第9章-5
けっきょくのところ、彼らは有効な手立てを持つことなく日々を過ごしていたわけだ。犯人がわかってもなにもできなかった。いや、この時点における
本当に
鼻に指をあてたまま彼は固まった。キティたちの報告では大和田との
逆に考えれば、大和田の件はもう終わってるからビラに書いたとも考えられる。腹いせ混じりにばら
だいたいにおいて思考はそこで止まる。そこから先へは進まないようになってるのだ。――まあ、これだけの情報では読み切れないんだろう。まだあの
ただ、うんざりすることはまだつづいた。
八月の第一週、休み明けの木曜にカンナは
え? カンナは顔を近づけた。そして、ええっ!! と思った。腹が立つより先に
「ちょっと大丈夫? どうかしたの?」
自転車のおばちゃんが声をかけてきた。心配そうな顔で見つめてる。
「あ、――いえ、大丈夫です」
「ほんとう? すごく顔色悪いけど。あなた、ここの学生さん? 誰か呼んできましょうか?」
「あの、私はここの学生じゃないし、ほんとに大丈夫なんで。――すみません。ありがとうございます」
おおげさに思えるほど元気よく歩いてからカンナは電話をかけた。ただ、やっぱり出ない。
「ほんと使えない奴」
目につくビラを
「ん? どうした? また
寝ぼけた声を聴いたとき、感情は
「違うわよ! またあったの! あの馬鹿げた、嘘ばっかりの、いやらしいビラが! 私はそれを剥がしまくってんの! あなたも今すぐここに来て!」
そう
「ん、ここに来てって言ってたけど、ここってどこだ?」
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