六話

朝、目が覚めると隣でメリーが寝ていた。そういえば夜、一緒に寝るって言ってたのを思い出した。パジャマは少し気崩れており、自然と胸元に視線がいってしまった。


(メリー、最初に会った頃よりを大きくなった・・・よな?)


「何見てるのガイ?」


「うぉ!?」


いきなり声をかけられてびっくりしてしまった。まさか起きているとは。


「・・・もしかして、私の胸見てた?」


僕の視線に気づいたのかあからさまに胸を強調してきた。やはり僕はそっちに視線がいってしまった。


「・・・ごめん。」


「いいの、ガイに見られるなら私気にしないし。それに私のこと、意識してくれてるってことでしょ?」


僕に対して怒るどころかメリーは僕ならいいといってくれたその言葉に甘えてしまいそうになった。


「まあそうだけどさ、できるだけ見ないようにするよ。」


「・・・ガイは私の胸、嫌い?」


するとメリーは僕の顔を胸元で抱き締めた。もうなんというかすごく柔らかくていい匂いがして・・・息が苦しい。


「ちょ、メリー・・・息が・・・」


「あ、ごめんね。やっぱり私のじゃ嫌なの?」


「いや、そういうわけじゃなくてさ・・・ああもうっ!僕はメリーの全部が好きなんだよっ!」


思わず僕はメリーに向かって言ってしまった。メリーは少し驚いていたけれどもすぐに僕に向かって抱きついてきた。


「・・・・・・私もっ♥️私もガイの全部が大好き♥️」


「・・・ああ、僕も大好き。」


「ねぇガイ?キス・・・したい。」


前にキスをしたときは雰囲気に流されてやってしまったもので、今考えるとすごく恥ずかしくて照れくさいものだった。


「その・・・または今度な?」


「むぅ~!!」


いつか覚悟ができたら改めてやろうと僕は思った。メリーは頬を膨らませていてすごく可愛く、遅刻しない程度にイチャイチャしていた。


─────────────────────────────


学園に着くとベーラルとハーシィさんが顔を近づけあっていた。メリーは無表情だったけれども少し頬を紅く染めていた。


「おいベーラル、何してんだ?」


「わっ!?・・・なんでガイノス君か。あとメリーちゃんも、驚かせないでくれよ。」


「そう言われてもな・・・」


ハーシィさんに目を向けると明らかにキス待ちの顔をしている。ここでキスをしたらまたあの学園長が暴れてしまう可能性もある。


「ねえハーシィちゃん?」


メリーが声をかけると我にかえったかのように驚いていた。


「・・・ん?あれ?兄さんは?」


「なあハーシィさん、今何しようとしてたの?」


「何って、キス待ちしてたの。」


「ベーラル・・・お前、妹になんてことを・・・・・」


「ちょっと待て誤解だ!!」


そのあとベーラルに説明を聞いて納得した、気がする。どうやらベーラルがハーシィさんの目に入ったゴミを取ろうとしていたらしい。そのあといたずらでキス待ちの顔をしていたと話していた。


「分かってくれたかいガイノス君?」


「ああ、お前を牢屋に入れなくてすみそうだ。」


「そ、そうかい・・・」


「そんなことよりガイ、授業始まる。」


メリーに言われ時計を見ると確かに授業が始まる時間だった。そのあと、ベーラルの目が死んでいたが昼過ぎには治っていたので特に気にしなかった。


そして放課後、僕とメリーは中等部に来ていた。目的は勿論、今日帰ってくる弟に会うために。もう二年くらいは会っていないだろうか?レックスは今年で15歳、きっと成長してるんだろうなと想像を膨らませていると、馬車がやって来た。


そこから、十人くらいの生徒が出てきた。そしてそのなかに一人に、僕の弟レックスがいた。


「レックスっ!!」


僕が大声で叫ぶとレックスがこちらに気づいた。そして、こちらに走ってきた。近くで見るとたくましくなったなあと感じた。


「兄さん?兄さんなのか!」


「ああ、僕だよ。元気そうだねレックス。」


昔とあまり変わっていなかったのですぐに気づけることができた。本当に元気そうで良かった。


「それで兄さん?そちらの女性は?」


「ああ、この人はメリー、僕の恋人だよ。」


「・・・初めまして、メリーです。」


「そうですか!!よろしくお願いします!」


するとレックスはメリーの手をつかむとブンブンと腕を振っていた。相変わらず元気なやつだな、そう思った。


「それぐらいにしてやれレックス。メリーも困ってるぞ。」


「あっすみませんメリー!もしかして僕のお義姉さんなるんだと思うとテンションが上がってしまって。」


「お義姉さんって・・・」


「そういえば兄さん、ヴェルには会ったの?」


「いや、まだ会えてないな。」


確かもう14歳だったか。今でもあいつの髪の美しさを覚えている。手入れが大変だとよく僕たちに泣きついていたヴェルは今どうしているのだろうか。


「多分学園にはいると思うけど・・・明日また来てよ兄さん!ヴェルを連れて来るからさ。」


「おうっ!」



レックスと別れたあと、メリーを見ると何故かニヤニヤしていた。


「私がお義姉さんになるってことは・・・ガイのお嫁さんになるってこと・・・ふへへ♪」


「おーいメリー?大丈夫か?帰るぞ。」


するとメリーは僕に抱きついてきた。


「ガーイ?・・・うふふ♥️」


「どうしたメリー、なにかいいことでもあったか?」


「私、子供は三人がほしい。」


「え?なんの話?」



そのあとメリーは寝るまで上機嫌だった。







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