第18章-2
ほどなくして刑事どもが
「おい、
心配そうな顔はうんざりしきったものに変わった。若造は首まで赤くしてる。
「あんなのは一般市民のすることじゃないぞ。いいか? お前は
「ほんとうるさいな。キーキー
「そうよ! この人は病気なの! ちょっとは静かにして!」
お前もな。彼はこめかみに指をあてた。山本刑事は首の後ろを
「ま、落ち着こうや。ところで、大丈夫なのか? 突然倒れたって聴いたけどよ」
「ん、大丈夫だ。頭は痛いがそれだけのことさ。――で、なにかあったんだろ?」
「ああ、小林衛は逮捕されたよ。田沼渉もな」
「そうか」
「気にしてたみたいだから、とりあえずそれだけ言いにきたんだ」
「
「カミさんは
「いえ、そこまで聴けてないっすね。でも、
彼は腕を組んだ。ペロ吉はどうしてるんだろう? それに、どうなるんだ? そう考えてるところに階段をあがってくる音が聞こえてきた。
「ほれ、たくさん買ってきたぜ。
戸口で立ちどまり、徹は思いきり首を引いた。
「あんた、俺を
「は? どういうことだ?」
「だってよぉ、この人たちは刑事だろ? あんた、
「そんなことしないよ。ほら、こっち来い。もっと近くに。――そうだ、それでいい」
太い身体をのけ
「どれ。――ああ、こいつは定番のやつだな。で、――ん、こりゃ
「でも、すげえ効くらしいんだよ。突然倒れて、熱が出て、頭痛も
ちらちらと刑事を見つつ徹は箱を取り出した。若造は腕を組み、目を細めてる。
「そうか、ありがとな。――カンナ、水を持ってきてくれないか。薬とこれを飲んだら横になる。ま、ビンビンになったら眠れねえかもしれないけどな」
カンナはベッドの一部分を見つめてる。でも、視線を感じたのだろう、怒ったような顔で奥へ向かった。
「山もっちゃん、こいつはもう悪いことなんてしてないよ。あの写真もあんたが言ったように古いもんだった。今はこの通り、気のいいオッサンってわけだ」
「ん? ああ、そのようだな」
「あんたの連れは言いたいことがあるみたいだが、こいつは俺の恩人になったんだ。捕まえるようなことしてみろ、あんたの秘密とそいつの本名が
「ふうん。じゃ、そいつを教えてくれないか? 前にも言ったが俺はこっちのヤマで
軽くうなずき、彼は話した。『悪霊』という言葉で
「ふむ、なるほどね。そいつは知らなかったな。あの
「そうなんだよ。それを聴いて思ったんだ。キーになるのは
「わかった。なに、そんなのはすぐ調べられるよ。でも、そうだな、俺たちは被害者についてあまり理解してなかったようだ。お前さんが言ってたちぐはぐさってのもそっから出てたんじゃねえか?」
「かもしれない。だから、柏木伊久男について洗いざらい教えて欲しい。どこで生まれ、どこで育ち、どうやって暮らしてきたか。あそこに越してきたのは五年ほど前のようだが、それ以前にはどこにいたのかもな。とにかく、あの爺さんに関することは関係ないと思えるものまで知りたいんだ。そっから組み立て直した方がいいんだろう」
「ああ、そうかもな」
振り返り、山本刑事は薄くだけ笑った。
「言いたいことはわかるよ。でもな、このヤマばかりはこちらの先生に相談した方が早い。それに、俺もひとまずはこの男を信用してみることにしたんだ」
そこで首を曲げ、刑事は目を細めた。
「だが、もしなにかしてるようだったら
「山もっちゃん、そう
「どうした? なにか他にわかったことでもあるのか?」
全員の目がベッドに向かった。彼は
「おい、見てみろ。ビンビンになってるぜ」
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