三十二話
メリーに手を引かれてながら、僕にあることを言った。
「今日は面白いもの見れるかも?」
「面白いもの?何か祭でもあるのか?」
「とりあえず中等部ヘ行こ、ガイ?」
そういうと再び僕の手を引いて走り始めた。
教室へ着くとメリーはある人物を呼んだ。
「“ラクシア·ハーレ”、居ますか?」
「ラクシア?確かヴェルの友人···」
すると教室から何かを悟ったかのような顔でこっちに向かってきた。
「ここだとあれですし、場所変えません?」
「あなたがそれを望むなら。」
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日がちょうど真上に登り始めたころ、僕たちは学園内にある花園に来ていた。
「それでメリー先輩、何かごようですか?」
すると突然メリーは彼女の胸元の制服を破いた。
僕は咄嗟に目をそらした。
「そのまま目を閉じててねガイ?それとラクシア、この胸元にある“魔法結晶”は何かしら?」
「···答える義務は無いと思いますが。」
「構造からおそらくアークゥスさんの物。ということはあなたはホムンクルス···いや、それは生命維持装置ってやつかしら。」
「あら、まだ確証は持ててなかったのですね。」
「でも実際に見て確証は持てた。」
「うふふ、それで?私のこの魔法結晶を奪うためにきたのですか?それとも弱みを握るため?」
「今日、ユーテリアは恐らくヴェルディちゃんのところによってからアッシロ連邦に向かう。それだけ言えばわかるかしら?」
「···もしかしてお兄ちゃん、私のこと。」
「お兄ちゃん?君はユーテリアの妹さんなのか?」
会話の内容が気になり彼女の方へ目線を向けると確かに胸元には魔法結晶があった。すると突然視界が真っ暗になる。もしかしてアイマスクか?
「ガイ?他の女の胸見たかったんだ?それともただ私達の会話への好奇心?でも後でオシオキ♥」
何かおかしい。メリーはこんな感じではなかった気がする。口調もおかしい気がするし、何よりも彼女がここまで頭を働かせて行動している姿を僕は見たことが無かった。
「ていうかなんでユーテリアはヴェルのところに行かなきゃならないんだよ。」
「魔法結晶を手に入れるため。今彼女にはそれが埋め込まれている。それもかなり高性能なものを···」
「いやでもだってユーテリアにはオメガさんが一緒に行ってるんだからそんな余裕は···」
「あれはいわば偽物。彼が行動を起こすときにわかりやすいようにするための目印のようなものよ。」
「あ、あの!」
突然ラクシアさんは僕たちにこう言った。
「···兄を止めてください。虫のいい話なのはわかりますが、兄には、お兄ちゃんにはまだ···」
「大丈夫よ、“私の娘が動いているもの”。」
「え?」
「そ、そうですか。でも兄を···殺さないでください、“シラユキ様”···」
「···大丈夫よ、任せなさい。ガイ?行きましょ?」
「え、あ、ああ···」
またもやメリー?に連れ去られるまま近くの平原へ転移していた。
「ふふ、もう気づいてるわよねガイノス君?」
「え、ええ。何か変でしたからね、シラユキさん。それで、メリーは本当にユーテリアのところに行ったんですか?」
「あら、真っ先にメリーの心配?でも本当よ。多分今頃···」
その時、ものすごい地震が起こる。直後メリーが目の前に姿を表した。···ユーテリアを連れて。
「ママ?どうしてガイと一緒なの?ママでもそれは許容出来ない。」
「あらごめんなさい、ちょっとお話と説明をしてただけよ。それよりもその子、ユーテリア君を渡してくれるかしら?」
「ああ、このゴミならあげる。後ガイ♥少し私に着いてきて?」
ユーテリアは気を失っているのかぐったりしている。そのまま投げ出されたシラユキさんに回収された。
「ついて行くって···どこに?それよりもユーテリアになにを···」
「ふふ♥」
何も言わずにメリーは僕の手を握ると何か呪文を唱え、上空へと転移した。すぐ真下には雲があり思わず足がすくんでしまった。
「うえっ!ちょ、ちょっとメリー!落ちる!」
「大丈夫だよガイ?でもそんなに慌ててるガイも素敵♥」
なんとか落ち着きを取り戻した頃、真下の雲が無くなっており地上が見えてきた。そこにあったのは一つの国だった。
「あ、あれは···」
「そこで見ててねガイ?」
その時、国を覆いかぶさるくらい大きな魔法陣が国の上空に現れた。これが力を受け継いだメリーの力なのか。
他にも邦を覆うように魔法陣が形成されていく。あたかも逃さないようにするために。
「何をしたんだメリー?」
「あそこに特殊な空間を創った。死にたくても死ぬことができない場所。」
「な、なんでそんなこと。ていうかあの国は何なんだ?」
メリーの顔を見ると目に光は無かった。ただ僕だけを見つめ口を開いた。
「だってあの国はガイを苦しめた。それは死よりも重い事、だから私が罰を与えたの。」
「お、おい···メリー?」
「ガイ?」
思わず彼女の手を握る。だがメリーは首をかしげ不思議そうな顔をしていた。
「僕は、大丈夫だから。そんなこと、しなくてもいいんだよ。」
「ガイは優しいね♥でも、大丈夫だよ?あれは“そのうち歴史から消える”。ヴェルディちゃんのは···どうしよ···」
突如頭に鈍い痛みが襲う。その様子を見たメリーがそっと抱きしめてくれた。
「安心してガイ?ガイを傷つける存在はすべて私達が滅ぼすから♥」
僕はそのまま意識を失った。その時、“一つの国が滅んだ”と後の話で僕は聞いた。
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