このパーティにはもう俺以外いらないから、お前たち抜けてくれないか?~無能な奴らに食わせるメシはねぇ!役立たずは全員追放して、俺だけの最強パーティを作ります!?~
第20話 遅れてやってきたアイツは……。
第20話 遅れてやってきたアイツは……。
俺たちが屋敷に帰ると、門の前に誰か人がつっ立っていた。
「誰だ?あれは……?」
エラが怪訝な顔をする。
「よし、ちょっと聞いてくる」
俺はとりあえずその男に声をかけることにした。
「あのー、すみません……何か用ですか?」
男はフードをかぶっていて、顔がよく見えない。
俺に気づくと、俯いたままドスの効いた声で、
「あんた……この屋敷の主人か……?」
「はぁ……まあそうですけど……?」
その瞬間、男は俺の首根っこを掴むと、ものすごい形相でまくしたてた。
「くそおおおおおおおお!!!こんないい屋敷に住んで、いい女たくさん侍らせやがって!」
なんだこいつ!?俺にいったいなんの恨みがあるというのだろう……。
男はなおも俺を揺さぶって威嚇している。俺はあっけにとられてその場を動くことができずにいた。
「ちょっと、アンタ!アウルスから離れなさいよ!」
みかねたカレンがラッキーストライクを放つ。
――シュインシュインシュイン。
「くそっ」
男はそれを見事に避け、そのかわりフードの端が焼け焦げた。
男の隠していた顔があらわになる。
「あ!お前は……ロランじゃねーか!」
「ほんとです!どうしてロランがここに!?」
なんと男の正体は元パーティメンバーのロランであった!俺とミリカ、カレンが驚いて顔を見合わせるも、エラとエルは何事かわかっていないようす。
「くそう!バレちまったらしょうがないですね……!アウルス!僕はお前を殺しにきた!」
いきなりとんでもないことを言いだした……。なんと俺は殺害予告をされてしまった。昔のなかまに!いったいなんでそんなことになったんだ!?まさか、自分の無能を棚に上げて俺のせいにしようってんじゃないだろうな?
「なぜ俺が殺されねばならん!」
「なぜ?きまっているだろう……キミが僕たちを追放したからだよ!あの日以来、僕は酷い目にあいつづけてきたんだ……!」
ロランは豹変して涙を流し始めた。ほんと、情緒不安定なやつだな……。
「それは俺のせいじゃない!すべてはお前らが無能だったからだ!それに、カレンとミリカはこうして新しい自分の活かし方をみつけて立ち直っているんだぞ!お前とグレッドだけそうやっていつまでもうじうじと捨てられたことを引きずっているんだ!」
女性陣はまともになろうと努力してくれたのに、ロランとグレッドの男連中はなんともなさけないな……。ロランだってもっと謙虚なら、俺も救ってやれたかもしれないのに……。
「うるさい!うるさい!うるさい!僕はとにかく憎いんだ!僕たちを捨てたアウルスが、いまこうしてハーレム王になっていることが!」
ロランはそういって、俺を無視して女たちのいる方へ向かって行った。その手には、刃物。
「危ない!」
カレン、ミリカ、エラ、エル――俺はみんなを心配して、……。
その心配は必要なかったようで、
「ホーリーシャインアロー!!!」
――シュインシュインシュイン。
エラの攻撃がロランをいっきに貫いた。一気通貫。
ロランはその場に血を流して崩れ落ちる。
「ほっ……そうか、こいつらはもう
俺は安心して胸を撫でおろす。
「それもこれも、アウルスのおかげね……」
カレンが笑顔で俺に目線をおくる。
「ふぅ……エラさんがロランをヤってくれてよかったです。私とカレンはいちおう昔の仲間なのでちょっと攻撃するのはためらっちゃいますしね……」
ミリカが倒れたロランをつっつきながら言った。
「あら?私は別にロランを手にかけることに躊躇なんかないわよ?」
カレンがそれを否定する。まじかよ……。恐ろしい女だ。
さすがにロランをこのまま放置するのは気が引ける。
俺の屋敷の前だしな……。
「あー……なんだ……その、ミリカ。こいつを回復してやってくれないか?このままだと死んでしまう」
「えー?ロランなんかに回復魔法を撃つんですか?こんなアウルスさんに嫉妬して牙を剥くようなクズはほっといたらいいのに……」
「いやいや……俺も鬼じゃない……それにエラを殺人者にはできないだろう?お願いだ……頼むよ!」
「えーじゃあ後日アウルスさんを私に独り占めさせてくれたらいいですよ!」
ミリカが上目づかいでそんなことを言う。
独り占めってどんなことをされてしまうのだろう……?
「わかった……一日だけなら……」
俺は恐怖と期待半分に、しぶしぶ了承する。
「やったー!ついに私もアウルスさんにやりたい放題できるんですね!?」
ミリカが歓喜の声を上げる。
「あ!ずるい!私も独り占めしたいぞ!」
エラが便乗してきた……。
「「私も私も!」」
エルとカレンも乗っかる。これはあとでへローラとレグも同じことを言いそうだぞ……。
「あー!わかったよ、じゃあみんなで一日づつ俺を好きにしてもいいから!ロランを回復してやってくれ!」
わが身を犠牲にしてまでロランのような情けないクズを回復してやるなんて……俺は聖人か?ロランには恨むより感謝してもらって然るべきだ。
そのあと意識を取り戻したロランを警察に引き渡すと、俺たちはようやく帰宅した。
ロランを回復させるのは思ったより高くついた。
俺は後日みんなに独り占めされまくって、体力を絞られつくしたのだ。
エルフ酒を飲んでも倒れそうだった。
まあそんな感じで俺――アウルスのハーレムライフは続くのだろう……、これからも。
――完。
このパーティにはもう俺以外いらないから、お前たち抜けてくれないか?~無能な奴らに食わせるメシはねぇ!役立たずは全員追放して、俺だけの最強パーティを作ります!?~ 月ノみんと@世界樹1巻発売中 @MintoTsukino
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