第3話 やっぱり貸しますっ!
3-1 聖騎士オーク対セイルinルオさんです。
【前回までのお話】異能チート不採用。【以上】
「ほう、オークが聖剣持っとるぎゃあ」
ルオ、という人が憑依したセイルさんは、先ほどまでのボソボソとした喋りから打って変わって、なんとものんびりした調子で言います。
「時代は変わったねぇ」
剣聖だの『伝説の六師』だのと言われていましたが、大丈夫なんでしょうか。
「ほんだら―――いっちょ
と、セイルさんの中に入ったルオさんはおもむろにそのへんに落ちていた木の棒を拾います。
「お、コイツは“伝説の剣”だぎゃあ」
……はい?
セイルinルオさんは、それをブン、と振り。
「さぁ、来いや」
「何を言っているんですか!?」
やっぱり大丈夫じゃなさそうです。
「レインさん! あの人! セイルさんの身体を無駄遣いしてますよっ!? 早くやめさせないと―――痛いっ」
「見ていろ、と言ったはずだが?」
「あれはヒマキの棒っていうオージャニア原産の道具ッス」
私はかしこい女なので黙りました。ジュンヤさん、いらない解説ありがとうございます。
「……妙な演技を始めたと思えば貴様」
ああ……、聖騎士オークさん完全におキレになられてます。
「ふざけるのも大概にしておけぃ!!」
剣を上段から振り下ろします。
「避けてください!」
しかし、セイルさんはあろうことか、ヒマキの棒で聖剣を受けようとします。
オークの
「……バカな」
と、思ったら、
「どりゃっ!!」
「うおっ!?」
セイルさんは聖剣を棒で受け太刀し、あっさり押し返しました。
「まさか……!!」
動揺するオークさんをよそに、静かに
「このような、ことがッ!」
「ほしたら、次はちゃんと避けてみようかね」
あり得ない、と思っているのは私も同じです。
「フンっ! フンっ! ……フンっ!?」
今度は素直に受け太刀などせず、迫る剣を避けて、避けて、避けきっています。ふわりふわりと、綿毛のように。さらりさらりと、清流のように。
「シーさま、もう一回セイル先輩を【
言われるがままに。
【見析】
『剣師ルオ』 種族:人間
Lv.‐
膂力 ‐
瞬発力 ‐
耐久力 ‐
魔法力 ‐
【特性】 剣師派生職“特攻”
【見析終了】
レベルもステータスも、ない。名前すら。
「あれは、セイルさんじゃ、ない?」
「セイルは
ものまね士、などとんでもない話でした。
セイルさんは魂ごと別人になれる能力者だったのです。
【続きます】
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