時代の荒波に呑まれても貴方と共に『ピオフィオーレの晩鐘 -Episodio 1926-』

 マフィアが牛耳るイタリアの街「ブルローネ」


 愛する彼の傍に在ることを望んだ女性「リリアーナ・アドルナート」


 困難を乗り超えて築き上げた日常が、再び揺らごうとしていました。



 時は1926年。

 世界中で戦争の火種が燻り、イタリアでもファシズムが台頭。否応なく、マフィアにとって苦難と激動の時代に突入していくのでした。



『ピオフィオーレの晩鐘 -Episodio 1926-』



 今回は『ピオフィオーレの晩鐘』本編の1年後を描く続編について語っていきます。



 こちらの作品はFDというよりも、続編と称した方が良いと思っています。

 本編と変わらないくらいシリアスかつバイオレンスなシナリオで、FDの幸せな後日談を期待してプレイするとメンタルを蜂の巣にされます。ピオフィらしく糖度も高いですが、幸せだけのシナリオではありませんのでご注意を。




 この作品は、「-BURLONE-」「-ALTERNATIVA-」「-HENRI-」の3章で構成されています。



「-BURLONE-」は、本編個別ルートの1年後を語る章です。

 攻略対象であるダンテ・ファルツォーネ、ギルバート・レッドフォード、楊、ニコラ・フランチェスカ、オルロック各ルートのハッピーエンド後を描いていきます。


 一般的なFDの後日談では、幸せな毎日に少しだけトラブルを含めるような感じのシナリオが多いと思います。しかし、ピオフィはそんな一筋縄ではいきません。

 正直、本編と変わらないくらい苦労します、彼らは。さすがに、続編でもここまでの苦難に見舞われるとは思っていませんでした。

 時代の変革に呑まれるマフィアという存在。情勢に追い詰められる彼らが選択する道とは。そして、そんな彼らの隣にいるリリィは何を想い、選ぶのか。

 本編と同様に、油断できないスリリングなシナリオが楽しめます。



「-ALTERNATIVA-」は、本編大団円エンドの1年後を語ります。

 ブルローネで起こった大事件は終焉を迎え、リリィやマフィア達は平穏な日々に戻っていました。ところが、ブルローネの穏やかな日常は長くは続きませんでした。

 時代が変わり始め、ブルローネを襲った異変。その渦中に身を置くことになったリリィは、再びマフィア達と協力し、事件の収束のために動き出します。


 こちらも、時代や様々な勢力の思惑に翻弄される彼らの日々を描きます。ただ、大団円エンド後のシナリオですので、キャラクター同士のわちゃわちゃとした楽しいやり取りが、他の章に比べたら多めに見られるのではないかと思います。

 大変な事態に陥っていながらも、何だかんだ言ってテンポの良い掛け合いを見せてくれるピオフィの攻略対象達。この関係性が結構気に入っています。



「-HENRI-」は、本編隠しキャラの物語です。本編未プレイの方もいらっしゃるかと思いますので、隠しキャラの名は出さずにご紹介します。

 ブルローネでの大事件の後、リリィと彼はブルローネから離れ、2人で静かな暮らしを送っていました。そんなある日のこと、2人はまだ自由になれた訳ではないことを突き付けられます。そして、全てを清算するため、ブルローネに戻ることにするのでした。


 これは、隠しキャラとリリィが恋人になるまでを描く、つまり隠しキャラの本編シナリオとなります。

 個人的に、このシナリオがとても気に入っています。かなりシナリオがエグいです。ピオフィはどのルートも2人が苦境に立たされる傾向がありますが、隠しキャラのシナリオは群を抜いています。リリィも彼のことを真摯に想うが故に、苦悩に苛まれます。このルートの恋愛模様は本当に切ないです。切ない分、クライマックスが最高ですよ。




 ブルローネに生きるマフィアが進む先に光はあるのか。


 時代の逆境に抗う彼らと歩むリリィは何を視るのか。



 激動の1926年を生き抜く男達の行く末を見届けてみてはいかがでしょうか。

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