揺れ惑い妖しき者らに魅せられて『9 R.I.P.』
青春を謳歌する高校生と言えど、避けては通れないものがありますよね。
進路。
皆様も、現在進行形で悩んでいるか、あるいは当時悩んだのではないでしょうか。
悩みながらも進路や将来についてよく考えることはとても大切な経験で、それはきっといつか自身の糧となることでしょう。
しかし、必要以上に思い詰めてしまってはいけません。
心に闇を抱えていると、簡単には帰れない、奇怪な非日常に誘われてしまうかもしれませんよ。
『9 R.I.P.』
この作品は、ホラーをメインとした乙女ゲームです。
ホラーが苦手という方は注意してください。
主人公は「
嘘か真かは定かではありませんが、彼女の住む街では時折「神隠し」が起こるという噂が囁かれています。
しかも、何らかに思い悩み、精神的疲労が蓄積している人間が神隠しに遭いやすいと言います。
珠沙はオカルト好きな友人から神隠しの話を聞き、その後、奇妙な声が聞こえるようになってしまいます。
そして、ある日。
決定的な異変に襲われてしまうのでした。
珠沙が出会う怪異や妖怪が、この作品の攻略対象となります。ご紹介していきましょう。
学校の怪談「殺人鬼のからからさん」の正体。珠沙が通う学校に住んでいますが、普通の人間はその姿が見えません。着物に羽織を纏って刀を携えた、古風な格好をしています。
恐ろしい怪談のモデルでありながら、温厚で心優しく、穏やかな性格をしています。
学校の怪談「引きずり鏡」の正体。紅華と同じく学校に住んでいます。学ランを着て、首吊りの縄を首に掛けています。
いつもオドオドしていて、他人と関わることはあまりありません。しかし、珠沙には少し心を許しているようで、笑顔を見せることもあります。
都市伝説「幸せのメリーさん」の正体。無愛想ですが、何故か珠沙のことを気にかけています。
紅華の友人で、よく会っているようです。また、星絆とは幼馴染で、親友でもあります。
都市伝説「星を眺める青年」の正体。生前は有名なアイドルで、女子高生からも高い人気を得ていました。
有名人ですが嫌味は一切なく、明るく親しみやすさのある青年です。ただ、珠沙はいつも違和感を覚えます。
香羊とは幼馴染で親友。アイドルになってからも、その親交は変わらないようです。
悪魔の一種である「夢魔」。感情の起伏が激しく、狡猾で悪魔らしい性格。珠沙の魂を虎視眈々と狙っています。
聖ヤとは犬猿の仲です。
生前に罪を犯した死者の魂を地獄で見張る「地獄の大看守」。慇懃な言動で職務に忠実ですが、かなりの恋愛体質で少し変態とすら感じられる面も。魅ナミに狙われる珠沙を助けようと奔走します。
魅ナミと大変仲が悪く、会ったら一触即発の事態になりかねません。
妖怪「座敷わらし」。といっても、本人はまだ見習いだと言います。明るく陽気な性格ですが、どこか神々しさが感じられる瞬間もあります。
珠沙を幸せにするため、勝手に傍にいるようになってしまいます。狐春とは昔から親交があります。
妖怪「こっくりさん」の一族の一人。ぶっきらぼうですが、珠沙を案じる優しい性格。
珠沙がこっくりさんの儀式に失敗したことから深く縁を持ちます。幸麿とは昔から付き合いがあり、腐れ縁のような仲です。
この作品は上記8名の攻略対象がペアとなり、個別ルートの前にペアのシナリオが用意されています。
「学校の怪談編」は紅華と響、「都市伝説編」は香羊と星絆、「異世界編」は魅ナミと聖ヤ、「妖編」は幸麿と狐春の物語です。
このシステムが作品の大きな特徴であり、シナリオによってホラーと糖度の割合が変わってきます。
一番怖いとされるシナリオは学校の怪談編ですね。演出もホラーを意識したものになっていて、次に進むのが恐ろしく感じられるようになっています。
どのくらい怖いかというのは、普段ホラゲやホラー小説に触れないので比較のしようがありませんが、逆に言うと普段ホラーを好まない私でも読破できるくらいの怖さです。ビクッとする瞬間はありますが、途中でリタイアする程ではない感じですね。
この辺りは感じ方に個人差があると思いますので、参考程度に留めて頂けると有難いです。
この作品はシリアスやホラーからラブコメまで、1本の中で様々な物語を楽しめる点がとても良いです。それでいて全体的に読みやすいため、攻略対象の人数が割と多めですが、サクサクと読み進めることも出来ます。
乙女ゲーム初心者の方にもオススメしたい作品ですね。
ただ、この作品の攻略対象は怪異や死者、そして人外の存在。生きた人間である主人公との恋愛はそう簡単なものではありません。綺麗に丸く収まるハッピーエンドはかなり難しいので、この点は少し注意が必要です。
乙女ゲーム定番のシステムとしては、選択肢スキップやチャプター機能が搭載されていますので、エンド回収もやりやすいと思います。
また、この作品には一般的な好感度の他に「思考」と「精神度」の選択肢が用意されています。
思考は主人公の思考や行動を選択するもので、間違えるとバッドエンドに直行する可能性もありますので、慎重に最善の選択をする必要があります。一方、精神度は主人公の精神に関する選択肢です。この精神度が高くなればなるほど、主人公の精神は異常をきたしていると言えます。精神度は上げ過ぎるとバッドエンドに至る可能性がありますので、上げる場合は注意が必要です。
さて、そろそろ攻略順と推しについてお話ししましょう。
私の攻略順は
紅華→香羊→聖ヤ→幸麿→響→星絆→魅ナミ→狐春→隠しキャラ
の順番でした。
まずは4本あるペアのシナリオを一通り読んで、シナリオの全体像を掴みにいきました。
この上で推奨攻略順を作るとするならば、
都市伝説編(香羊、星絆)→学校の怪談編(紅華、響)→異世界編(魅ナミ、聖ヤ)→妖編(幸麿、狐春)→隠しキャラ
の順番でしょうか。
都市伝説編は登場キャラクターが多く、キャラの人となりを知るのにぴったりで、真っ先にプレイすれば作品全体の世界観が掴みやすくなるのではないかと思いました。
恐らくですが、都市伝説編をプレイすると自然と次にどのシナリオをプレイしたいか、希望が定まってくると思います。もしも気になるシナリオが見つかったら、そちらをプレイされるのが良いと思います。
私は上記の順番でプレイするのも良かったかなと思った次第です。
続いて推しについて。
最推しは香羊です。
紅華と聖ヤも良かったですね。属性でいえば、幸麿や狐春も刺さっていましたが(妖もの好きなので)。
香羊については、本当に性格と言動が刺さりまくりましたね。基本ドライなんだけど、実は情に厚い感じがとても良いです。彼にまつわる都市伝説も、他人への情があるからこそ成り立つものとなっています。刺さったポイントの大部分がネタバレになりますので、とても薄い語りになってしまいましたが、本当に香羊ルートをプレイすると沼に落ちますよ。
あと、個人的には香羊の専用BGMが格好良くて気に入っています。都市伝説編をプレイすれば、意味を持って彼らしい音楽だなと感じるはずです。
迷える少女を襲う非日常。
それは偶然か、それとも運命か。はたまた……
妖しき者に魅入り、魅入られる先に在るものとは。
少女は日常に帰ることができるのか。
妖しく、恐ろしく、どこか魅力的な怪異譚。
どうか、その目でお確かめくださいませ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます