第21章-3
ふたたび外に出ると
「あら、かわいい猫ちゃんじゃない」
「お
「いえ、違うんですけど、」
そう言いかけてカンナは顔をあげた。目許は笑ってる。
「そうだ。――ね、うちに来てもらえばいいんじゃない? そうしましょうよ」
「うちに? ペロ吉を?」
「そう、うちに来てもらうの」
彼は
「あら、
「いえ、もう
「そうなの? そりゃ
「ほんとそうなんですよ。――ねえ、いいでしょう? ペロ吉だってその方がいいはずだもん。そうしましょうよ」
いつもより目をひらき、カンナは見上げてきた。――なんだこれ。ほんとに夫婦みたいになってんじゃねえか。っつうか、いいかげん
「ま、かわいい奥さんにそこまで言われたら
「えっ、そうなんですか? あんな大きなお子さんがいるなんてびっくりです」
「そうお? ま、あの子の父親ともいろいろあってね。ほら、この前話したでしょ。
っていうか、どんな人と結婚してたのよ。妊娠中に蹴ってくるかもしれない男ってわけ? カンナは
「あら、すごく格好いいお巡りさんじゃない」
北条は頭を下げた。その後ろにも小太りなのが一人いる。
「ああ、あなたはあのときの。そうですよね?」
「――っと、あなたでしたか。その、あの
「いえ、終わったことですから気にしないで下さい」
「ほら、俺が引っ張られたときにさ」
「ふうん、そうなの」
目を向けると警官は頭を下げた。北条も同じようにしてる。
「ちょっと、ママぁ、早く戻ってきてよぉ。これどうすればいいの?」
「あら、ごめんなさい。すぐ行くわ」
手を振りながらお姉さんは戻っていった。彼は
「そういえば訊きたいことがあったんですよ。あの日、私たちは六時に待ち合わせてたはずでしたよね? でも、あなた方が来たのは六時過ぎだった。あれはそちらの方が時間を間違えたからと聴きましたが、」
太った警官はうなずいてる。ただ、話したのは北条だった。
「それは前にもおこたえしましたよね?」
「でも、もう一度お訊きしたくなってね。どうなんです?」
「ええ、確かに私は六時にと言いました。それでこの者に同行を頼んだんです。しかし、
「なるほど。時間は合ってたが、待ち合わせ場所を間違えたってことですか」
トコトントコトンと音がする。笑いあう声や
「そうなんです。急いで向かったんですが、あの時間になってしまって。本当に申し訳ございませんでした」
北条は深々と頭を下げた。太った警官は目だけ
「なにか
「いえ、ありませんよ。何度も訊いて済みませんね。もう大丈夫です」
「はあ」
「どうしたの?」
「ん? ああ、嘘について考えてたんだよ」
「嘘?」
「そうだ。カンナ、嘘ってのはどこまでいっても嘘なんだよ。どんなに
制服は人混みに
「いいか? カンナ。これはもうすぐ終わる。もうちょいの
その声は
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