第33話 理系の側付きたちが浮かび上がらせしキーワード

真鍋まなべ君が、凪沙野なぎさの君の爪の垢から採取された体細胞ゲノムの変異解析を行ってくれている……抽出情報から……仁田本にたもとさんがランダムネスについてのエントロピー検定を行って得られた情報を……暗号文字解析AIで処理をしてみた結果……」


(わたしの爪の垢、めちゃくちゃ高度に解析されてるし)

 握力測定の後は、二階堂先輩の解析もとい亀戸二階堂家の解説無双が始まった。


「……以上となります。失礼いたします」

 と、爪の垢ゲノムの客観的数値情報について一通りの報告を終え、研究メイド(?)の真鍋まなべさんは退室していった。


 すわ、戦闘メイドさん?、と思ってしまった真鍋まなべさんも、その実のところ、博士課程在学中の研究メイドさんとのこと。

 穂香ほのか(大)にとっては、なんと由々しきことか。これまでの立ち振る舞いからして、朝に昼に先輩の身の回りのお世話ができるであろう才色兼備がディフォルトの真鍋まなべさん。加えて、夜には研究成果について博士課程レベルの夜伽ができるなんて、反則級のライバルである……昼ドラ的なライバル関係を前提とするならば。


「はい、お嬢様方の変異情報の解析はわたくしが担当させていただきました……」

 と、運転手改め……執事長の仁田本にたもとさんが背筋を伸ばしたまま解説を加えてくださる……。

 

「結果得られたキーワードのうちテキスト情報がこちらだ」

 と、二階堂先輩が解説無双を終えると、ディスプレイに文字が浮かび上がった。


『Example of Sadogaturn key』

 サドガターンのカギの、例・・・? 


「この記述の後に続く文字列を、暗号文字解析AIは自然言語ではなく暗号鍵コマンドだろうと推測した。わたし達が普段用いているよりも相当に長いキーコマンドということになるが、こちらのキーワードが抽出されることを、気味の体細胞を改変した存在は期待していたと考えられる」


 爪の垢から出た錆、的なキーワードを、わたしは受け入れなければならないのか……。

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