第17章-5
翌日も風が強かった。
「おい、それで
「うるさい。
「そんな格好の奴に言われたくない。っていうか、
「どうしたんだ?」
顔を出そうとしたところを引っ張り戻し、若造は
「だから、やめろって。田沼が来てんだよ。またなにかするつもりなんだ」
「なにかってのは?」
「わからないよ。でも、嫌がらせしようとしてんだろ。日中に動くのは初めてなんだ。様子を見なきゃならない」
「ふうん。でも、捕まえる気はないんだろ?」
「まあな。それは別の者が動いてる。ここの――」
そう言いながら若造は
「父親もそのうち
「じゃ、俺が見てきてやるよ」
「は?」
「こんな格好のオマワリはいないだろ? いたら笑えるもんな。ってことで、ちょっと行ってくる」
引き戻そうとしても無駄だった。彼はすたすた歩き、すこし
「おい、大変なことが起きてるぞ」
「いや、待て。この件は別で動いてる。俺たちは見張ることしかできない。そうだろ?」
「警察ごっこのつもりか? ほら、言えよ。なにがあった?」
「田沼は部屋に入ってったよ。ま、コソ泥なんだ、そういう
「はあ? 小林んとこに入ったっていうのか?」
「そうだ。この家の鍵はよくなくなってる。それも田沼の
首を伸ばし、若造はアパートを見つめた。外からでは変わった様子はない。
「山本さんに聴いたが、ここの子供は
「ああ、わからないけどな。その可能性はある」
「
彼もアパートを見た。ただ、すぐに顔を引っ込めた。
「早いな」
「プロってのはそういうもんだ。それに何度も入ってるなら、どこになにがあるかわかってんだろ」
男は
「こりゃ、早く片をつけるべきだな。子供を
「それも別で動いてるんだろ?」
「ん? ああ、そうだ」
「そっちにも父親が逮捕されるって話はいってるんだよな?」
「そりゃ、いってるだろ。昨日、北条とも話した。ここの父親は別件で捕まるだろうってな」
「そうか」
時計に目を落とし、彼は首を引いた。
「おっ、やべえな。遅刻しちまう。こんなとこで馬鹿と話してる時間はなかったんだ」
しかめられた顔は一瞬にして真っ赤になった。ただ、蓮實淳は走り出している。若造は生け垣を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます