【Roster No.2@ウランバナ島北東部】
寝心地は悪いが、ここで死んだフリしとけば周りの参加者は勝手に殺し合ってくれる。
人数が減りまくったところでオレたちがひと暴れして優勝、って作戦だった、んだが。
「うおおおおおおおおおお!?」
「走れ! 走るんだよォ!」
雄叫びをあげて走る男たち。
地面で寝てる場合じゃなくなっちまった。
ブゥンと飛んできた小型の航空機がタマゴでも産むみたいに爆弾を落としやがる。
「うわ! わあ!」
「走れ! 走れ!」
どうやら、この辺りが〝危険区域〟とやらに指定されちまったらしいな。
ルール説明ん時も言ってたわ。
ランダムに爆撃が来るってな。
「アニキぃ! 置いてかな」
わりぃな、コウヘイ。
<<コウヘイ が 危険区域 で 死亡しました>>
オレは振り返らずに走る。
立ち止まったら死ぬ。
部下の死を悼むのは、オレが生き延びたならいくらでもできる。
「あれだ、病院だ! 病院に逃げ込め!」
「うおおおおおおおおおおお!」
あの姫乃秀康とかいうおっさんは、開会式で『建造物を破壊するな』って、えらそーに言ってたよな?
つーことは、運営の手先はせっかく造った建物を壊すようなマネはしねーよな?
なら、オレたちにとっては安全ってことよ。
病院の中に逃げ込んじまえば爆弾を喰らわねーってこと。
「走れ! とにかく走れ! 走らねぇと死ぬぞ!」
最近走ってなかったせいか、ちょっと本気を出して走ったら全身でヒイヒイ言ってやがる。
こりゃあ筋肉痛間違いないな。
「あ、アニぐガァ!」
オレの後ろをついてきていたキョウヘイが前にぶっ飛んだ。
<<カワムラ は 車 で キョウヘイ を キルしました>>
物理的におかしいだろ……と横を見ると、ガキの運転する車が後ろから突き飛ばしてくれちゃったらしい。
キョウヘイを殺しておいてのんきにオレたちを追い抜いていく。
おまえら後でぶっ飛ばすからな、覚悟しとけよ。
「ん、んん?」
追い抜いたかと思えば減速して、オレたちと並走しようという速度にまで下げてきた。
横の窓が下がって、ガキが身体を乗り出して銃口をこちらに向けてくる。
なんだよこいつら!
「ざけんなよ!」
後でじゃなくて今ぶっ飛ばされてぇようだな。
オレはガバメントを構えて、ガキに一発食らわせる。
「わわっ」
外したが、威嚇にはなったらしいな。
走りながらはキチィわ。
ガキはおとなしく車内に戻り、車はまた速度を上げてオレたちを引き離す。
「くそがよっ!」
車に向かって悪態をつくと、車は病院の前で停車――するわけではなく、病院を避けて明後日の方向へ走っていく。
なんだぁ?
ガキども、話聞いてなかったか?
年長者の話は聞いておくもんだぜ?
「千客万来、でんがな」
病院の正門に、男が突っ立っている。
最初にオレたちが物色したときにゃあ他の参加者はいなかったもんだが。
「あ?」
「残念無念」
男は肩をすくめてから、背中に隠し持っていたマッチ棒をデカくしたような武器を向けてくる。
「アニキ、あれやばいっすよ!」
「あれってなんだ」
「確か、対戦車用の!」
「木っ端微塵、粉骨砕身、百発百中まんがな」
何言ってんだかわからないが、弾は飛んできた。
この距離でまっすぐ飛んでくるものを、オレたちは
<<シュヴァルツ は パンツァーファウスト で アニキ を キルしました>>
<<シュヴァルツ は パンツァーファウスト で タイヘイ を キルしました>>
【生存 56(+1)】【チーム 20】
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