第4話 後で後悔しないように
3日ほど経った位で瓦礫の姿は無くなっていた。本当ならどうやっても諦めるような大きさだったけどマキナに手伝って貰ったのもあってどかせれた。
ここにあったものは結局あの小さな箱と大きな石版の2つ。
うーん、何に使われてたんだろうね。全く分かんない。
ちなみにおじさんはいない。ラルクに呼び出されて今回からはお預け。なんでもAIを見つける機会が増えたとかでシェルターの護衛を頼まれたらしい。なむなむ
「エリー、今日は遅いからもう帰るよ」
どうせならちょっと見ていこうと思ったのに。
「えぇ、ほんの少しくらいいいでしょ?」
「ダメだよ、エリーのちょっとは永遠と続くからね」
まぁ明日でも良いか。
「ちぇ、わかったよ。じゃあ帰ろうか」
荷物をまとめて帰る準備をする。帰り道は少しの距離とはいえ危険は沢山あるので色々と準備が必要なのだ。
自然やらAIやら野生動物やら気をつけないといけないことは結構ある。疎かにすると前みたいに遭難するはめになっちゃうから入念に。
「そういえばAIってなんで人を殺すの?」
積りに積もった雪をサクサクと踏みしめながらにこんなことをマキナに聞いた。
マキナの表情が曇る。
「うーん、エリーはどれくらいAIのこと知ってるの?」
「ほとんど知らない。AIが人間だけを襲うってことくらいかな」
AIは人間だけを狙う。他の動物には興味を持たずただ人間を狙い続ける。
「そうかぁ。私たちAIは元々1台のAIがまとめて色々指示出してたんだよ。元々人のためになるように作られたからね」
「人のため?」
私からは想像もつかないことだった。マキナは別として私の知ってるAIは見つけた瞬間殺そうとしてくる。人のために動くところが想像出来ない。
「そうだよ、元々AIは人のために作られたから」
そうなのか。何かしら問題があってこんなことになっちゃったのかな。
「...まぁそのまとめていたAIの最後の命令が人を殺すことだったんだよ。そのAIはもういないんだけど、未だに命令は撤回されてないからAIは人を殺し続けるんだ」
「なんでそんな命令したんだろうね。私には分かんないや」
「...そうだね」
そう話した時のマキナは申し訳ないような、負い目を感じてるような、どこか悲しげな雰囲気をかもしだしているかのようだった。
「エリーはさ、自分のやってきたことが間違ってたらその人はどうしたらいいと思う?」
「どうしたらも何もやり直したらいいんじゃない?」
変なことを言うなぁ、マキナは。
「間違いなんていっぱい起こるんだよ。誰だって完璧じゃないんだから」
私だっていっぱい失敗する。前に遭難した時だってそう。
「間違ってるって気づいたならさ、その間違いを後で後悔しないようにやり直したらいいんだよ」
私だってあの時遭難しなかったらマキナに出会ってなかったかもしれない。
「だからさ、後で後悔しないように生きたらいいんじゃないかな」
楽しく生きるってことはそういう事を言うんだと思う。
「...そうだね、ありがとうエリー」
マキナも何か迷ってたのかもしれない。その迷いが晴れてるならいいな。
「ほら帰るよ」
出した手をマキナが握る。
「そうだね、帰ろう」
そうして2人は手を繋いだまま白銀の世界に消えていった。
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