第12章-5
なにも知らないカンナは
「ま、とはいっても、自分で
朝日に輝くバッグを見つめながらカンナは
美容室の角を曲がり、カンナはふたたび颯爽と歩き出した。あのジジイはほんとムカつくし、嫌なことも多いけど、悪いことばかりつづくわけじゃない。――ん? なんか、そういう言葉があったな。なんだっけ?
「ニャア!」
聞いたことがないほどの
猫たちは鳴きもせず
「ナア!」
ああ、この声は猫
「え?」
カンナはカーテンの閉まった店を見た。それから、視線をあげた。細い窓は暗い。
「なにかあったの?」
「ナア!」
「ねえ、キティ、なにかあったんでしょ?」
「ナア!」
「もう! わかるように言ってよ!」
急いで
「え?」
そう言ったきり、カンナは立ち
「ニャア! ンナア!」
「ニャ! ニャ!」
「ンニャ! ニャア!」
激しく頭を振り、カンナは降りていった。なんだか
「わかったから、ちょっと待って。そんなにみんなで鳴かないでよ」
予約
「さ、なにがあったか教えて。私にもわかるようによ」
腰に手をあて、カンナは
「どうしてあの人はいないの? いったいなにがあったの?」
「ナア!」
キティが
「は?」
店前にはキティだけがいた。魔法をかけられたかのように猫は消えている。まあ、身体の大きなゴンザレスが見えたから、ばらばらに駆け出したのだろう。カンナはしゃがみ込んだ。
「で? キティ。私はどうしたらいいの?」
「ナア」
弱く鳴き、キティは顔をそむけた。それから、
「ついて来いってこと? そうなんでしょ?」
「ナア!」
また走り、キティは振り向いた。鍵を閉め、カンナも走り出した。
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