第8話 『ハッピーシュガーライフ』松坂さとう ①苦いのは嫌いなの。
大人たちの多くが病んでいる世界において、誰も愛したことがなかった松坂さとう。
しかし、今の彼女は砂糖少女となり、幼女しおちゃんと、マンションの一室で甘やかなハッピーライフを過ごしています。
「しおちゃん、甘いのが欲しいの」
「いいよ、ちゅ~」
冒頭部は、砂糖少女の苦・甘(本作のヤン・デレ)な内面を基調に展開されていきます。ヤンデレさんのお宅におなじみの腐乱臭の残るゴミ袋は、ドMの変態教師を処分の協力者にするなどして、2人きりの甘い生活は危ういバランスの上に成立。
しかし、早くも苦味が近づいてきます。アニメ第二話が終わる頃に、しおちゃんと関わることになる若き3人が一室に邂逅してしまいます……3人はそれぞれ当然に病んでます。
その時、意識を失っている彼の口から、あの誓いの言葉が漏れ出してきます。
《病めるときも、健やかなるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、死がふたりを分かつまで……》
その言葉を聞いた砂糖少女は、苦味が続く後味に、
(嫉妬?! 嬉しい!)
と、初めての感情をむしろ喜びます。
✧
そうしている間に、さとうがいないことを不安に思ったしおちゃんは、マンションから外出してしまいます。
外でしおちゃんはたいよう君に出会います。
「いたいのいたいのとんでけ~×N回……こうべ?」
「悲しくなるから泣かないでね……」
彼にとって、しおちゃんは天使。
…… 直後、たいよう君をボコる2人のヤンキー。
…… そして、2人のヤンキーの両目をくり抜き処分する砂糖少女。
✧
かくして、2人のハッピーシュガーライフは元に戻ります。
しかし、砂糖少女の前で
「ぐるぐる、ぐるぐる……らんらんるー」
と、舌足らずな声ではしゃぐしおちゃんには、かつてのグルグルの記憶が。
時間の矢は、不可逆に進んでいきます。
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