第7章ー5
店を閉めた後で二人は見つめあった。テーブルにはキティが
「どうだ? すこしは冷静になれたか?」
「私はいつだって冷静よ」
そう言いながらカンナは紙を
「はっ! ほんと馬鹿げてる」
くちゃくちゃに丸め、カンナは背後に放った。唇は
「ちゃんと理解したいから口に出して読んでみて」
「読むのか?」
「そうよ。早く読んで」
彼は
「ええと、『蓮實淳なるインチキ占い師は不正に
「『これは実際にあった話だが、ある
言葉が
「それって、大和田さん家のことよね?」
「だろうな。ま、それをベースにしてつくった
「でも、おかしくない? 三十五万って、奥さんが払ったのと一緒よ」
「ああ、そこまで知ってるのは
カンナは腕を組み、しばらく
「ま、いいわ。つづきを読んで」
「って、これも読むのか?」
「いいから読んで」
深く息を
「えっとな、『十代後半の女性は悪い霊を
「どうしたの?」
「ん? いや、なんでもないよ」
「まさか、そういうことしたんじゃないでしょうね」
「するわけないだろ。だいいち、店を開けてるときはいつも一緒じゃないか。そんなことしたくても、――いや、違った。そんなことできるわけないだろ?」
「だけど、休みの日だってあるわ。そんときならできるじゃない」
彼は弱々しく首を振っている。――なんか
「なによ、そんな声出して。このお方はなにが言いたいの?」
「ん?」
彼にだけはキティの
「うん、なんだ、これについては後回しにしよう。ま、最初のが大和田さんのことだとしたら、まったく意味がないとも思えないけどな。――で、」
「で? その後は読まないの?」
「いや、これはちょっとな」
唇を
「じゃ、私が読むわ。――えっと、『① インチキ占い師 蓮實淳は胸の大きさだけが
「『② その女が淫売であるのは
読み終えるとカンナは紙を丸め、思いっきり放り投げた。瞳は
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