七話

(レックス視点)


今日二年ぶりぐらいに兄さんと再開した。俺は久しぶりの再開に心が踊っていた。兄さんがいなくなって俺は初めて両親を恨んだ。いつも優しくてかっこよくて、それでいて俺に色んなことを教えてくれた兄さんを追い出した両親を今でも恨んでいる。


だから兄さんと再開したときは本当に嬉しかった。あの日以内会うことが出来ず、死んでしまったのではないかと思う日もあったためだ。


それで今俺はヴェルを探していた。確かあいつは俺よりも早く遠征から帰っていたはずなのでいるはずだが・・・

ヴェルは両親からとても可愛がられ期待されていた。もしかして実家に帰ったのだろうか。


一応女子寮の方にも探しに行くと一人の女性を見かけた。確かあのこは・・・


「あ、レックスさん!どうしたんですか?」


「ああ、ヴェルを探していてね。“ラクシア”さんは何か知らないかな?」


ラクシアさんはヴェルと同じクラスメイトでよく一緒にいるのを知っている。もしかしたら知ってるかもしれない。


「ヴェルディちゃんなら部屋にいますよ。なんか遠征から帰ってからずっとこうで・・・」


「部屋にいるんだな?ありがとう。」


すぐに向かおうとするとラクシアさんに呼び止められる。


「レックスさん?鍵、あるんですか?」


「あ、ごめん。忘れてた。鍵あるかな?」


「せっかちな人ですね。はい、鍵です。早く行ってあげてください。」


「すまない、いつかお礼させてもらうよ。」


俺は急いで部屋に向かった。そのとき何かラクシアさんが何かを言っていた気がして振り向くと何故か顔をそらされた。一体なんなのだろうか?


ヴェルがいる部屋に入るとそこには日記を書いているヴェルの姿があった。その瞳は黒く滲んでおり、まるで狂っているかのように日記を書いていた。


「ヴ、ヴェル?大丈夫か?」


するとヴェルはゆっくりとこちらに振り向いた。ブロンドカラーの髪の毛が特徴で俺から見ても非の打ち所がない美人だ。だかその表情はとても暗くて、すごく怖い印象を持った。


「あ・・・れ?レックス兄さん?どうしたの?そんな慌てた顔をして。」


ヴェルはにっこりと笑顔を見せてくれた。でもまた暗い表情に戻る。兄さんがいなくなってからよくあることだか今回の落ち込み方は今までで一番のものだった。


「ヴェル、何かあったのか?ラクシアさんも心配してるよ。」


「・・・私ね、お母さんとお父さんに言われたの。もうガイノスのことは忘れろ、あいつは家族でもなんでもない。ただの化け物だって。」


「っ!・・・・・・そうか。」


「私ね、そんなことないっ!って反論したの。そうしたらね、お父さんが頭蓋骨を持ってきたの。それで・・・それが兄さんの・・・だって・・・・・・」


「そうか、辛かったな・・・」


俺は今までに感じたことのない感情がわいてきた。兄さんが家族じゃない。それだけでも怒りがわいてくるのに勝手に死人扱い。俺だってそんなことされたら精神的に病んでしまうだろう。本当にひどいやつらだ。


「ねえレックス兄さん?ガイ君は生きてるよね?死んでないよね?」


その声はとても震えていた。そしてその瞳はどす黒いものだった。病んでしまうのも無理はない。ヴェルが一番兄さんのことを好いていたんだ。なら俺が言う言葉はこれしかない。


「ああ、生きてるよ。生きてる。」


「・・・本当?本当だよね!」


「・・・・・・ああ、本当だよ。」


ヴェルは泣きながら俺の手を握る。きっと兄さんのことを今言うと今すぐ会いに行くんだろうなと思った。気づけば外は真っ暗だ。きっと兄さんの迷惑になると思い、俺は明日の放課後に呼び出すことにした。


「じゃあなヴェル、また明日。」


「うん、レックス兄さんも気をつけて。」


ヴェルは笑って俺を見送ってくれた。きっと俺に話して楽になったのだろう。まあなんにせよ明日が楽しみだ。

しかし俺は、






──うふふ♪ガイ君♥️また会えるよね♪次会ったらガイ君の子、ほしいな♪そして絶対に離さないから♥️──






ヴェルの異変に気づくことは出来なかった。







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