第1章-3
最悪の出会いの後はだいたいにおいて二筋にわかれる。ひとつはまったく印象が変わらず
カンナは
両親が離婚したのはまだほんの小さな頃で、それから母子家庭での生活がつづいたのだけど、そのあいだカンナは自分以外の存在になるよう仕向けられてると感じていた。母親は実にがっしりした
「まったく、なんでこんな馬鹿なこと思い出さなきゃならないわけ?」
窓からは高速道路が見えた。すべての車は目的地を持っている。だけど自分はこの時間になにをすればいいかもわかってない。そして、終わったことをくよくよ考えてるわけだ。カンナはクッションを投げつけた。これだって、あの男のせい。住む場所を変え、
カンナの父親はまったくの自由人で、絵描きをしてる。働きに出てる子供がいるとは思われないくらい若く見え、そう見えるだけでなくいやに若々しく振る舞っていた。ただ、強固な型枠の元を離れた後では、その有り様も
それが、
父親がまたしても浮気したのだ。それも、よりによって自分の後輩と! その後輩を紹介したのもカンナだった。とはいえ、雪が強く降った日に迎えに来てもらい、名前を教えたくらいだったのに。それがいつの間にか二人はデキていて、もう目も当てられない状態になっていた。あまりにも居たたまれなくなったカンナは町を出ることにした。
「あぁあぁあ」
溜息のようでもあり、歌のようでもある声をカンナはしばらく出した。回想シーンは誰も見送りにきていないホームを見つめるところで終わる。だけど、見送り? とも思った。誰が来るっていうの? 父親にも母親にも来て欲しくない。あの後輩なんて論外(顔も見たくない!)。
立てた
「もったいないなぁ」
カンナは
ひるがえって自分のことを考えると、あまり他人に批判的になってる場合でもなかった。いつまでも無職でいるわけにはいかないのだ。好む
考えようによっては、あの男と私には似た部分があるのかも。
まあ、時間があると人間は様々なことを考えるものだ。そして、時間があるときに考えることは
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