修理
安全な場所でゴーレムの動作確認をしたところ、問題はなさそうだった。
しかし、動かすのに使った
「もう
オリンピアのせっかちを、エコーが止めた。
「待って。お客さまに許可を取りたいことがあるの」
と、そこへ助けを求める声。
「エーコさぁん……」
どこからきたのか、ステラは子供に
七、八歳の男の子だ。
「グラックさまのお子さんたちはもっと大きかったはず。使用人の子かしら」
首をかしげるエコー。
男の子は物怖じしないようすで、ゴーレムを指さした。
「ぼくのアイアンダー、直る?」
「え……。ちがうよ、
ステラ、そこじゃないだろう。
「鉄だよ! アイアンダーなんだから!」
「鉄じゃないよ。
「鉄なの!」
同レベルで張り合うステラと男の子に、エコーとオリンピアはあきれた視線。
「アイアンダーはなー、つよいんだぞ。おまえなんか、ギュヒュー、ドグワッ……シャー! なんだからな!」
身ぶりをまじえて男の子が主張すれば、ステラも負けてはいない。
「なにをー! そんならわたしだってミラクルステラだよ!」
何だ、ミラクルステラって。
「レミ! お仕事のじゃましちゃいけません」
折りよくようすを見にきた家政婦長がレミ少年を無事保護してくれたので、エコーとオリンピアはひと安心。
「奥様にご報告したいんですけど、お取り次ぎ願えますか」
渡りに船とばかりエコーが声をかけると、家政婦長は気苦労がしのばれる笑顔で、
「お会いにならないとおっしゃってます。私が代わりに」
エコーは簡単に状況を説明すると、
「木はお安いですが、石のほうが長持ちします」
「奥様にうかがいますので、ちょっとお待ちを」
家政婦長がレミをつれて立ち去ると、ステラは心配そうにエコーを見上げた。
「『会わない』って……お客さん、やっぱりまだ怒ってるんですかね……」
あのときのひどい剣幕を思えば無理もない。
しかも相手は領主の妻なのだ。
しかし、エコーはステラを安心させるようにいった。
「だいじょうぶよ。
それより、モルタルを練りましょう」
エコーの監督下、ステラはまず地面に大きな布を広げた。
「この上に袋のセメントと砂を出して。少しでいいわ。比率はだいたい1:3ね」
また、モルタルは作り置きができない。多めに作りすぎて余っても、固まってしまえば捨てるしかないのだ。
その間に、オリンピアは水を
セメントと砂は、色が均一になるまで根気よく混ぜる。量が多いと一日仕事だが、今回は少ないのですぐ終わるだろう。
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