第3話

 俺には、密かな夢があった。中学を卒業したら、自衛隊の学校に入ること。

 たまに、バラバラと音を立てて、頭上を迷彩柄のヘリコプターが飛んでいく。訓練か何かだろうか。

 とにかく、中卒でも車が運転できるらしい。しかも、頑張りしだいで年上の奴よりも立場が上になれる。面白い。

 廊下を歩いていると、一つ年上の女子の2人組から「おはよう」と声をかけられた。すぐに「おはよう」と返す。どうやら、何でかは知らないが、「目をつけられている」らしい。どうして俺みたいな奴に。そう思っていると、

「ゲン!勝ったぞ」

 後ろから、元気よく誰かが話しかけてきた。スバルだった。

「勝った?スマブラで?」

「違う!前言ったPUBGてやつ」

 もうニンテンドーのゲームはやらないのか。それがきっかけで仲良くなったようなものなので、少し寂しくなったが、「へーおめでとー」と返しておいた。

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