D3パブリッシャー

忍びが紡ぐ悲哀と恋情『Nightshade/百花百狼』

 穏やかな日々は突如裏切られ、悲劇に見舞われる。


 生まれ育った里のために忍びとして頑張りたい。

 とても健気な主人公を襲う悲劇には目を背けたくなりました。



『Nightshade/百花百狼』



 この作品は、Switchの他、PSVita、PC(Steam)でもリリースされていますので、比較的手に取りやすい作品ではないかと思います。

 PSVita版は『百花百狼 ~戦国忍法帖~』というタイトルですが、内容は同じです。



 それでは、あらすじを紹介していきましょう。


 戦乱の世。

 とある争いをきっかけに忍び集団の一つである伊賀忍が滅び、同じ忍び集団である甲賀忍に取り込まれました。しかし、伊賀と甲賀は長年敵対関係を築き、憎み合っていました。そのため、和平の証として、伊賀の長の妹が、甲賀の長に嫁ぎ、両忍軍は一つになったのです。



 そんな形で、両家の間に生まれた子は、女の子でした。


 名を、「上野槐うえのえんじゅ」。今作の主人公です。


 甲賀の里で、槐は和睦の象徴たる姫として大切に育てられてきました。

 槐は、とても心優しい真面目な娘で、忍びとしての修行も欠かさない勤勉な姫でした。ただ、まだ忍びとしての仕事は任されたことがなく、早く里の皆の役に立ちたいと、日々強く願っていました。



 そして、槐が16歳になったある日。ついに、父であり、甲賀忍の長である上野勘道うえのかんどうから任務を言い渡されます。

 幼馴染達や従兄と共に働けることを、槐は心から喜びます。任務に向かった先で、槐の行く末を狂わせる大事件が起きてしまうとも知らずに。




 それでは攻略対象を紹介していきましょう。



 月下丸(CV羽多野渉さん)


 槐の幼馴染の一人で、甲賀の姫たる槐を守る護衛役。幼少期からずっと、槐のことを過保護に守ってきました。そのため、槐に害をなす者には決して容赦しません。

 生真面目な青年で、槐のこととなると頭が固いですが、それは槐のことを心から大切に思っているが故。護衛役を務めるために、高い戦闘技術を身に付けています。



 黒雪(CV下野紘さん)


 月下丸の弟で、槐の幼馴染の一人。槐とは乳兄弟でもあります。

 8歳の時に任務で里の外に出て以来、ずっと帰っていませんでしたが、この度ついに帰還することに。

 明るく楽観的で、要領の良い少年。少し悪戯好きなところがあり、槐を揶揄って遊ぶことも。それでも、槐のことを大切に思っているようで、長年里を離れていても槐のことは決して忘れませんでした。



 百地蝶治郎(CV鳥海浩輔さん)


 槐の従兄で、今は亡き伊賀の長の息子。伊賀が滅んだ際に、両親を喪っています。

 甲賀忍の中でも相当な実力者ですが、伊賀の長の血を継ぐ者として、常に身を弁えています。物静かで、思慮深い青年です。

 槐に忍びの技術を教える師匠であり、よく稽古をつけています。月下丸を筆頭とする槐の幼馴染達も、蝶治郎を師として忍びの技術を学んでいます。



 服部半蔵(CV津田健次郎さん)


 徳川忍組の筆頭であり、最強の忍者。幼少期、徳川に奉公に出る前は、伊賀の里で暮らしていた元伊賀忍。子供の頃から徹底的な忍びの修行を積んでいました。

 冷静沈着で、決して任務に私情を挟まない厳格な人物。任務を果たすためならば、手段を選ばない冷酷な面もあります。



 石川五右衛門(CV緑川光さん)


 京の都で噂の大泥棒。金持ちから財産を盗んで貧しい人々に配りまわる義賊であり、人々からの人気がとても高いです。

 普段は、五郎と名乗っていて、飄々とした遊び人として振る舞っています。

 五大老会議が開催される前に五右衛門を捕縛したい石田三成は、甲賀忍を呼び寄せることにし、これが槐の初任務となるのでした。



 この作品は、とても切なかったですね。

 私は、暴力的だったり、残酷だったりと、刺激の強い作品を好んでプレイするのですが、この作品は刺激はそこまで強くないものの、心がギュっとなるような辛い展開が中心となっていました。グロくはないけど、流れがしんどい、と言いますか。槐が大事件に巻き込まれ、翻弄されていく様は見ていてとても苦しくなりました。

 糖度も、そのため高くありません。ただ、この辛いシナリオに挟まれる甘いシーンはとても心に響きますね。そんなに糖度が高くないはずなのに、シナリオ全体の切なさ故に甘いシーンが良いスパイスになっています。


 システム面としては、少々起動に時間が掛かるように感じました。これはSwitch版での話です。ただ、最初の読み込みに時間が掛かるだけで、プレイしている時はとても快適でした。ただ、選択肢スキップが搭載されていないので、周回には少々時間が掛かります。


 切ない作品ということで、バッドエンドがとても良い味を出していました。バッドにも全ルート、スチルがあります。

 バッドエンドでは、トラウマになってしまうような惨い展開をする作品も少なくありません。しかし、この作品のバッドエンドは、惨いというよりは、ただただ切ない、哀しい。すごく胸の奥にジーンと響いてくるような展開で、私はバッドエンドも結構お気に入りですね。蝶治郎のバッドが個人的には超好みでした。



 それでは、攻略順と推しについて。


 攻略順は

 蝶治郎→黒雪→半蔵→月下丸→五右衛門の順でプレイしました。


 攻略制限はありません。



 おすすめの攻略順としては

 黒雪or蝶治郎→半蔵→月下丸or五右衛門の順ですね。


 黒雪と蝶治郎を序盤に回すと、物語の全体像が掴みやすいと思います。

 また、月下丸と五右衛門について。感動的に終わりたいなら月下丸、明るく大団円のように終わりたいなら五右衛門をラストに回すと良いと思います。

 私は五右衛門をラストに回しましたが、とても後味が良かったので、五右衛門をラストにするの結構おすすめです。

 また、各ルート、バッドエンドを先に回収しておくと、ハピエンの余韻が良くなると思います。バッドエンドを後に回しても良いですが、結構胸に来ますので、後味が悲しくなってしまうかもしれません。



 また、推しについては、正直選べませんね。

 大人組がまとめて良かったです。なので、推しは蝶治郎、半蔵、五右衛門ですね。

 黒雪と月下丸は全体的に、辛くて切ない雰囲気が大人組よりもずっと強かったです。この二人はシリアスが強め。

 しかし、大人組は切なさの中に混ぜてくる甘いシーンがひたすら狡かったですね。

 台詞の破壊力が強い蝶治郎、シナリオ後半の甘さがハンパない半蔵、滅茶苦茶こちらの心を振り回してくる五右衛門、といった感じでしょうか。

 皆様は、どの展開が好みですか? 私は選べませんでした! 三人とも良かったです!



 悲哀の中で育まれる、淡く切ない恋情。


 悲劇の先にある結末は、終焉か。それとも、未来か。


 忍び達が使命に翻弄されながらも生き抜く様を、見届けてみてはいかがでしょうか。

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