【Roster No.23@ウランバナ島南西部】
すべてはヒトメサマのため。
ヒトメサマばんざーい!
「こんつぁ」
ワタシは宣伝部長のオオモリだす。ヒトメサマのお考えを全世界に発信すべく、ヨーチューブ、チュイッチ、オーブンルック、ピリピリ、などなど、いろんな媒体での配信活動のインフラ担当でござい。覚えなくていい。覚えてほしいのは、ヒトメサマこそが真理、この世界を明るく導く指導者、すべての人間はヒトメサマの庇護下にあるべき。ヒトメサマばんざーい!
「アナタがたは、チームナンバー10番の方々、で、お間違いない?」
またの名を新しいナカマになる、可能性のある方々。
「殺すならさっさと殺せよ」
「アラマ。ワタシはそんな野蛮なこと、いたしやせん」
他のどのチームよりも早くこの大地に降り立ったワタシたちは、あとから降りてくる方々の
「おまえたちの宗教では目をくりぬくのは野蛮のうちに入らないのかよ」
「イエス。ヒトメサマへの忠誠の印」
「狂ってんな」
おやおや。
ヒトメサマと同じ姿になること、すなわち、救世主との一体化。ワタシたちは、救われるべき存在になるのです。救われなければおかしい。世界が半分となるのなら、優しさの国にいるべきでやんす。ヒトメサマばんざーい!
「ヒトメサマを信じますか? 信じませんか?」
「何遍言ったらわかるんだ。オレは信じない」
強情な人。せっかくヒトメサマと共に有る喜びを、分かち合える好機が巡ってきたと言いますのに、どうしてこうも人間は意地を張れるのかと。わかりやせん。ヒトメサマこそが正義。ヒトメサマが、正しい。ヒトメサマばんざーい!
「しからば」
「ぐぎっ」
暴力に頼るのはイケナイことだと、おっしゃる方がありよりはべり。しかしながら暴力。暴力でなくては解決できぬことも多々ありけり。世界は不条理。理不尽な力が、悪を押しつぶす。ヒトメサマを理解しないこの者は悪。ヒトメサマもワタシをお許しになるでしょう。こうして信ずる者がまた一人増える、可能性が生まれるのですから。ヒトメサマばんざーい!
「信じますか? 信じませんか?」
「信じない! 信じないったら信じない! 第一よぉ、ヒトメサマが何してくれるって言うんだ!」
「ヒトメサマは、このデスゲームの勝者となり、ワタシたちを絶対幸福の天下泰平へと蘇らせてくれるます。ここ、ウランバナ島は儀式の場であるのですます」
ワタシたちは、俗に言う、恵まれぬコドモでした。一般的には、そうらしい。普通は、大なり小なり、良かれど悪かれど父なり母なり存在があって、一つの〝家族〟という集団を形成するわけでして、そうでないワタシ、普通でなく、なんだかんだでヒトリボッチなワタシ。
「んなわけあるか! 人は、人は死んだらオシマイなんだよ! 蘇るなんてことがあるわけない!」
「ヒトメサマを信じぬ者は、皆そうおっしゃるのですよう。ヒトメサマのお力は、ホンモノだと、ワタシタチ、ナカマだけが信じているます」
ワタシ含めて、ヒトメサマが、わたつぃたちを解放してくださったのです。ワタシタチは火の海で助けを呼んでいました。オトナはミィんな逃げて、ワタシタチは取り残されました。ヒトメサマが、火を消して、火を止めて、ワタシタチを救ってくださり、イマココにワタシタチが生きているのです。ですゆえ、ワタシタチは死んだようなもの。ヒトメサマがいなくては、今日この日まではイナイ存在。ヒトメサマばんざーい!
「……可哀想なやつ」
「信じますか? 信じませんか?」
「おまえは騙されている」
「可哀想なやつ」
おタヌキ様を見て、それでもなお、ヒトメサマを信じられないなんて、本当に愚か。信じられないなんて可哀想。オマエはワタシを可哀想と言うけども、ワタシはオマエが可哀想で可哀想で可哀想で可哀想で可哀想で仕方ないですわよ。でもたまにいらっしゃるのですよ。ごくまれに、ヒトメサマを、ぜっっっっっったいに信じないと言い張るような、アナタのような人が、いるので、ワタシにはこれっぽっちも理解できない。理解しようとも思わない。わたつぃは、ヒトメサマを信じるしかないのです。他に道はなく、この一本道を信じるしかない。どれほど手を汚そうとも、その汚れた手が真っ赤から真っ黒に変わろうとも、ワタシが救われる道は、ここにしかない。ヒトメサマはワタシを見捨てない。ヒトメサマがワタシのすべて。すべてはヒトメサマのため。ヒトメサマばんざーい!
「信じないのなら、四人とも、ミィんな信じないって言うのなら、ヒトメサマの勝利のために、死んでもらいましゅ」
【生存 60(+1)】【チーム 21】
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