第24話
年が明け、1月。
僕は正月を実家で過ごし、春休みまでの残りの授業を受けに、また東京に来ていた。
隣には、いつもの西島がいる。
「おはよー、今日の一限って小テストだよな。」
「うわ、俺忘れてた!教室に着いたらレジュメ貸してくれ!」
「仕方ないなぁ~。」
西島とは相変わらず、一緒に大学に行っている。昼食も一緒に食べているので、一日中いる。
1年近く通った大学は、今ではすっかり慣れた場所の一つになっていた。今までは行く度に若干の気まずさや物珍しい感じを覚えてたが、今ではそれもないし、大学生活は充実している。周りにも話をしたり声を掛けたりする友人がいるので楽しい。まだ某感染症の影響でマスク着用は必須になっているが、それでも制限は幾分軽くなったように思う。
僕達は教室の入り口で検温と消毒を行い、いつものように教室に入る。
「お、今日もお前らは一緒か。」
「おはよ~」
「今日は寝坊しなかったんだな、西島。」
「おう!…って、昨日も寝坊してねぇよ!」
そんな何も飾らない学生の会話さえ、心地よく感じる。
僕は、男子とは少し離れて座る女子の軍団を垣間見た。女子もいくつかにまとまって、ワイワイしながら何かを話している。
ふと、その中の一人と目があった。僕はその人に、その人も僕に、ほんの少し笑いかける。僕達はどこにでもいる、普通の「仲の良い友人」だ。
きっと、僕はこの一年間を忘れることはない。
僕は大きく背伸びをした。教室の外には雲一つない空が広がっていた。
―――これは、僕が「友人A」として経験した、少し特別な物語。
終
「友人A」は恋をした。 キコリ @liberty_kikori
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