第20章-4
「失敗させられた? それはどういう意味です?」
「あのときも言いましたが、あなたの過去は見えづらかったんですよ。非常にぼんやりして
彼は
「ゆかりさんの過去からも同じ言葉が見えたのは言いましたよね。それが間違いの元だったんです。いえ、あのときはそっちが
嘉江は
「それも前と同じですね。あなたはわざと私を怒らせ、言いたくないことまでしゃべらせてしまった。先生、あなたはそういうふうに見せてないだけで、大変
「はっ! ありがたいお
「でも、今じゃわかってる。そう仰りたいんでしょう?」
「そうですよ。そして、それは
突然立ち上がり、嘉江はものすごい
「私が! 私が柏木さんを殺したと言うんですか!」
「そうです。しかし、あくまでも『ある意味において』ですがね」
スーツに手を入れ、彼は写真を取りだした。
「あなたとご主人、それに柏木伊久男ですね」
「なんなんです、それは」
「あの男のパソコンに入ってたそうです。それだけじゃない。あなたの写真だけでも相当あったようですよ。これを見せてきた刑事はこう言ってました。『これは好きな女を撮ったもんだろう』って」
嘉江は
「いいですか? 想像でしかありませんが、私はこう考えてるんです。あなたは過去を見られ、怖れた。私を怖れたんです。どこまで知ってるかわからなかったのもあるのでしょう、とにかく古川紫織のことをこれ以上
「私が? 柏木さんにですか? あなたを脅せと?」
「いえ、もしかしたら
強く息を吸う音が聞こえた。彼は指先を向けている。
「そう、私はそこまで知ってます。ただ、全部が
「はあ?」
「あの子も殺されたというんですか?」
「そうですよ。あの子は柏木伊久男の部屋に出入りする犯人を見たんでしょう。それで殺されたんです。それだけじゃありません。去年の四月には平子というお
「ええ、知ってます。あの方のことを柏木さんは気にかけていて、」
「それについても教えて頂きたいんです。しかし、その前にあなたの過去を見る必要がある。柏木伊久男がどういう人物だったか知らなきゃならないんです」
「そんなふうに言われても――」
目はふたたび仏壇へ向かった。彼は身を乗り出している。
「何度も試すようなことをして申し訳ないですが、今のにだってヒントは
「それは、」
「きっとあなたは柏木さんから聴いていたんだ。そうでしょう? その辺のことを
嘉江は顔を
「その写真を持って心を静めて下さい。頭も空っぽにして、すべて私に
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