第10章-1
【 10 】
今回のビラも
『インチキ占い師 蓮實淳は、さる
ただ、前回と異なった部分もあった。写真付きだったのだ。蓮實淳のはネットから
『① 胸が大きいだけの馬鹿な助手はいまだ「
② 夜中になると蓮實淳と助手の
ビラは日本女子大の近辺で二十枚見つかった。仮に前回と同じだけ
「どう思う?」
昼食の時間にカンナは訊いてきた。テーブルにはチーズドッグとコーヒー、重ねられたビラが置いてある。
「どう思うって、コレのことか?」
「この場合、他に訊くことある? もちろんコレのことよ」
コーヒーを
「進化してるな。カラー写真付きだ」
「進化してる? ふざけないでよ! こんなの進化なんて言わないわ!」
「で、ちゃんとこたえて。どう思ってんの?」
「まあ、意外な展開ってとこかな。こりゃ、
「どういうことよ」
「ほら、前回は大和田のことだったろ? あれはもう解決してるから書いたもんだと思ったんだよ。
「ふうん。で?」
「実際にもあの
「ふむ、ふむ。だから?」
蓮實淳は
「っていうか、ちょっとは考えようと思わないのか? さっきから『で?』とか『だから?』ばかりでさ」
「だって、考えるのはあなたの仕事でしょ。私は助手だもん。――で、だからどうだっていうのよ」
伸びたチーズを
「だからさ、こうやって書くのはおかしいと思わないか? これじゃ自ら脅迫のネタを放り出してるようなもんだ。いや、こうやってプレッシャーをあたえてるとも取れるよ。ただ、ビラをつくるたび手の内をさらすなんて
「そう? それこそ、そのプレッシャーをあたえようとしてるってんでいいんじゃない? だって、こんなの見たら、あの馬鹿息子は嫌な気分になるでしょ。そのジジイはそうやって皆を嫌な気分にしようって
「ただ、そうなると
「まあ、」
ソファにもたれかかるとカンナも腕を組んだ。
「そう言われるとそうも思えるわ。ほとんど全部が嘘なんだから、そこも嘘でいいわけよね。私のとこなんて完全に作ってるわけじゃない。だったら、大和田さんや鴫沼のことなんて書かずに作っちゃえばいいわけだし」
「そうなんだよ。あの爺さんにはちぐはぐなところがある。ビラにしてるのも変な話だし、動機にもちぐはぐさがある。この店を潰そうってのはその通りなんだろう。ただ、やり方がおかしいんだ。それが気になってな」
ビラを
「なに? なにかわかったことあるの?」
「いや、」
紙を放ると彼は鼻に指をあてた。いつもの考えてる
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