第22話
先輩が次々に注文した肉たちも、全て食べ終わり、おのおのがアイスで口の中を冷やしていると、おもむろに先輩が僕に顔を向けた。
「そういえば、桜木、どういう経緯で間藤さんと知り合ったの?私、聞いてないんですけど」
うーんと唸りがらも、スプーンでアイスを掬って、口に運ぶ。そんな僕を一瞥して、代わりに間藤が口を開いた。
「それはですね……、実は私、お恥ずかしい話なのですが、教室の窓から先日、落っこちてしまって、それを神業で助けていただいたんですよ」
僕なら適当にはぐらかすところだけど、間藤が決めたことなら仕方がない。へえーと言いながら、先輩はアイスをスプーンで何ゆえか潰していた。
「じゃあさ、どうして窓から落っこちちゃったの?」
「あーそれはですね……、窓枠に腰かけていたらバランスを崩してしまって……」
本当にはた迷惑な話だった。それに、打ち所が悪かったら、死んでるという話だ。
「なるほどー。で、命を救われて、桜木に惚れてしまったという訳ですか。それなのに、桜木に、こんな部活に入れられて、私にとっては僥倖だったけど、間藤さんにとっては災難だったねー」
水を飲んでいた間藤が、ゴボっと鈍い音を出して、続けてゴホゴホとむせる。そんなことにはお構いなしに、溶けて液体になったアイスを、先輩はスプーンですくって飲む。正直言って、行儀が悪いと思った。
「そ、そういうわけじゃないというか、それだけじゃないというか……。あっ、それに、前に、付き合いましょうって言ったのは、山神さんにアプローチされて桜木さんが困っていたようなので、何とかどうにかしようと思って――」
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