?-? 誤算。

しーのレベル、お貸ししますっ!」

 

 ―――とまぁ、意気揚々、余裕ドヤドヤと異能力を発動させた私ですが。


 この時点で、気付くべきでした。


 この異世界は、レベル制だけど、ゲームじゃない。


 主人公に合わせて弱い敵さんから順に向かってきてくれるなんてことはない。


 そもそも、主人公なんていない。


 人も魔物さんも生き残るため、文字通り必死に向かってくる。


 どんなに強かろうが、強く殴られれば痛いし斬られれば血が出る。


 ステータスなんて、レベルなんて些末なこと。


 死ぬときは死ぬ。


 異能力があれば人に戦って貰って万事OKだとも思ってました。


 大誤算です。


 生き残るため、本当に必要なのは―――


【続きます】











「誤算だ」


 ■■は呟いた。


 20××年11月某日、N県立海野うみの高等学校一年五組の生徒が行方不明になった事件はその日のうちに全国を駆け巡ったが、有力な情報は何一つ掴めず、無責任で突拍子もない噂と憶測だけがニュースの尺を繋いだ。


「こんなはずじゃなかった」


 ネットを通じた与太話のひとつに『異世界にクラス召喚されたんじゃない?』とあったのを■■は、当然、知り得ない。


 オージャニアに召喚されたクラスの生徒たちは―――


「どうでもいい」


 力量レベル身体能力ステータス異能力チート


 すべて、揃っていたはずだった。


 なのに。


「なんでいつも、上手くいかないんだ」


 ■■は言った。


【続く】


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