Phase3 → Phase4

「亡くなった方々のご冥ふ」

「何普通に始めようとしてるんですか!」

「どうしました(笑)」

「どうしました(笑)かっこわらいかっことじじゃないですよ! リプレイ映像出してもろて」


 解説のランドの指示により、11番チームががメイン画面に大写しになる。


「わーお」

「今初めて見ましたみたいな反応しないでもらえます?」

「こんなこともあるんですね」

「あっちゃいけないでしょう!」

「いやはや」

「古今東西、いろんな国や地域で『デスゲーム』が開催されていますけども、こんなの見たことないですよ!」

「前代未聞ということで」

「なんですかこのタヌキは!」

「なんでしょうねー? ランドさんはなんだと思います?」


 シンザブロォはADに目配せする。

 本配信には映されていなかった映像が流され始めた。


「これはPhase1での南西部でのヒトメサマ御一行の様子なんですけども」

「ああ、はいはい。ちょうどファーストブラッドが発生して、メインではカメラがそっちのほうに行ってましたねぇ」

「彼ら、ウランバナ島の教会――を模した建物が、南西部にあるんですが、そこで〝召喚の儀〟を執り行いまして」

「なんですかそれ」

「ランドさん、ヒトメサマのチームを応援していらっしゃるのにご存知ない?」

「……配信を何度か拝見した程度で」

「あらー」

「彼、ヒトメサマは、本当に霊能力者でいらっしゃる?」

「ホンモノかニセモノかはさておき、10番チームを生贄に捧げてあの〝おタヌキ様〟をウランバナ島に呼び出したのは彼ですね」

おタヌキ様これ、持ち込み武器扱いにならないんですか……?」

「特にルールには引っかかってないんじゃないですか? ルール違反だったら、ドローンが文字通りはずなのでー」

「しかし、これ、うーん」

「どうしました(笑)」

「いや、ぼくとしてはですね、ぼくは各地の『デスゲーム』を見てきて、ある意味、国内一のファンとしてここで解説をやらせていただいているわけなんですがぁ」

「納得いかないと?」

「ま、まあ、勝てば官軍と言いますしねぇ?」

「きっとこのおタヌキ様を撃破する参加者が出てきますよ」

「勝てるんですか?」

「たぶん?」


 映像が切り替わり、全体の地図が表示される。

 中央部に続いて南東部が黒く塗りつぶされた。


「この次は、……なるほど北西部が外れますか」


 Phase4が終わるまでに北西部にいる参加者は移動しなくてはならない。

 もちろん、すでに立ち入り禁止となっている中央部や南東部以外の場所、北東部か南西部へと。


「待ってくださいよこれ」

「ああ、気付いちゃいました?」

「これ、次がじゃないですか。――もし、仮にですよ、予言ではなく、あくまでぼくの予想なんですが、南西部がこの次のインターバルでプレイゾーンから外れるってことになったら、西ですよね?」

「そうなりますねー」

「中央部は最初に塞がれているから中央突破はできなくて、北西部や南東部から北東部へと迂回するルートも選べない」

「おっしゃる通りです」

「うわぁ……こーれまずいですよ」

「運がなかったってことで」

「シンザブロォさん、たまにサイコパスな発言しますよね」

「そうですか? 初めて言われました」

「今度サイコパス診断しましょうね」


 画面が切り替わる。


「では、ここからはドキュメンタリーが始まります」

「ドキュメンタリー? ……ぼく、なんも聞いてないんですが」

「そりゃあ、ランドさんには優勝者予想キャンペーンで予想をしていただかないといけなかったので」

「なるほど?」

「視聴者の皆様が気になっているであろう、即席チームである25番チームのメンバーが、どうしてここ『ウランバナ島』までやってきたのかの、足跡を辿ります!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る