第3話
休日を怠惰に過ごしていた。幸せではない。
退屈な自分の心を人の不幸や幸せでパンパンにして紛らわそうとしてるんだ。
最近は悪者を色んな方法を使って成敗するというコンテンツの動画を見ている。
その動画に浸ってる間はその人は悪人だと思う。というか悪人だ。
浮気するから悪い。不倫するから悪い。嘘をつくから悪い。人を殺すから悪い。
結婚するのは良い。誕生日は良い。偏差値の高い学校に入学したら良い。宝くじが当たったから良い。
今上げたものは悪いことと良い事をあげてみた。このコンテンツでもさまざまな人がいて、とりあげ方や後始末の仕方が人によって違う。
疲れてきたらもう一人のチャンネルをみる。
また疲れるんじゃない?そう思った人もいるでしょう。
まぁ、その通りなんです。
けどこんな私でもこの前までは美容系やダイエット系の動画投稿者のチャンネルを見ていました。
けど、どのチャンネルも最終的には炎上してしまった。
その炎上の理由を知るために人間の性癖のようなコンテンツを見る。まるで悪魔の誘惑。
今の私は人間の性癖。いや、人間の呪縛を見てしまっている。
どんなに良い人でも負の面は持っていて、そこを正の面に変えるために人の不幸を見る。
それが人間の真理なのかもしれない。
ふとコメント欄を見ると悪人に対して悪い所を指摘してる人、動画投稿者に感謝する人、ただ単にアンチする人、同じような人ばかりだった。
世の中十人十色と言ったけどこのコメント欄を見てみんな同じことを思っていて同じ人を悪人扱いしている。
それは当たり前だ、だって浮気はいけないことなんだから、世の中から叩かれるべきだ。
人間は皆同じなのではないのか。
私は頭の中がぐちゃぐちゃになって、スマホの電源を切った。
そろそろ昼食の時間だ。休日とはいえ、外出してくれる友人はいない。
別に悲しんだり哀れんだりすることは無い。私から切ったのだから。
だけど私は皆と同じ思考をもっている人間に分類される者だ。
だから、さみしい、苦しい、助けてって言いたい。けど匿名でも表には出せないだろう。
ヤカンに水道水をいれ、沸騰するのを待つ間、テレビを見ることにした。
テレビを見ると人が求めるようなニュースばかり。当たり前だが、ついつい見てしまう。
この人は笑っているけど目が笑ってない。
この人は印象操作で悪く映ってるかもしれない。
この人は人生幸せそう。愛されてるやつずるい。
比べてはいけないって分かってる。分かってるのに、羨ましくて悔しい。
気づいたら沸騰したお湯は限界を超えていた。
人間だらけの人生だった。
人は好き。
人間は嫌い。
人生って文字にも人が入っている。
「もし、人間がいなくなったら私は幸せになれるのかな」
誰も答えてはくれない。
ただ、生暖かい空気に包まれたキッチンに座り込んだまま
私は
今も息を吸う。
ヒト科ホモサピエンス ちキ @09039921018
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