文化放送エクステンド
裏社会を暗躍する男達!『BUSTAFELLOWS』
正義と悪は表裏一体の存在である。
法に則って考えれば、悪であることであっても、どこかの誰かにとっては正義となっているかもしれない。
この世に存在する善悪は、完全に二分することが出来ず、その境界線は非常に曖昧なものである。
正義と悪の境目とは何か。善悪とは、誰かが一方的に定義してしまって良いものなのか。
一生かかっても明確な答えが見出せないであろう、この命題に正面から切り込んでみましょうか。
この作品の攻略対象達は、
単純明快な勧善懲悪ではなく、清濁併せ吞んだシナリオによって、濃密な物語が展開されていきます。
『BUSTAFELLOWS』
文化放送エクステンドによる、サスペンスとスリル、そしてギャグとラブを少々効かせたシナリオゲームです。
そう。この作品は、乙女ゲームでありながら、恋愛がそこまで前面に出ていません。そのため、乙女ゲームに興味があっても、あからさまな恋愛シナリオに抵抗を感じる方や、シナリオ重視派で乙女ゲームの典型的な展開にマンネリを感じている方に、非常にオススメ出来ます。
この作品は、ノーマルなシナリオゲーム寄りの乙女ゲームという表現が、しっくり来る気がします。
また、この作品はSwitchだけでなく、買い切り型のアプリ版でも展開されていますので、Switchを持っていない方でもスマホやタブレットを持っていればプレイすることが可能です。
この作品の主人公は「テウタ」。若年ながらもフリーライターとして、新聞でコラムを連載しています。
明るい性格で、愛らしい容姿が特徴的な女性ですが、彼女には秘密があります。
テウタには、他人となって時を遡る能力があるのです。様々な制限はあれど、自身の意思で過去に飛ぶことが出来ます。
この能力は切迫した状況において、大きな突破力を持ちます。が、この能力について、思い悩むことも多いようです。
物語の舞台は「ニューシーグ」というアメリカ東部に位置する大都会。そこでフリーライターとして生計を立てていたテウタは、とある恐ろしい状況を前にして、咄嗟に自らの能力を発動させました。
時を少しばかり遡ります。どんな刑事裁判でも無罪を勝ち取る悪徳弁護士として名を馳せる青年「リンボ・フィッツジェラルド」は、弁護の依頼を受けて警察署に向かっていました。そして、自分を呼び出した見知らぬ容疑者の男に、「この面会がなければ、貴方は死んでいた」と告げられるのでした。
過去に遡ったテウタとリンボの邂逅。この出会いから、テウタは裏社会で暗躍する男達と知り合うことになるのです。
それでは、攻略対象を紹介していきます。
リンボ(CV KENNさん)
明るくて気さくな青年。常に余裕たっぷりで、飄々とした言動が多いです。実家はいわゆる名家。リンボは既に独立していますが、年中行事がある時はちゃんと実家に顔を出しているようです。
頭の回転が非常に速く、ニューシーグでもトップクラスの敏腕弁護士。悪徳弁護士という異名すら付いていますが、生来の明るさと取っ付きやすさから、人々からの人気がとても高いです。
また、地方検事補をしている姉がいます。姉はとても豪快かつ強引な性格をしているため、リンボはいつも逆らうことが出来ません。
シュウ(CV細谷佳正さん)
リンボと組んでバウンティハンターをする一方で、殺し屋を殺す殺し屋、キラー・キラーとして活動している青年。
いつも気だるげにしていますが、殺しの技術は一級品です。格闘技や射撃技術に長けていて、特に遠距離射撃の腕前は随一。
職業柄もあって、ヘビースモーカーです。
ヘルベチカ(CV吉野裕行さん)
ニューシーグで大人気の美容形成外科医。変装や演技が得意で、時には女装をすることも。生まれ持った外見は変えることができ、人は生まれ変わることが出来るという信念を持っています。自信家ですが、後見人に拾われる以前の記憶を失っています。
モズ(CV福山潤さん)
検死局の主任を務める検死官。死体から様々な情報を得て、警察の捜査に協力しています。寡黙なため、無感情だと思われがち。意外にも料理が得意。自転車が好きで、メンテナンスに精を出すことが多いです。
スケアクロウ(CV白井悠介さん)
自称「裏社会のボス」。特にサイバー関係に強く、ハッキングからマネーロンダリング、盗みに情報屋と、様々な分野において高い能力を発揮しています。しかし、性格は少し幼く、陽気でお調子者なところがあります。殆ど自宅から出ることはなく、インターネット経由で仲間と繋がっています。
この作品の特筆すべき点は、演出の素晴らしさでしょう。起動した瞬間から、バスタフェの世界観が展開されていきます。まるで、映画の冒頭シーンです。また、章の切り替えや場面の切り替えにおいても、細やかな音声演出がなされています。
シナリオはとても綿密に練られていまして、特に真相が素晴らしかったです。どんでん返しのオンパレード。それぞれの個別ルートでは描かれて来なかった部分が全て明らかにされ、尚且つとても納得できてしまうものでした。正直なところ、真相が一番読み応えがあったと言っても過言ではありません。
しかし、個別ルートも、各ルート特色のあるものとなっていて、攻略対象の抱える背景や過去を中心に、スリリングなシナリオが展開されています。糖度は全体的に低めですが、個別ルートの後半部分は比較的甘めなシナリオとなっていて、しっかりと乙女ゲームらしい萌えを味わうことが出来ます。
また、この作品では個別ルートに入る前の共通ルートが結構長めとなっています。そこでは攻略対象やサブキャラとの交流、攻略対象が一致団結して行動する格好いいシーン等、恋愛色が弱めでも、純粋に楽しめるシナリオが描かれています。
攻略順について、この作品は特に攻略制限が掛かっていませんので、好きなキャラから攻略してしまって問題ないと思います。
愛キャッチ(好感度上昇演出)が少しわかりにくいですが、共通ルート中盤における性格テストのようなもので個別ルートがほぼ確定します。そこで、目当ての攻略対象の好感度を上げておけば、プレイしたい個別ルートに入ることが出来るでしょう。
真相は通常シナリオとは別枠となっていますので、最初のうちは気にしなくて大丈夫です。全ての個別ルートをクリアすると、自動的に解禁される仕様となっています。
私は、シュウ→スケアクロウ→ヘルベチカ→モズ→リンボの順で攻略しました。
公式の方から、「どのルートから始めても楽しめる」とのアナウンスがありましたので、気になるところから進めていきました。他のルートのネタバレはありませんでしたので、思うがままに進めてしまって問題ないでしょう。
推しはシュウです。全体的に、シュウルートで扱ったテーマや展開が好みでした。何より、シュウの言動が最高に好みでしたね。リンボと並ぶ年長者枠であるシュウですが、距離の置き方と言いますか、テウタへの対応が大人のそれでしたね。ですが、意志のはっきりした女性であるテウタにとって、その対応がどう感じられるのか。テウタという主人公だからこその展開だなと思います。
また、シュウがテウタをおちょくったり、揶揄ったりしていても、物語が進むにつれてシュウの中で彼女への情が徐々に増していくのを感じられました。
裏社会をメインとしたサスペンスを求めている方。丁寧な恋愛過程を求めている方。そして、キャラクター達が一致団結して戦っていく展開が好きな方。
このような方には非常におすすめ出来る作品です。
一般的な乙女ゲームと比較すると糖度は低めですが、その分シナリオの面白さに力が入れられていると思います。
痛快だけど、重みもある。
そんなシナリオを味わいたい方に、是非とも手に取って頂きたいですね。
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