血胤に翻弄されし男女の邂逅『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』
神仙や聖獣の息づく大陸の、とある地方。
その名は「マツリカ村」
この村には独自の文化が根づき、栄華を誇る大国「月下ノ国」とは全く異なる素朴な暮らしを営んで、人々は仲良く穏やかな日々を過ごしていました。
『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』
最初に申し上げますと、この作品の様々な描写に関して、結構好みが分かれてくると思います。
この作風をすごく気に入る方もいれば、逆にプレイしていて辛いと感じる方も出てくるはずです。
そのため、興味を持たれた方はプレイする前に、公式サイトや口コミ等を確認することをお勧めいたします。
この作品は独特な世界観が魅力となっていますので、まずは世界観について語っていきましょうか。
物語の舞台となるのは、主に3つの場所です。
山奥に存在し、主人公が住んでいる「マツリカ村」
広大な領土を保有し、栄華を誇る大国「月下ノ国」
雪に閉ざされた山岳地帯に存在する「
ルートによって、いずれかの土地を中心に物語が展開されていきます。
マツリカ村に住む少女「ナーヤ」は、生まれつき「
ナーヤが見出す宝玉の原石は外部の商人との貿易に使われるため、村の生活には欠かせませんでした。
マツリカ村では、何故か自然に火を起こすことができません。そのため、外部との貿易によって、火を購入する必要があります。ナーヤが輸出品である宝玉の原石を見つけなければ、村は火を手にすることができず、生活に大きな支障が出てしまいます。
村の火を絶やさないため、責任感が強く心優しいナーヤは日々原石を鑑定して暮らしています。
そんなナーヤも、ついに成人を迎えます。
年に一度の「
彼女の運命は動き出すのでした。
それでは、攻略対象を紹介していきましょう。
フェイ(CV岡本信彦さん)
マツリカ村を束ねる族長の息子で、ナーヤの幼馴染。ナーヤには両親がいないため、兄妹のように同じ屋根の下で仲良く育ってきました。
次代の族長としての責任感が強く、族長家の務めに真摯に向き合う真っ直ぐな性格の青年です。その誠実な心根と爽やかさは村の女の子達からの人気を集めています。
また、幼い頃からナーヤに対して淡い想いを抱いています。
ルヲ(CV山下誠一郎さん)
月下ノ国から定期的にマツリカ村にやってくる商人。明るくフランクな雰囲気で接しやすく、相手と打ち解けることを得意としていますが、その軽薄さ故に本心が見えない一面も。
村に火を売りに来る「
月下ノ国の第一公子である青凛に仕える
また、自身も名家である玖家の当主。とても厳格な性格で頭の回転が速く、更には武道にも精通していて、名家の当主に相応しい実力の持ち主です。
比較的小柄な体躯でありながら食べることが大好きで、大量の料理を一人で平然と平らげてしまいます。
月下ノ国の第一公子で次期国王。おっとりとした雰囲気で穏やかな性格の青年です。生まれてから宮廷を出たことのない箱入り息子ですが、思いやりと慈しみに満ちた美しい心の持ち主。
宮廷内に様々な種類の鳥を囲っている部屋があり、そこで鳥達と戯れて日中の大半を過ごすことが多いです。
ゼベネラ(CV羽多野渉さん)
白狼族を束ねる長。白狼族は人間だけでなく、狼も家族として共に暮らす一族です。寡黙な青年で、狼の言葉を理解することができます。長として頼りがいがあり、一族の者達から敬意を集めています。
年中雪に閉ざされた山岳地帯で生活しているため、長自ら狩猟に出て食糧を確保しています。狼と連携した狩りにより、日々一族の暮らしを支えています。
まずはストーリーについてですが、糖度がとても高いです。主人公と攻略対象が惹かれ合う過程がとても丁寧に描かれていて、どのルートも楽しかったです。ただ、女性が辛い目に遭う展開も含まれますので、そういった要素が苦手な方は注意してください。
また、主人公がかなり理不尽な目に遭いやすいと言いますか、物語を進行するためには仕方ない展開だと思いつつ、見ていて心が痛むシーンも多々ありましたね。
ですが、この辛さをカバーしてくれるくらい恋愛面が濃密に描かれています。
世界観や伏線の回収よりも、主人公と攻略対象の関係性を雰囲気のある形で結ぶことに重点を置いている傾向にあり、最終的にスッキリしない箇所も出てくるかもしれませんが、恋愛ものとしては本当に雰囲気のあるストーリーで美しく、味わい深い作品だと思っています。
イラストが繊細なタッチで美しく、どのキャラクターも大好きですが、女性陣が本当に良いです。
月下ノ国で「
男性のサブキャラもかなり個性的で、攻略できたら面白そうだなと思える人物もいます。
システム面はフローチャートと選択肢スキップが実装されているため、エンド回収しやすいと思います。
エンドは3種類あり、ハッピーエンドに当たる春前終節、グッドエンドに当たる明前終節、バッドエンドに当たる雨前終節です。私はルートによっては、春前終節よりも明前終節や雨前終節が好きなこともあったので、全エンドを回収することをオススメします。どのエンドもそれぞれ良さがありましたね。
攻略順については、攻略制限が設けられていることから、ある程度順番が強制的に固定されてしまう部分はあると思います。
しかし、この作品は攻略する順番によって結構各ルートに対する印象が変わってくる気がしました。他のルートの盛大なネタバレがある訳ではありませんが、このルートの前にあのルートをプレイしていると面白さが増すというのはありましたね。
私は
ルヲ→青凛→ゼベネラ→燕來→隠しキャラ→フェイ
の順でプレイしました。
これでも問題はありませんでしたが、推奨順を作るとすれば
ゼベネラ→ルヲ→青凛→燕來→隠しキャラ→フェイ
の順が良いと思います。
フェイはラストが良いです。これは確実かなと。
あと、青凛の後に燕來を攻略するのも固定した方が良いと思います。
これは本当に、青凛ルートをプレイするとただ純粋に燕來ルートをプレイしたくなるんですよ、猛烈に。私はもう青凛ルートの時点で燕來が好きになっていました。
そのくらい燕來の存在感は強いです。
推しについては、さっきもう若干ぽろっとしましたが、まず最推しはルヲです。
そして、燕來も好きです、推しています。
ルヲについては、やっぱり私の好きな性格だったことが大きいですね。こうフランクですぐ仲良くなれるけど、実は全然真意が読めない男の心に触れる話が好きなんですよ、ただただ。プレイ前の予想通りの結果、ルヲは完全に好みのタイプでしたね。
しかし、燕來については、私自身プレイ前はそんなに意識していなくて、思い切り意表を突かれた形です。本当に面白かったです。
燕來は何というか、ヲタクの好きな属性が詰め込まれたキャラだなという印象が強いですね。燕來ルートをプレイしていて、どんだけヲタクの好きな要素が詰め込まれてんだ燕來と何度ツッコミを入れたことか。
ストーリーも、少しずつ燕來の柔らかい部分と言いますか、本音を引き出していく感じが好きでした。自分にも他人にも厳しい人が心を開いてくれる過程って良いですよね。
血胤で繋がった者達は、その因縁に翻弄される。
それでも、彼らは欲してしまう。
どれだけの苦難や痛みが待っていようとも。
愛しい存在をその腕に抱きたいと。
ただただ、彼女と共に在りたいと。
彼らと彼女の交わる先に、温もりと幸福があることを願って。
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