第2章-2
「どうです? 当たっていたでしょう?」
「私、
カンナのもとへもその声は聞こえていた。というか、カーテンの近くで聞き耳を立てていたのだ。――こんなに
「ありがとうございます。でも、私はただの占い師で、なんらかの解決方法を持ってる人間じゃありません。失せ物
「そうですの? でも、私の生徒さんが探していた指輪を見つけて下さったこともあると聴いてますわ」
「ああ――、そういうことがありましたね。彼女はあなたの生徒さんでしたか。料理教室の」
女性は薄く
「ほら、私が料理教室をしてるのもお当てになった」
彼はデスクの上で手を組み合わせた。心の中では
「こう言うのもなんですが、私、お金には困っていませんの。それに、今日は時間もございます。ゆっくり見えたことを教えていただきたいですわ」
「いいでしょう。――まずは、そうですね。あなたは
風にガラス戸が
「先程も申しましたが、おおげさに物事を
両親の話が出ると目許はゆるんだ。しかし、徐々に真顔になっていった。
「ご主人は優しい方らしい。あなたは下のお子さんが小学校に入られてから料理教室をされることを思い立った。ご主人はそのために
「ええ、ほんとうに優しい人です」
「しかし、あなたはご主人が浮気してると考えてますね? それも、若い女性と。これは、あなたから見えたことを元に感じ取ったもので、確定した事実ではないですよ。そして、仮に浮気をしていても、あなたはご主人を愛してる。こちらはどうも事実らしい。ですよね?」
蓮實淳は長く息を
「どうすればいいのでしょうか?」
「まずはお二人で話し合うのが一番だと思いますが」
「
「証拠?」
「私、
「どうしてです?」
「だって、それが事実でなかったら、彼を傷つけると思うんです。そんなこと私にはできません」
蓮實淳は鼻先を
「私にどうしろと言うんです?」
「浮気をしてる
「相手を特定されて、どうするおつもりですか?」
「その人と話します。そして、別れてもらいます。これが事実であれば、後に引く気はございません」
「でも、私はただの占い師なんですよ。目の前にいる人のことなら見えるが、そうでなきゃなにもできない。ご主人を連れて来られたとしても、隠そうとしてることまでは見えないかもしれないんです。それに、浮気調査であれば
蓮實淳は指先を向けた。彼女は
「ですが、指輪は見つけられたのでしょう? あの後、教室はその話で持ちきりでした。私、それを聞いて、ここへ来たんです。それに、探偵などに相談する気はございません。失礼な物言いになるかもしれませんが、今の時間で先生のお
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