第3話 一言目
思わず魅入ってしまった。 美しい。 これが見惚れるということか。
自己紹介直前で急に黙ってどこかを凝視する人を不審に思ったか、先生はどうした、と話しかけてくる。あっと思った瞬間、目をそらされてしまった。
とりあえず簡単に自己紹介を済ませ、席に戻る。
HRが終わる。とりあえず今日は入学式をしてHRで自己紹介とその他諸々の伝達がされたら解散である。配布物と筆箱を新品でまだ固い指定鞄に突っ込み帰りの準備をする。さて帰ろうか、というところにふと後ろから囁かれた気がした。
「 ねえ、 私を撮ってよ。 」
後ろを振り向く。立っていたのはあの透き通る茶髪の子だった。
あれ?私、カメラが趣味って言ったっけ?結局あの時は名前と出身中学と中学の時入っていた部活を文字通り手短に言っただけだった気が。ちなみに中学時代の部活はバレー部である。
ふとその子の顔を見ると、長い透き通る茶髪から少しのぞく耳が真っ赤になっていた。
「 いいよ 」
これがこの茶髪の女の子、八江さくらとの、最初の会話だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます