第13章-2
目をあけると
そう思った瞬間に
「起きましたね」
カンナは首を動かした。タオルを手に
「これでお
「ありがとうございます」
頭を下げた
「すみません。突然お
「無理ないわ。私たちだって倒れこみそうになったくらいですもの。さ、背中は私が拭いてあげましょうね」
タオルをあてられてるうちに涙はぽろぽろと落ちてきた。目をつむっても収まらない。どうして出てきた涙なのかもわからなかった。
「ナア!」
キティの声がした。カンナは唇を
「あの、教えて下さい。あの人――うちの先生になにがあったのか。そして、私になにが出来るのかも。助けなきゃならないんです。私が助けてあげなきゃ駄目なんです。だって、みんな知らないけど、本当のあの人は子供っぽくて、
混乱した思考は最後をただの悪口に変えたけど、嘉江は優しそうに見つめてる。
「蓮實先生はあなたにとって大切な存在なのね」
カンナは
「えっと、――はい、たぶんそうです。だから、なんとかしなきゃならないんです」
「私もできれば先生のお役に立ちたいんですよ。だけど、知ってることは少ないわ」
嘉江はテレビをつけた。「たった一つで
「昨日はそうでもなかったんですがね、ついさっきからはニュースで大きく取り上げられるようになって。うちにも来ましたよ、なんですか? レポーターみたいな人が。ゆかりが出たんですが、『占い師による殺人事件』などと言ってきたようです。ま、うちのアパートで起こったのも調べてあるのでしょう」
画面は昼前のニュースに変わった。しかつめらしい顔をした男女が大きく映ってる。男の方は「高温注意報発令」について話しだした。
「こういうのはどうかと思いますが、占い師ってのが目を引くんでしょう。先生のことをいろいろ言うようになってね」
「いろいろってのは?」
「ま、見てみましょう。そのうちやるでしょうから」
幾つかのニュースの後で
「
写真があらわれるとカンナはタオルを
「中継が
「はい、こちら殺害現場近くです。いまも警察関係者が出入りをしています。被害にあわれたのは豊島区雑司ヶ谷在住の
「つづいては水の事故についてです」
女性キャスターが向き直ったところでスイッチは切られた。
「どういうこと? 殺人で逮捕って。あの人が? 馬鹿げてる! だって、私たちの方が被害者だったのよ!」
涙はまた
「落ち着きなさい、カンナさん。あなたがどうにかしなきゃならないんでしょ?」
「そうだけど、どうしたらいいんですか? 私になにができるの? 奥さん、教えて下さい。どうすればいいんです?」
頬を拭いながらカンナは
「カンナさん?」
「はい?」
突然向き直り、嘉江は微笑んだ。そして、耳許に
「お願いがあります。蓮實先生に会って来て下さい。犯行時間を知りたいんです。それさえわかれば私がなんとかしますから」
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