両手で骨折箇所を包み込む。願う。

 ――治して。

 脳裏に、幼いペガサスが駆ける姿が浮かぶ。「ペガサスよ、ペガサスって名前がいいの」自分では覚えていないはずの幼かった私の声が聞こえる。空色のワンピース姿の幼い少女が笑顔で話している。そこにいるのは紛れもない私。紫の髪がなびき太陽の光に輝く。

 患部全体が紫色の光に覆われる。折れた部分の骨が光で結合し、修復されていく、周りの血管、断裂した筋肉も光とともに修復されていく。

 ――骨折は治ったはず、でも患部が若干腫れている。回復して、お願い。

 金色の光が舞い出すと、腫れも引き始めた。

 すくっと立ち上がるペガサス。

「良かった、良かったわ、治ったのね」

 私も立ち上がり、ペガサスの首筋を撫でた。

「このことは誰にも言ってはいけませんよ」

 お母様の言葉に、馬丁たちが頷きを繰り返していた。

 私が月の魔法と光の魔法を意識して初めて使った瞬間だった。


 その夜、私は髪の毛の色を銀色に染めた。月と光の特殊魔法を会得した私は紫の髪の色だと、誰もかれもが身体に不調なところがあるので、頼って来て収拾がつかなくなるそうだ、狙われることもあるというから物騒だ。なので、サンダー侯爵の血筋だと分かるように銀色に染めるようにと両親からの指示だった。


 銀色の髪にした途端、おじい様に雷の魔法を直伝された。

「水の魔法で水蒸気を作れ、水蒸気は玉になるイメージだ、それを風魔法でぶつかり合いさせる事を想像しろ」

「はい、おじい様」

「違う、もっと水蒸気を結合させろ、もっと風を舞わせろ」

「はい」

「気をもう一段集中しろ」

 結構おじい様はスパルタだった。

「威力をワンランクアップだ」

 一直線に雷光がほとばしりながら強く輝き伸びた。

「よし、今の一撃で確実に大物を倒せるな、合格」

 ようやくおじい様の特訓から解放された。


 おばあ様からは金の魔法を教わる。おばあ様は髪の色は赤だが、金の魔法の適性もある、珍しいタイプと言われている。

「先ずは基礎の初級、光の魔法から。呪文はライトよ。光をイメージしてね」

 私は太陽の輝くさまを思い描いて、魔力を練った。左手中指に金の光の魔力が集まりだす。

 ――今だ!

 私は左手中指から金の魔力を放出した。

「ナナには呪文すら必要ないようね」

 おばあ様が驚いている。

「回復魔法はペガサスで使ったらしいけど、本格的には、学舎に入ってから教えましょうね」

 しばらくお預けのよう。我慢しよう。


 その夏、魔法の訓練と勉強に明け暮れて過ごした。

 家族はみな、温泉施設の開業で忙しくしているのに、私だけは幼いから仕事の邪魔と言われ、おいてけ堀にされた。

 ――もう十一歳なのに、プンプン、おかんむりなのだ。

 王都からも客人を招いて接待に忙しいらしく、ジャック叔父様夫妻とコーキッド子爵様夫妻もホスト側として手伝いに来ていた。

 同い年の従弟たちもアヴァちゃんもパール浜の自宅でお留守番のよう。

 私は相手をしてくれる侍女のラナーナに見守られながら魔法の訓練を進めた。指一本からではなく手のひら全体からも魔法を出せるようになった。指一本だと強い感じで、手のひらだと大量に出る感じがした。

「魔法ばかりしてはいけません」

 侍女のラナーナは魔法を使えないが、学問に護身術、そして淑女教育に関しては、両親公認の腕前できっちりと私を特訓してくれた。

「加減乗除は習得したので今日は剰余演算です。百問、開始」

「受け身百本、開始」

「水を五十ミリリットル入れた瓶を頭にのせて、つま先立ちで歩いてください。落としちゃだめですよ」

 本を頭に乗せて歩くから、美脚になるという昨年から始まった空瓶のせトレーニング。ようやくものになり始めたが……容量ゼロ、普通の歩き方から、どんどん難易度が上がっている。

「はい、ダメ。バランスが悪いから落ちるのです」

 ――サンダー侯爵家には私にだけ牙をむく鬼がいる。

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